月夜のドライブ

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待ちに待ったレコ発!秘密のミーニーズ「Our new town」ワンマンショー @ 渋谷7th FLOOR

1/24に発売された秘密のミーニーズ『Our new town』の、待ちに待ったレコ発ライブ!あまりに楽しみにしすぎて前日からドキドキ…(私が演奏するわけでもないのに…)。当日はあいにくの寒い雨降りという天候だったけど、開場前からエレベーターホールに列ができて、セブンスフロアの客席ほぼ満杯!だった!

 

秘密のミーニーズ「Our new town」ワンマンショー 
2024.2.25(日)
渋谷7th FLOOR
OP11:30 / ST12:00 
ADV.2500円 / DOOR 2800円(+1DRINK)
※高校生以下無料
・ゲスト出演:key.松野寛広
・特製プロダクションノート配布

 

会場入って楽器がセッティングされたステージを眺めると、いつもの並び、プラス、ギターの青木さんとドラムスのU太さんの位置のあいだに松野さんのキーボード。いやがうえにも期待が高まりまくる…。SNSでの予告通り、たもつさんのところには4つものギターがセッティングされていて笑ってしまう。青木さんのところにはジャズマスターレスポール。開演までの時間、受付で受け取った入場者特典の「Our new town」プロダクション・ノートをぱらっとめくって読む。最初の、たもつさんの文章でもうグッときてしまう…。(これについては後述)

 

■前半
開演時間になりメンバーがステージに。ひゅーひゅー!関東で一番オーバーオールの似合うロックミュージシャン・たもつさんは、今日もシグネチャーともいうべきその装いで。真ん中に位置する淡路さんはハッとするような真っ赤なセーターがよく似合ってる!mayugenさんはカーキのワンピースを素敵に着こなし、青木さんはジャケット羽織ってカッチリめ、相本さんは私から見えづらい位置だけどさらりとセーター姿、U太さんは髪切って爽やか…!などと、いきなり端から端まで眺め倒してしまう(怪しいファン)。

 

パラパラした楽器の音がゆるっと集まって大きな流れになり、ゆったりと会場全体を引っ張っていく…と思ったところでたもつさんの力強いアコギのストロークがそれを割り、青木さんのギターが気持ちよく鳴って、「フォーク、ブルース&リバイバル」!はーーーかっこいいーーー!この出だしの3声の迫力が凄くて、音のカタマリにフッ飛ばされるようだった!(今までだって素晴らしかったんだけど)もう今日はフェイズが違うのね!って初っ端からわかるようなハーモニーの仕上がり。淡路さんもmayugenさんもアコギ弾きながらのたもつさんも、どの声も一歩たりとも引かない正三角形!やーすごいっ。そしてライブだといっそう目の当たりにさせられるU太さんのドラムと相本さんのベース凄さ頼もしさ。ラスト近辺でまた青木さんのギターが謎の音させながらぎゅんと入ってきて火を噴く!秘密のミーニーズいきなり最高すぎる!1曲目からこんなカッコよくて大丈夫なのか…!?わりと久しぶりと思う「モーニングレイン」、腕の立つプレイも3声ハーモニーもさすが。

 

淡路さんがMCで、今日は二部構成ですと告げ「ミーニーズ初のワンマンなので、ちょっと長丁場になりますが」と。ここで初めてあっそうなんだ…とびっくりする私。今日がレコ発かつワンマンライブなのは認識してたけど、巧くて貫禄あるバンドだしもうワンマンなんて何度もやってるんだと思ってた。(たもつさんが後のMCで明かしたところによると、ワンマンなんて絶対お客さん集まらなくて爆死する…とたもつさん&メンバーが渋ってたのを、なりす平澤さんとプロデューサー夏秋さんに「腹を括れ」と言われたのだとか…笑。)結成13年目(かな?)にして初めてのワンマンなのか~、その記念すべきライブの観客になれたなんてうれしい…!

 

たもつさんが「菅野みち子さんの活動休止後、菅野さんの曲を演奏していいものか本人とちゃんと話せてなかったんだけど、このあいだ話したらぜひ!とのことだったので」と、『down in the valley』から「走るあなたの光」。菅野さんとはまた違うタイプのmayugenさんのボーカルで、再び曲が輝く。mayugenさんの声、強くて好きだなあ…。とても透明感があるのだけど、淡くてはかない透明じゃないんだよね、凛としてめちゃめちゃ強度がある。

 

この日のライブでは、記念すべき初ワンマンらしく淡路さんが「秘密のミーニーズ結成秘話トーク」をMCでちょいちょい挟んでくれたんだけど、すっごい短い番組みたいにちょっと進んでは「続きは次回」みたいな細切れさで(笑)。でも私ちょうど今『おはなフェスタ~past masters~』のたもつさんのライナーノーツ(『It's no secret』までのバンドの歩み)を熟読してるとこだったので個人的にタイムリーな話題で、“ナルホドそれから?”と食い入るように聞いてしまった!

 

ここで、SNSでもちょっと予告があったGrateful Deadのカバーキターーー!ほんとにこの人たちは令和に生きる30代なのかという激シブで治安の悪いプレイが…。デッドヘッズだと聞くU太さん&相本さんのリズム隊もすごかったけど、とにかくこの日、(このカバーだけじゃなくずーっと、)青木さんとたもつさんのツインギターに参りまくった…。青木さんもたもつさんもそれぞれがスキルと個性ぶっぱなしギタリストなのに、その比類ない2つのギターの音が艶めきながら複雑に絡みあうのを聴くこれ以上ない至福…。まじでカッコよすぎ死ぬ…。と思いながらふたりをかわるがわる見てたら、曲の途中で(途中で!)青木さんがギター持ち替えててしびれたー…なにそれカッコよ!(前半デッドパートと後半ニールヤングパートでギター替えたんだね…なにそれカッコよ)

 

一転ポップに「やさしいことば」、ラストのギター深くてイイ音だなあ…。「たんぽぽの女の子」の淡路さんののびやかなボーカル、「おはなフェスタ」のmayugenさんの透き通った歌声、つくづく素晴らしい。どちらもバンドの初期からある曲のはずだけど、たもつさんのソングライティングも3声志向も、はじめからクオリティ高かったんだなーとあらためて感じ入る。

 

淡路さんの「秘密のミーニーズ結成秘話」は、3人(たもつさん+淡路さん+もう一人)で結成したところから始まり、淡路さんの後輩のドラマーさんが入り、2012年頃に菅野さんと青木さんが加わりフジロックのルーキーアゴーゴーに出演し(2014年)、燃え尽き症候群になったところまで進んだと思う(笑)。前半もラストに差しかかり「名前のない鳥」、ライブの定番曲だけど、この日の3声やっぱりすごかった。淡路さんとmayugenさんとたもつさん、3人の声がその豊かな個性のままひとかたまりになってパーン!と会場を圧倒する感じ。ミュージック・マガジンのインタビューでたもつさんが話していた、夏秋さんのもと今回のアルバムで徹底してコーラスワークに注力したということが、ライブの歌声にも表れているんだと思った。ラスト、淡路さん作ノリノリカントリー曲「麗しの四姉妹」、荒くれ者たちが大騒ぎの歌と演奏楽しい~!これで前半終了。

 

■後半
もうここまででも、驚くほど密度の高い演奏と歌をたっぷり浴びて放心状態…。10分ほどの休憩のあと後半へ。たもつさん淡路さんmayugenさんのみがステージに登場、3人だけでアコースティックセットでカバー曲を。最初にビートルズ「Here Comes The Sun」、たもつさんが数日前に「激安だったけどイイ音」とSNSで披露していたovationがたまらなくよい音で鳴ってたなー。CS&Nのカバーは十数年前にミーニーズを始めたたもつさんの志の原型を聴くようで、すばらしくて胸打たれた。

 

バンドメンバーが入り、ゲストのkey松野寛広さん(birch、夢見る港)もキーボードに~。やんややんや!もう、一人で千人力というか、そこにいるだけで頼もしいこの絶対的安心感!夢見る港では、松野さんと青木さんはいつも立ち位置一番遠く離れてるので、こんなぴったり隣同士なのは珍しいな~などと思いつつありがたくガン見(怪しいファン)。では、といよいよ新譜から「イディオムズ」!!!!く~かっけーーー!たもつさんのアコギ、相本さんのベース、青木さんのギター、U太さんのドラム、松野さんのエレピ…と、ひとつひとつの楽器が次々重なり合ってあの魅惑の世界が生成されていく様子が魔法のよう。mayugenさんのひんやりしたコーラスもとてもよい。しっかし!青木さんのソロ!(この曲に限らずだけど)間近で嘘みたいな弾きっぷりをまじまじと見入るんだけど、楽器の知識がまったくないので結局カッコイイことしかわからない!!!!たたみかけるように「午前0時2分」、好きーーー。松野さんのキーボードの仕事っぷり!この曲3声の位置取りかなり繊細と思うのに、うつくしくピタッとキマルなあ…。アウトロ、たもつさんのアコギからの青木さんのギターの謎音(でも目の前で実際に弾いてるからびっくりする)、はー最高だ…なんでこんな超絶カッコイイ曲を作って演奏できるんだろ…。

 

淡路さんがMCでレコーディングのことを。『Our new town』は高崎のスタジオで録音したんだけど、なんとそこは淡路さんの実家から徒歩3分ぐらいの近さなのだと!すごい偶然だ…。そんな話のあとに「さよならジンジャー」。プロダクションノートに淡路さんが一番好きな曲だと書いてあったけど、この日のボーカル、のびやかでおおらかでひときわ素晴らしかったな…。ミーニーズのボーカリストここにあり!という堂々たる歌いっぷり。それにしても、もしかして第2部はアルバム曲順通りなのかな?ニューアルバムの珠玉のナンバーが次々に演奏されていくので、うれしい反面、次第にラストに近づいていくのを感じて早くも寂しくなっちゃう…。

 

出色の長尺曲「雲の影」。無骨なダブルボーカル、不穏な旋律をなぞるコーラス、サイケデリックみ極まる鍵盤、次第に熱を帯びていく楽器群、激しさに自らを投じていくギター…オーディエンスも混沌に巻き込まれてどこかに連れ去られて、その挙句ふと知らない場所で目が覚めるような、何ともいえない感覚。曲が終わったあと一瞬呆然として、ハッと我に返ってやっと拍手するような感じだった…。魂持っていかれる、危ない。ふー。

 

やはり演奏はアルバム曲順で、「春は間近」。さりげないけれど聴くほどにクセになる曲。ラストのコーラスが70年代カレッジフォークっぽくて好き。私は遅めのミーニーズファンで最初に観たのがmayugenさんボーカルだったけど、その時から変わらない、mayugenさんのスッとした雰囲気にずーっと魅かれてるな~。かわいらしいのにまったく物おじしない、ヘンに衒いもしない、あの感じ。「さすらい人」では、その前たもつさんが弾いてたovationを淡路さんがしょってギター×3で。そしてあっというまにラスト曲「ひとみしり」へ。秘密のミーニーズらしい曲、コーラスだなあと思う、昼間のライブハウスでみんなで聴くの楽しい!

 

わーん終わっちゃった…という名残惜しい気持ちで(たぶんお客さんみんな)力いっぱいアンコールの拍手。メンバーはそのまままたマイク前に立ってくれて、たもつさんが「世界で一番好きなバンド」とはちみつぱいの名をあげ、でも“天邪鬼なので”他の人が演らなそうな曲をと「土手の向こうに」。わーーーー!これ、素晴らしかったなあ…。何度も書いてるけど、はちみつぱいの(スタイルはもちろん)スピリットを内側に持ってる人じゃないと、こういう演奏はできないと思う。慶一さんに聴いてほしいカバーだったなあ…!最後は淡路さんの「ミーニーズの歴史トークの続きはまた!」の言葉でお開き(笑)。

 

はーーー。サイッコーのライブだった!ライブ後の客席みんな、喜びにほてったような表情してた。ほんと凄かったなーアルバム曲も過去曲もカバーも。とんでもないクオリティの演奏と歌だった。生でこの完成度出せるバンド、ちょっとないのでは…。アルバムが高崎のスタジオで基本一発録りというのも、ライブでこの演奏ができるバンドの地力があってこそと納得だった。中でも、後半の並び順通りのアルバム曲の演奏は圧倒的なクオリティで驚愕。もともと演奏巧いバンドだけどこの日までに相当時間かけてリハを重ねたんだろうな…と胸が熱くなる。ワンマンライブ最高だなー、アタマからオワリまでぜんぶ秘密のミーニーズの演奏、ずっとたもつさんと青木さんのギターが鳴ってて、ずっとU太さんと相本さんのリズムが響いてて、ずっと淡路さんとmayugenさんとたもつさんの3声が聴こえてる。あろうことか松野さんのキーボードの音まで。これ以上しあわせな時間が思い浮かばない…。たもつさんによると、3月のペンフレンドクラブとの2マンライブの後も、いろいろ声がかかったりもしてて、今年はたくさんライブやりたいとのことだった。人生最優先事項として足を運びたい…!

 

■思ったこと
最初の、プロダクション・ノートの話に戻るけれど。このノートの冒頭の文章でたもつさんが、前作『down in the valley』を発売したのと同時期ぐらいに菅野みち子さんの活動休止が決まってしまって、途方に暮れていたときのことを振り返っている。遅く来たファンの私は、この、菅野さん休止後のライブが秘密のミーニーズとの出会いだったのだけど、(新譜の発売記念liveだというのに)たもつさんの口から出る言葉が「次いつどんな形でできるのかわかりませんが…」というものだったこと、すごく印象に残ってる。あのときのたもつさんの心情はこんな感じだったのだな…と覗き見させてもらった気分。

 

すごくいい形で進んでいたバンドから菅野みち子さんという稀有なボーカリスト&ソングライターを欠いたすぐあとのたもつさんやメンバーが、失意の底に陥るのは当然すぎるぐらい当然だったと思うけど、そこから新しいメンバーを得て、また秘密のミーニーズの新しい旅を続けてくれたことが、本当に今の私からは感謝の思いしかないというか…。傷心のたもつさんとメンバーが、でもそこで諦めずに「次」を模索してくれたからこそ、私は秘密のミーニーズに出会えたから。そして秘密のミーニーズの無二のサウンドは鳴り続け、『Oue new town』という素晴らしいアルバムも生まれ、こんなレコ発ライブも私たちは体験できた。ホントに感謝しかない。

 

バンドを続けるって困難だらけで面倒くさくて、いいことなんてちょっぴりしかないんだろうなと想像するんだけど、そこに集まったメンバーの感情と楽器と声がまじりあって、他のどこにもない「そのバンドだけの音」が生まれ出る瞬間のよろこびは、ちょっぴりのくせして無限大、なんだろうなと思う。自分で音楽を作ったり演奏したり勿論バンドを組むってこともできないリスナーの私は、いつもその無限大の音のよろこびを、大好きなバンドから受け取ってる。好きなバンドがそこに存在してくれることが本当に奇跡。

 

秘密のミーニーズ、いいバンドだなー、大好き!あきれるぐらいこれまでも何度も思ったことを、このレコ発ライブでまた思った。あらためて、『Our new town』発売おめでとうございました! 

 

【公式SNSよりセットリスト】

<前半>
01.フォーク、ブルース&リバイバル
02.モーニングレイン
03.走るあなたの光
04.Dark Star(Grateful Dead カバー)~Down By The River(Neil Young カバー)
05.やさしいことば
06.たんぽぽの女の子
07.おはなフェスタ
08.名前のない鳥
09.麗しの四姉妹

<後半>
(渡辺、淡路、mayugen Acoustic Set)
10.Here Comes The Sun(The Beatles カバー)
11.Helplessly Hopeing(CS&N カバー)

(松野寛広さんin)
12.イディオムズ
13.午前0時2分
14.さよならジンジャー
15.雲の影
16.春は間近
17.さすらい人
18.ひとみしり

<アンコール>
19.土手の向こうに(はちみつぱい カバー)

 

 

終演後にメンバーのみなさんつかまえてアルバムジャケにサインいただいてしまった!(1月のインストアライブ&サイン会行けなかった無念をはらせた…。)ガッツリ参加アルバムということでkey松野さんにもお願いしちゃった(右下)!超うれしい、ニヤニヤ眺めるー。(メンバーのみなさんお疲れのところスミマセン&ありがとうございました!)

 

特典のプロダクション・ノート。

 

秘密のミーニーズ

渡辺たもつ
青木利文
高橋U太
相本廉
淡路遼
mayugen

Guest 松野寛広

 

(2024/02/29記)