月夜のドライブ

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moonridersの数名による二、三の事柄 「80年代のムーンライダーズ~preトーク&ライヴ」 @ ニュー風知空知

恒例、ムーンライダーズの数名によるトーク&ライヴ。12/27に予定されているムーンライダーズの今年最後のライブが『80年代のムーンライダーズ』というタイトルになっていて、今回はそれに向けてのpreトーク&ライヴという位置づけ。メンバーが、博文さんくじらさん夏秋さん澤部さんって、ちょっとレアよね。

 

moonridersの数名による二、三の事柄 『80年代のムーンライダーズ~preトーク&ライヴ』」
2023年12月16日(土)
下北沢ニュー風知空知
出演:鈴木博文武川雅寛、夏秋文尚、澤部渡
時間:開場16時30分/開演17時
チケット:4,900円+ドリンク代600円
*今回は配信の予定はございません

 

 

開演してステージにメンバーお出まし。向かって左から、博文さん、夏秋さん、武川さん、澤部さん、の並び。細細高大、みたいな4人。本日は配信はなく、司会進行はマネージャーの野田さんがつとめる。80年代はそれまでとは音楽もファッションもがらりと変わりましたよね、という話から。レコーディング中に博文さんがくじらさんと連れ立って床屋で髪を切りに行ったエピソードとか、「白井さんはもう化粧をしていた」とか(笑)。一方65年生まれの夏秋さんはその頃ムーンライダーズ聴いてましたか?という野田さんの質問に、「XTC好きな人に教えてもらって初めて聴いてびっくりした、アマチュアアカデミーぐらいから聴いてる」という話。(でもその結構すぐ後に夏秋さんもう湾岸に出入りしているよね。その話もしてた。80年代の後半に博文さんと出会ったって。)澤部さんは87年生まれでリアル80年代の記憶はないので、あとから80年代のムーンライダーズを見て「いろんなことがすごい変化してる時代だと思うけど、その時その時に一番かっこいいアルバムを作ってるのがすごいと思う」という話。

 

最初はそんな感じで真面目に80年代を振り返り始めたんだけど、博文さんとくじらさんから、レコーディング中とかツアー中にメンバーにくだらないいたずらを結構したねという、修学旅行中の小中学生のようなふるまいの話がたくさん出てきて。野田さん「そういう話を聞きたかったわけじゃないんです!」博文「配信なくてよかったね」というような(苦笑)。でも夏秋さんが「今も楽屋とかの会話見てるとあまり変わってないですね」と証言(笑)。

 

あといろんな話あった中でなるほどーと思ったのは、(何か解説本とかで既に書かれているのかもしれないけど)ドントラのエピソード。「DON'T TRUST ANYONE OVER 30」は元は良明さんがMIDI時代に書いてお蔵入りしてた曲で、博文さんが詞を書いたんだけど「Don't trust over 30」は入れてくれと慶一さんの指定があり。で書きあぐねてたときに外国の人に(文法的に?)「anyone」を入れたほうがいいと言われ、それで曲にのったと。なるほどそれでアルバムと曲ではタイトルが違うのか~。あと博文さん曰く「慶一がコンセプト好きだからアルバム制作の途中からだいたい何か言いだしてきて、俺はそれに対して一石投じる」まあそれで変わったりはしないんだけど、一石投じることに意味がある、というような話も。ムーンライダーズの中に、兄弟という気のおけない関係性の2人がいる意味合いをあらためて考えたりもした。

などなど、くだらないことから貴重なことまでの多様なお話。配信ないせいか、野田さんの司会進行も隠しきれない毒がポロポロ出て超おもしろかったんだけど、書ききれない!あと澤部さんが「80年代はライブもすごいですよね、廃墟のセットでやったりテントの中でやったり。」今僕ら含めまわりでそんなライブやってる人いないですもん、と言うと、博文さんが、まあああいうことやっても一銭にもならないんだけどね、と(やや自虐的に)。でも、それを受けて最後に野田さんが、「でも80年代の大がかりでコンセプチュアルなあのカッコイイライブを観て衝撃を受けた人たちが、今に至るまでムーンライダーズのファンでい続けていて、あとから赤字で大変だったとかは聞くけど、あの頃にああいうことをやったことが、今もムーンライダーズを支える源泉になってるんじゃないかと思うんです」(大意)と、半ば(以上)ファン目線のコメントで締めてくれて、ほんとにそうだなーと思ったな。

 

会場にメトロトロンでおなじみのエンジニア原口宏さんも来ていて、ちらっとコメント。原口さんは仕事を始めた最初がライダーズなのでその頃はそう感じてなかったけど、あとから、一番特殊なバンドの中にいたんだなーと思ったと。ちょうど湾岸スタジオを作ってアルバムの録音もそこで始めた時期で、メンバーがかわるがわるやってきて、岡田さんの日は高いシンセを何台も持ち込んできたのが印象に残ってる、というようなお話。

 

まだまだ話はいくらでも尽きなそうだったけど(そりゃそうよね)、切り上げてそのままゆるっとライブへ突入。博文さんと澤部さんはアコギ、夏秋さんは電子パーカッション、くじらさんはバイオリン。「初めての組み合わせだね」とメンバー自身も言っていたけど、このレアな4人のアンサンブルがとてもよくて胸打たれたな…。うまく言えないけど、風吹く冬の海岸でザラザラした砂のひと粒ひと粒に触れるような、「素」を感じるような音。たぶん、この4人のメンバーの飾らない無骨な人柄と、楽器のアコースティックな響き(夏秋さん電子パーカッションだけどバウロンとかそういう感じの生っぽい音だった)があいまって、そうなってた。ソリッドで、でも温かくて、よかったなあ…。音数の少ない演奏の中を、自由にそして自在に縫っていくくじらさんのバイオリンがすばらしかった。「ウルフはウルフ」の博文ボーカル+澤部コーラス(他の曲ではまたその逆とか)も沁みた。大好きな博文曲「服を脱いで、僕のために」を聴けてうれしかったな…。(80年代の曲じゃないケド)

 

01.無垢なままで
02.ウルフはウルフ
03.服を脱いで、僕のために
04.狂ったバカンス
05.Frou Frou
06.二十世紀鋼鉄の男
encore
07.くれない埠頭

 

 

中2か!いや小5か!とツッコみたくなるわんぱくエピソードの印象が強かった80年代トークだけど、ライブは絶品でした…。いろいろな組み合わせのそのときしか聴けない演奏も、この「二、三の事柄」の魅力だね。メンバーのみなさん、司会の野田さん、ありがとうございました!

 

 

(だいぶ時間差で、この記事は【あとからメモ】として記録しました。2024年2月)