月夜のドライブ

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タイツ『GIRLIC REPLICA』 Disc1を語る

画像たまたまメトロファルスのサイトをふらついてて気が付きましたが、今日4月26日は、光永巌さん(メトロファルス、巌の裏庭、タイツ、去年の西村哲也さんの『ウォーターメロン砦』のベースなどもそう!)のお誕生日らしいですよ!いくつになられたのかは不明ですが、おめでとうございま~す!!光永巌さん、ひそかにずっとずっと憧れの人で、でもいまだナマでお目にかかったことがなく…。28日のジャック達ライブで、今回対バンの若林マリ子さんのバックをつとめられるということなので(しかもギターの宮崎裕二さんも)、やっと、初めて、ナマで光永さんの姿を見られるかも、です~。きゃードッキドキ。というわけで、光永さんのお誕生日記念、ってわけでもないけど(笑)、タイツ『GIRLIC REPLICA』を語るシリーズ、いっちゃいますよー。

 

これまでも書いたのだけど、私は、タイツに関しては実に中途半端なファンで、リアルタイムで買ったのは『ラジオ・デリカテッセン』(89)と『GET CULT』(92)、それとコンピレーションの『ADVENTURES in “Turn To The Pop”』(90)だけ。ライブもとうとう一度も見ることがなかったし。で、今回このベスト&アウトテイク集を通して聴いて、ほんとに、初めてのバンドに出合ったような衝撃受けた。既知の曲も、まるで初めて聴くような激しさで心をぶち抜いてきたんだよね。この時代にこのアンソロジーが出てくれたこと、本当に感謝する。

 

ディスク1は、タイツの6枚のアルバムから選ばれたベストテイクが18曲。何回か聴いてから気付いたんだけど、このディスク1、一色進さんがボーカルとってる曲と、一色さん以外のメンバーのボーカル曲が、ほぼ交互に入っているんだよね。なんか、一色さんの、タイツってバンドへの思いがここに表れているようで(ライナーにも「全員の声を入れたかった」って書いているし)、じーんとしちゃった。では1曲めから順に、勝手な感想書き散らします。(長いよ。)

 

1 どーせ、死ぬんだ!

後期タイツの1曲。ベスト盤が「どーせ、死ぬんだ!」で始まり「最低さ」(ディスク2の最後)で終わるこのスラップスティックな感覚、いかにも一色さんらしいなー。間奏の宮崎裕二さんのギターがめちゃカッコイイ。このベスト盤では、錦織さんと宮崎さん、それから一色さんと初期の光永さん、タイツ歴代ギタリストのおっそろしいまでのギターのカッコよさに、立ち直れないぐらいの衝撃受けた。こんなバンドだったなんて…。今まで私は(中途半端なファンとはいえ)何を聴いてたんだろう、ってぐらい。

2 外人

初期メンバーだった滋田みかよさんボーカル曲。思い返せば86年、ムーンライダーズの名曲「A FROZEN GIRL, A BOY IN LOVE」の作詞者&デュエットボーカリストとして、私は初めてみかよさんのことを知り、12月のムーンライダーズのライブで、武川さんとともにマイクに向かう彼女を観たのだったなあ。武川さんとふたり、すっごくオトナな感じだったの覚えてる。あのときみかよさんはまだタイツのメンバーだったのかな?この曲は、イントロのドラムといいギターといい、音像はどこをどうとってもロックなのに、みかよさんの声で一気にヘンテコな感じになるのがおかしい。こんな歌、なかなか歌えるものじゃないよね。

3 水の惑星

一色さん作詞・鈴木慶一さん作曲の作品。もーこれは、ココとかで何度も何度もしつこく言ってますが、とにかく名曲。何度聴いても、そのたび心の深いとこがグラグラする、本当にいい曲。私が知ってる限りのネオアコ曲のベストワン。もう何遍、この曲を自作の編集テープに入れただろう?宮崎さんのアコースティックギターの響きが素晴らしすぎる。間奏からエンディングまでいちいち美しくて泣ける。

4 シリアス・アワー

そして光永巌さん作品。一色さん作詞で、光永さんが作曲&ボーカル&ほぼすべての楽器を担当、という1曲。一色さん以外にもこんな才能を擁しちゃってるのが、タイツの恐ろしいとこだなー。この曲はすごく好きだったから、ベスト盤に入ってうれしかった。ケルティックなイントロ、甘いメロディ、ノイジーな間奏、何もかもが素敵。また光永さんのボーカルがちょっと頼りなくて砂糖菓子みたいで、女泣かせなんだよねー。ま、私は89年『ラジオ・デリカテッセン』のジャケ写ですでに、左端の彼の少年っぽい風貌に心を奪われていたわけなのですが…。少年っぽい人って、どうも弱いんだよね…。って私の男性の好みの話はどうでもいいですか。

5 冒険へようこそ

これはね、みかよさんの“Welcome!”ってコーラスに尽きる。(そこに尽きさせちゃっていいのか?)カワイイなー。あと、一色さんがライナーにも書いてるとおり、錦織さんのギターの音色にマイる。カッチョエエーーー!!

6 緑の瞳

で、噂の(笑)錦織幸也さん作曲&ボーカル作品ですよ!いやホント、こないだのロフトライブで観た錦織さん、カッコよかったなーーーー!(←そればっか)その後、慶一さんブログでも楽屋写真がアップされましたけど、しみじみカッコイイ。ああいうスラッとしたタイプ、昔からどうも弱いんだよね…いやマジに。この曲についてはもう、一色さんのライナーがすべてを語っているけれど、錦織さんの揺らぎのある曲もボーカルも、反則に近いぐらい素敵すぎる。

7 グッド・ルッキング・ナイト・ガール

前の記事にも書いたけど、ここからの3曲の並び、スゴすぎ!マジブッ倒れるよ。ヘッドフォンから風圧感じるぐらいの凄まじさ。タイツってこんなバンドだったんだなーーー。おっそろしいぐらいロック。宮崎さんのノイジーなギターのカッコよさったらない!メロディがちょっと情けなさ含みなのも、タイツのいいとこなんだよねえ。

8 こんなんなっちゃった

これは、後期タイツのキーボーディストだった松田信男さんの詞曲ボーカル作品。この曲が入っている『HARD BOILED ALBUM』(94)を私は未聴だったから、今回初めてこれを聴いたのだけど、マジ腰抜かすぐらいブッ飛んだ。カッコよすぎ。このベスト盤でいちばん撃ち抜かれた曲かもしれない。一色さんもライナーでとにかく絶賛しているけれど、このメロディ、珠玉です。そして泉水さんのドラム、素晴らしすぎる。こんなドラム目の前で叩かれたら、本当に失神しちゃうだろうな。この曲はジョンかポールか沢田研二にカバーしてほしい。こんな曲に出合えるから、ロックを聴くのをやめられない。

9 リトル・ビット

もう、息もできないぐらいのキラーチューンの嵐…。この曲は、出だしで3人のボーカルが次々出てくるとこが超カッコイイ!!私の大大大好きな「男声ボーカル回し曲」界の中で、1、2を争うかも!(他にはクリームの「Sunshine Of Your Love」とかムーンライダーズの「Beep Beep Beオーライ」とかね!ホントゾクゾクする、この手の曲。)でも宮崎さんと光永さんの声って結構似てて、なかなか判別が難しい。(ナマで聴いたこともないし。)いちばん最初が宮崎→光永→一色、で、光永→宮崎→一色→宮崎かなあ。って、さっきから高校生じゃないんだからってぐらい「利きボーカル」してる私…(苦笑)。

10 イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト

ドラマー泉水敏郎さんの作曲&ボーカル曲。ほんとにみんなが歌うたうバンドだったんだね、タイツ。泉水さんというと、ヤプーズとかヒカシューとか、ニューウェーヴ方面のおっかない人ってイメージがあったので、「ビーチ・ボーイズ大好き」で、この曲調って、すごく意外だったー。段ボール箱の奥に入っているはずの泉水さんのソロアルバムを、引っ張り出して聴いてみたくなってきたなあ、どんな感じだったっけ?

11 デザイン

名曲の呼び声高い作品だけど、私は初めて聴いた。ああ、タメイキ…。この、どうしようもないほどのセンチメンタリズムがあるから、私は一色進って人の音楽に魅かれるんだな…。この人にしか書けない曲、この人にしか歌えない歌。

12 ハロウィン

出ました!元シネマの松尾清憲さん、鈴木さえ子さんがボーカルゲストで登場し、錦織さんがアウトロのギターを弾いてる、にぎやかで楽しい曲。松尾さん、さえ子さん、それぞれがとっても彼ららしいパートを歌ってる。♪ity,bity,tiny,winy♪って早口の部分、私も過去さんざん練習したなあ。

13 いつかどこかで

視界がぐらっと歪むような、とても不思議な曲。日本の音楽じゃないみたい。イントロのみかよさんのピアノの音が、たまらなくいい。光永さんのボーカルがまた、いいの?ってぐらい甘いんだよね~。

14 モンキー・ロリータ

いや~もう、これまたスゴイ!後期ドラマー小林みな子さんの「モンキー♪」の声は、みかよさんとはまたちがった、萌えパワーがある。まったくなんてバンドなんだ、タイツ。そして、宮崎さんのギター、ほんといい音だなー。これは、このベスト盤でつくづく気付かされた。ここまで宮崎さんのギターに特化してマイッたこと、これまでなかったよ。私の耳が、やっとタイツに追いついたのかも。もう惚れっぱなし。これからまだまだ聴きこむよ。

15 紅茶の温度

その、宮崎さんボーカル曲。詞曲は一色さん。これ、大好きなんだ~。アルバムのB面の真ん中あたりに入ってそうな、なんてことないんだけど、たまらなくいい曲。なんかこの曲聴くと、私はゾンビーズとかタートルズとかレフトバンクとか、思い出す。「紅茶の温度の話を/またするのかい僕に」何気ない言葉でリアルな痛みを浮き上がらせる詞。やっぱり一色さんはとんでもない詩人だと思う。

16 RUN-SAW SAMBA

またスゴイ曲作るよねえ、一色さんも。ランソウ・サンバって…。まあアルバムタイトル『SLAPY STICKY』(97)だものな。他の曲もそうだけど、松田さんのピアノ、ものすごくロックだよね。私は、自分が弾けないせいもあって鍵盤系の音に反応が鈍い不幸な人間なのだけど、松田さんのこのキーボードの音は好きだなー。カッコイイ!

17 月や森や湖にゆこう

また一気に10年遡って、初期のみかよさん作品。間奏のチェロを錦織さんが弾いているというのだけど、あの貴公子のような甘いマスクでチェロって…。ブッ倒れる。(そこにかい!)

18 僕はここにいる

こんな曲を書いて、歌われる限り、私はやっぱり、一色進って人とその音楽に参り続けるしかないんだと思う。ここまでメロウでここまで壮絶なロックミュージックが、このときここにあったんだっていうことは、強く記憶された方がいい。そしてそれは、今も形を変えながら続いてるってことも。

 

というわけでディスク1のワンポイント感想でした。…って、長げーよっ!一色さんのライナーノーツには及ばないけど…。でも、語り止められないほど衝撃的だったんだ、この『GIRLIC REPLICA』。ほとんど自分用メモにすぎないけど、ここに突っ込んどきます。そして、ディスク2もまだ語る気でいる。それはいずれ。(続く)

 

*『GIRLIC REPLICA』タイツ