月夜のドライブ

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夢見る港 ワンマンライブ @ 早稲田RiNen

告知があって以来、遠足前の小学生のように指折り数えてワクワクと楽しみにしてた夢見る港のワンマンライブ。なんと結成12年で初めてのワンマンだとか。頭から終わりまでぜーんぶ夢見る港、なんて贅沢な…!もう最高すぎてどうにかなっちゃいそうだった。

夢見る港 ワンマンライブ
2023/10/14(土)
Live Space早稲田RiNen
open 18:30 / start 19:00
ticket adv/door 2,500/2,800 +1drink

 

これまでご縁がなく初めて行った早稲田RiNen、駅から近いし大きさもちょうどよく雰囲気も素敵な小屋。開演前、位置取りに迷いつつ座ってたら、なみきさんが「そこだと私に隠れてギターが見えないかも…」とわざわざアドバイスくださって(笑)空いてた別席に移動して吉でした!(なみきさんご助言ありがとうございます~。)場内どんどん埋まって開演までには満杯、客席ミュージシャン率高かった。

 

■1st Set
ステージに7人揃うこの絵面は、レコ発以来3か月ぶり。ほんっとーーーに絵になるバンドだなあ、音出す前からもうカッコイイ…。夢見る港はちょうど“幻の1st”の配信が1か月前にスタートしたところで、オープニングはその1stの1曲目でもある「西ヶ原サンセット」。長坂さんの静かなスキャットになみきさんのやわらかなトロンボーンの音が沿い、アダチさんの軽やかなバンジョーがはずみ、松野さんの魅惑のエレピが追いかける。他の何物でもない、夢見る港のサウンドだなあ…。

 

今日のライブは2部構成で1stセットはファースト~セカンドの曲を中心に、とのこと。ブレイクをめちゃめちゃ引っ張る「ハナレバ」楽しい~。夢見る港初心者ファンの私はライブで初めて聴く曲もいっぱい。そして長坂さんが「今日は僕とまっつんでそれぞれ新曲を作ってきました」と、まずは長坂さん曲の「グッデイ」。タイトルどおりのゴキゲンなポップナンバー!ベースがブーンブーンっていって長坂さんとなみきさんの2声が分かれてくとこ、気持ちよくって耳に残る。そしてただでは終わらないアウトロの青木利文さんのノイズ…いきなり雲行き怪しくてカッコイイ…。と思いきや、「白い部屋」の静かなメロディを彩る、余白をたっぷり含んだ甘やかなギターの響きもたまらなくよい…。この音色からあのアグレッシヴなアプローチまでの青木さんのギターの振り幅に毎回驚き続けてる。

 

この日はカバー曲も。Philamore Lincolnの「Temma Harbour(邦題・夢見る港)」。バンド名をここからもらってるのでいつか演らなきゃと思ってた曲だそうだけど、このカバーよかったな~。ベースはフレンチ・ポップっぽいおしゃれな曲調、アダチさんのマンドリンの響きが美しい。でも一瞬荒くれていっちゃう感じもあって、夢見る港だなあって。優れたポップソングでありつつ、なぜか道を外れて不穏な空気が出ちゃうのがたまらなくこのバンドを好きな理由。

 

さらにもうひとつの、松野さんによる新曲「VPG」(vampire girlの略と)。なんと、フロントの長坂、なみき、アダチ、が楽器を持たずに(アダチさんは持ったままでいたけど 笑)丸腰で、「歌」を聴かせるというチャレンジ曲。コレとんでもなく美しいメロディだったなぁ…。それぞれの声の重なりが大大大好きな私としてはもう待ってました!の1曲。最初、長坂さんがウワモノをかなりのっけたアレンジしてたのを松野さんが却下(笑)してこうなったのだとか。新機軸。メロディも3声の重なりもピアノの旋律もうっとり、素敵だった。

 

それにしても次から次へと夢見る港の珠玉のナンバーが演奏される空間、この7つの楽器の音が溶け合うのをナマで聴ける時間、なんて贅沢なんだろう。永遠に終わらないでほしい…と切実に願いながら1曲1曲大切に聴く。

 

■2nd Set
休憩を挟んでセカンドセット。『やあ、おはよう』の「opening」から。メンバーが音を奏で始めると、たちまち映画のワンシーンの中へと連れて行かれるよう。この幸福感…。からの、マサキングさんのベースのイントロ、「サンダークラップニューマン」。アダチさんのマンドリンと青木さんのスライドギターと長坂さんのアコースティックギター。この3人の弦がひとつのバンドで鳴る意味、ね…!アルバムでもライブでも、何度聴いてもつくづく震撼としてしまう。すべての楽器含めた信じられないほどの美しいバランス。全世界に嫉妬されてもフシギじゃないほどの豊饒な音。

 

発売以来リピしまくってもう耳に住んでるサードの曲が次々に目の前で演奏されてシアワセ…。そして、初ワンマンを見守る(たぶん)古くからのご友人多数を含む満員のオーディエンスの温かい空気も心地よかった。MCでなみきさんが「すごく緊張してます」と言うのに対して長坂さんが「ワンマンは全員味方だから」と(半ば自分を励ますように?)言っていたけど、ホントそうよ~。愛されてるバンドだなーと実感した。その初ワンマンに、遅れてきたファンの私も同席できて嬉しい…。

 

「ロージー」2コーラス目、アダチさんのvoにキターーー!となっちゃう。いつも思うけど、この詞(聖堂の入り口で/神に祈る人を/ぼんやりと眺めてた)をアダチさんが歌うというのが、もうなんともいえず合いすぎててよくてよくて悶え死ぬ。アダチさんが歌うことを想定して松野さんが詞を書いたわけではないと思うけど(想定してたのかな?)こういう奇跡を引き寄せるのがバンドなんだなーと思う。うー好きだ。

 

畳みかけるように演奏される名曲そして名曲、の嵐。後半は7月のレコ発のときにも近い、わりとアルバム曲順どおりのセトリだったかな。「紅いクチバシ」の青木さんの謎ギター!どうやって弾いてるの!(と、毎回思う。)そしてインプロ始まりの「真冬の病」!イントロのすさまじい嵐をいったん長坂さんのアコギと歌が引き取って、微熱のまま淡々と流れていく。この曲の青木利文さんのギターが初めて聴いたときから気を失うほど好き。本編のこっくりと甘いココアのような音も、アウトロでふっと表情を変えてまわりを破壊しにかかる物騒な音も。命が九百あっても足りないです…。

 

本編ラストは堂々のキラーチューン「香りと全て」。何度書いても書き足りないけど、でも書くけど、ほんっとーに名曲すぎるのよ…。あの印象的なギターのイントロを、そしてその裏の駆け降りるエレピの旋律を、引き出すメロディーってもうそれだけで珠玉じゃない?ゴキゲンに行き来するベース、やわらかなフルートの音色、心弾むバンジョーの音、そして全楽器の音をこまやかに見届けながら鳴るドラム、長坂さんのボーカルとアダチさんのコーラス。最高のアンサンブルだ…。

 

■アンコール
盛大な拍手で、メンバー4人がステージに戻りアンコール。レコ発のときに、長坂さん&松野さんだけで(シナトラばりの長坂さん歌唱で)披露した「やあ、おはよう」を、しっとりと4人で。さらに頼もしいスーパーサポメン3人が呼び込まれ、長坂さんが「コーヒー」と曲名を告げると、ヒュー!と客席の盛り上がりも最高潮!12年目にして初の、記念すべきワンマンのラストに奏でられるこのイントロ、いっそうグッとくる。メンバーの増減や入れ替わりもありつつ、ひとつのバンドをずっと続けていくってほんとうに大変なこと。でもこうして「夢見る港」でしか鳴らせない音世界を、長坂さんやメンバーが大事にしてバンドを続けてきてくれたおかげで、私のようなぼんやりぎみのファンもこの音このバンドに出会えたし、ここでこうしてワンマンライブにも結実した。何より、「夢見る港」のかけがえのない音が、ここから世界に向けて鳴り続けてる。長坂さんが歌いなみきさんが吹き松野さんとアダチさんが弾きスーパーサポメンの3人ががっちり守る、今の夢見る港宇宙一だよ…。やまぬ拍手に導かれダブルアンコール、「時間」。ひそやかさと荒々しさの緩急!サイコウだーーー(泣)。

 

はー。夢見る港、もう好きなところしかなくてどこ見てもなに聴いても史上最高…。1曲1曲にひとつのライブに相当するぐらいのドラマがあって濃密で片時も目が離せない。こんなにいい曲をつくりいい演奏をするバンドのリアルタイムのファンでいられるなんて、今の時代に生きててよかった…。

 

あまりにも前から楽しみにしていたワンマンが終わってしまって寂しいけど、まだ12月にも忘年ライブあるし気を強く持って生きよう…。夢見る港、ワンマンライブおめでとうございました!また次もその先も超絶楽しみにしてます!!!!

 

 

セットリスト(公式SNSより)

【1stセット】
01 西ヶ原サンセット
02 spring
03 ハナレバ
04 グッデイ
05 白い部屋
06 temma harbour
07 VPG
08 絶望ではない

【2ndセット】
09 opening
10 サンダークラップニューマン
11 一滴
12 summer in the rain
13 ロージー
14 紅いクチバシ
15 真冬の病
16 tears
17 香りと全て

【encore】
18 やあ、おはよう
19 コーヒー

【encore2】
20 時間

 


夢見る港

長坂雅司(vo,ag)
アダチヨウスケ(banjo,mandolin,cho)
松野寛広(key)
並木万実(trombone,flute,cho)
support
青木利文(eg)
木下正樹(bass)
ナカムラハヤト(dr)

 

(この記事は【あとからメモ】として記録しました。2024.02.03)