月夜のドライブ

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「Hourglass JAPAN TOUR 2023」Hourglass、秘密のミーニーズ、Merchant @ 下北沢mona records

ほぼ1年ぶりのライブとなる秘密のミーニーズがお目当てで足を運んだライブだったけれど、どのバンドもとてもよかった。そして、メインアクトだったフィリピンのバンドHourglassが、好きにならずにいられない素敵さで!フィリピンから来てくれてありがとう~、と大きな声で言いたい!貴重な来日公演の観客になれてよかった!

 

2023/09/09 (Sat)
Hourglass JAPAN TOUR 2023
下北沢mona records
出演    Hourglass / 秘密のミーニーズ / Merchant
時間    open 17:30 / start 18:00
料金    前売:¥3,000+1Drink

 

 

Hourglassは、私はまったく知らなかったのだけれど、日本人の新里陽平さんがフィリピンで出会ったメンバーと組んだフィリピンのバンドだとのこと。SNSでは、新里さんがライブに向けてメンバーを日本に呼ぶための手続き(大量の書類を揃えたり司法書士とやりとりしたり)に奔走している様子が(秘密のミーニーズのアカウントや、HourglassのサポでKeyを弾いたみんみんさんのアカウントなどから)伝わってきていた。ライブの予約メールを送るときに「メンバーが滞りなく来日できますように」と書き添えたら、新里さんから「頑張ります!」とのお返事。それからずっと、みんな無事来日できるかな~、と気になっていた。なので、当日少し早めにモナレコードに着いて並んでいた際、フィリピンのメンバーの姿が目に入ったときの『わーよかったー!ほんとに来れたんだ!』という心の中の安堵と感動がすごかった(笑)。新里さんやメンバーはまさにライブの前からがドラマだったと思うけど、イチ観客の私でさえもプチドラマにすでに巻き込まれていた感じ。

 

 

■Merchant
ソールドアウトだったこの日は、会場内もお客さんでみっしり。まずはオープニングアクト1組めのMerchant。演奏前に新里さんがマイクの前に立ってMerchant栗田将治さんとの昔からのつながりを語ってくれた。ギターボーカル、ベース、ドラム、3人のシンプルなサウンド。栗田さんのメロディも声もギターも、ラフなんだけど何ともいえない甘さがあって魅力的。パッと見いかついベースの方が、ゆらゆらと大きな動きで弾きつつ意外な高音コーラスを聴かせてくれてビックリ。Merchant、風船ガムふくらましながらストリートをずんずん好きに歩くような、そんな気分になる音楽だった!

 

■秘密のミーニーズ
楽しみにしていた秘密のミーニーズ。こちらもまず新里さんが紹介を。昔からつながりがあって、たもつさんのバンドで新里さんがギター弾いたりしたことも過去にあったそう。秘密のミーニーズもMerchantも新里さんがHourglassのライブをやるときには出てもらおうと思っていたバンドで、そういうところも、この日のライブの温かい空気をつくっていたのだろうな~。

 

待ってたー秘密のミーニーズのこの空気!えもいわれぬ緩~いジャムり(まるで中津川とかにいるみたいよ)から「フォーク、ブルース&リバイバル」。バン!と出てきた3声コーラスに身震いする。たもつさん淡路さんmayugenさんっっっ!明らかに、以前と違う迫力と熟成!ライブをお休みしていたこの1年近く、レコーディングの中でどれだけ3人のボーカリストそしてバンドの力が高まってきているかというのが一瞬でわかるようなオープニングだった。久しぶりのU太さんのドラム、相本さんのベース、青木利文さんのギターの組み合わせに「これこれ…!」と思う。やー秘密のミーニーズカッコイイな!大好きだ!続く「おはなフェスタ」のmayugenさんのボーカルも、コーラスも、緻密で力強くて素晴らしかったなあ…。(ちなみに私、淡路さんがMCで言ってた「前回10月のライブ」(高円寺ウーハ)を見逃しているようで、私の中で秘密のミーニーズのライブは最重要最優先事項なのになぜ行けてないんだろう?って考えたら、父の入退院とオットの急な入院手術が重なったときだった、これは仕方ないか~。)

 

後半は新曲の嵐。「さようならジンジャー」素敵~。ジェイ&アメリカンズみたいとも思ったし、淡路さんの声とmayugenさんの声の素晴らしいコントラストがニノ・テンポ&エイプリル・スティーブンスみたいとも思ったし。アメリカンポップスきっての美しいメロディと美しいコーラスワークが再びここに結晶したような曲。ゆったりしたテンポのドリーミーなこんな曲を、こんなにきっちり美しく令和の世に響かせられるの秘密のミーニーズぐらいなのでは…!?

 

と思ってたら、次のサイケなイントロから始まる長尺ダーク曲が凄かった…グレイトフルデッドはちみつぱいか…。一転して男っぽい、淡路さんとたもつさんのダブルボーカルよかった。ぞくぞくするようなふたつのギターの絡みもたまらん。そして呻りをあげて火を噴く青木さんのギター!なんでも弾ける人だけど、こういう道を外れたときの音が一番好きだー…。ラスト曲はまた雰囲気変わって、乾いた風が吹く軽やかなカントリーロック。ひゅーひゅー。

 

全5曲という短いセットながら、レコーディング(ほぼ終盤だとか)を経たバンドの凄みを感じて心震えたな…。新曲が、新境地。レコーディングを続けていた時間がそのままバンドの果実となってるのを目のあたりにしたようだった。このボーカルとコーラスの複雑な響きも、足腰のしっかりしたセンスよいリズムも、絶品のふたつのギターも、やっぱり唯一無二としか言いようがない。秘密のミーニーズすごいバンドだなあ。そして、たぶん次のアルバムとんでもないことになってる…。11月のCHAINSのレコ発ライブも、(まだ日程は未定だそうだけど)その先のアルバムの発売も、めちゃめちゃ楽しみ!

 

(公式SNSよりセットリスト)
1 フォーク、ブルース&リバイバル
2 おはなフェスタ
3 さようならジンジャー
4 雲の影(新曲・初披露)
5 ひとみしり(新曲・初披露)

 

■Hourglass
セッティング替えの時間を挟んで、本日の主役Hourglass!メンバーは、(新里さんのSNSによると)新里陽平(ギター)、Andrew(ボーカル)、Dennis(ドラム)、Willord(ベース)、(ほんとはあと一人メンバーがいるけど今回は来られず、)そしてサポートメンバーに望月慎太郎(ギター)、みんみん(キーボード)。

 

ライブを予約したときには、Hourglassがどんな音楽性のバンドなのかもまったく知らなかったのだけど、アダチヨウスケさんが新里さんの地元の栃木で撮影したというMV(すごくステキなMV!)を事前に見て、「ボーカルは英語なんだね」って知ったり(←そこから)、何より「オーセンティックなロックミュージックなんだ~!」ってびっくりしたりはしてた。(フィリピンのバンドだから何かフィリピン的な郷土色が強い音楽なのかと思っていた私、了見が狭かった。)

 

この日ナマで演奏されたHourglassの音楽、粒揃いのいい曲ばっかり!スケールの大きいサウンド、胸がキュンとするようなグッドメロディ、そして何よりボーカルのアンドリューの人懐っこい笑顔と歌声。これは…、好きになっちゃうやつだ!!!!いやほんと、Teenage FunclubとかWeezerとか(あまり詳しくないんだけど)肩並べるんじゃないかって思っちゃうような王道オルタナサウンド

 

バンドの結成の経緯もMCで話してくれたのだけど、新里さんが仕事でフィリピンセブ島に赴任して、最初はすぐに帰りたいと思ってたんだけど、いろんなクラブ活動が盛んな中に音楽系もあり、中でもフィリピンでは珍しいオルタナティブロックを自分たちで作って演奏していたアンドリューたちと意気投合してバンド結成、という話だった。フィリピンではメタルバンドがすごく多くて、ドラマーのデニスも掛け持ちしているバンドはヘビーメタルばかりなのだと。(優しげな顔して、ゴリゴリのパワードラムだった!笑) タイトな演奏はさすがの長年のバンドの絆と積み重ねを感じさせてくれたし、サポートのふたりもサウンドを盛り立てていて。みんみんさん、いつもながら男前でため息出るほどカッコイイキーボードプレイ!長めのソロを聴かせてくれた曲、とってもよかったなあ…。

 

聴いているあいだにHourglassの音と人柄にすっかり魅かれてしまって、新里さんが数々の困難を乗り越えてでもこのバンドを日本のみんなにも見てほしい、聴いてほしいと思った気持ちがすごくわかるような気がした。そりゃこんなバンド、是が非でもみんなに紹介したいって思うよね!実際、渡日に必要だった書類の束を見せてくれてその分厚さにびっくりしたけど。本当に、彼らを呼び寄せてくれた新里さんのパワーに感謝。

 

アンコール、彼らがまだ結成して間もないのに韓国の音楽フェスに呼ばれて行ったときの現地のナンバーと、最後にナント!サザンの「いとしのエリー」のタガログ語カバーを聴かせてくれた。サザンのカバーというよりは、フィリピンに昔からたくさんある日本曲カバーの1曲で、アンドリューたちは小さい頃からカラオケで歌っていたらしい!それまで縁のなかったフィリピンのバンドの生演奏を聴いてこんなにも「いいな」と心動かされたり、いっしょに日本のポップスをシンガロングしたりするの、ちょっと夢の中みたいなハッピーな体験だったな…。

 

(新里さんSNS画像よりセットリスト)
1. Selfless
2. Desire
3. Silhouette
4. Pheromones
5. Crisis Of Life
6. Words Of Love
7. Lady In White
8. Maisa
9. Pacing Forward
10. No Regrets
Encore
1. Yeosu Night Sea (Busker Busker cover)
2. Honey My Love So Sweet (April Boys cover)

 

アタマから終わりまで楽しくていいライブ。すっごく温かくしあわせなキモチで帰路についた。新里さんはじめライブの開催に尽力してくれた方々、はるばる来日してくれたHourglassのみんな、出演バンド全員とスタッフのみなさんに、大きな声でありがとう!!!!って言いたい気分。

 

ライブからだいぶ時間が経った今、フィリピンの彼らは元気かな~なんてふと思ったりする、そんなささやかな心のつながりが自分の中にできたことも、貴いことだなって思う。

 

 

(当日ではなくあとからだけど)CDも買ったよ~