月夜のドライブ

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moonriders “EBISU JAM 2023” @ 恵比寿ザ・ガーデンホール

EBISU JAMと銘打った恵比寿ザ・ガーデンホールでの4日連続ライブイベントの、4日目がムーンライダーズ。(ちなみに10/6は渡辺香津美トリオ、10/7は佐藤浩市「役者唄」、10/8はSKYE(鈴木茂小原礼林立夫松任谷正隆)だった。)最近多かった、何かのアルバム名が冠されているライブではなかったので、何を演るのかな?とわりとフラットな気持ちで当日会場へ。

 

~YEBISU GARDEN PLACE 29th ANNIVERSARY WEEK SPECIAL PRESENTATION!~
[DAY 4]2023/10/09(月・祝)
東京・恵比寿ザ・ガーデンホール
開場16:30 開演17:00
出演:ムーンライダーズ
鈴木慶一(Vo,Gt) / 白井良明(Vo,Gt) / 鈴木博文(Vo,Ba) / 武川雅寛(Vo,Vn,Tr) / 夏秋文尚(Dr,Cho) / 澤部渡(Vo,Gt) / 佐藤優介(Kb,Cho)
チケット:全席指定 ¥8,800(税込)
※ドリンク代別途必要 ※未就学児入場不可

 

 

今回私の席は(ファンクラブ先行発売もなかったので)可もなく不可もなくというような位置取り。ガーデンホールの客席は前から半分ぐらいまでは床に傾斜がないので低身長組にはちとつらいが、始まってみたらわりと全員が目に入る席だった!ステージ上のセッティング見ると今回もちょっと特殊な並び、前列向かって左からくじらさん、良明さん、博文さん、後列向かって左から慶一さん、澤部さん、優介さん、夏秋さん。後列両端の慶一さんと夏秋さんはちょっと高い台の上、そして良明さんがセンター! 

 

メンバーがステージに登場し、慶一さんの「ムーンライダーズです!みんな一緒に歌ってください!」で始まった1曲目はなんと「BEATITUDE」。のっけからこの曲とは~。つややかなくじらさんのバイオリン、そしてのびやかな良明さんのギターソロ。この曲恒例の腿上げを良明さんが始めたと思ったら、後方の慶一さんまでわざわざ前に出てきて、いつものように腿上げ合戦!さりげに博文さんまで参戦してたのを(ベースを抱えたまますぐ後ろのドラム台の端っこに寝転んだような状態で!)ギタリスト2人は気づいてただろうか!?

 

からの、このかっけーイントロは!久々「果実味」!ど~よ!!!!どすどす鳴る重たいドラム。良明さん+澤部さんのボーカルもつよっつよ!この日、向かって左方面に位置してたギターボーカル3名(慶一、良明、澤部)が、終始めちゃめちゃよかったんだよね~!『ギタリストデルタ地帯からうまれる豊饒な音よ!』と思いながら聴いてたよ。優介さんの強気なキーボードの音で始まった「愛はただ乱調にある」には会場どよめいたよね…。次の武川曲・かしぶち詞の「窓からの景色」も久しぶりに演奏するナンバー。掘り出すと、いくらでもいい曲が出てくるムーンライダーズ

 

50年前の曲です、と紹介されて始まった「大寒町」。ムーンライダーズでもっとも古いナンバーのひとつでライブでも幾度となく演奏されている渋め曲だけど、なぜか、この夜の大寒町はものすごくキラキラしてヴィヴィッドに聴こえたなー。優介さんのピアノの音色も、良明さんのギターのフレーズも。くじら→博文→慶一とボーカルまわして到達するサビのハモリもキラキラフレッシュ!そんな風に聴こえることが意外で、この夜とっても印象的だった曲のひとつ。

 

「君に青空をあげよう」は澤部ボーカルがぴったんこだったなあ…青空の似合う歌声~。そして!そこからの!「僕は負けそうだ」!わー聴けてうれしい、大好きなんだよー(泣)。この曲は7月終わりの「二、三の事柄」ライブでも演奏されてた。あの小じんまりライブで感触試して→本編ライブでも演奏、っていうパターン時々あるね。直枝さんパートを澤部さんが歌うのオトコマエだったなー。

 

次の曲の始まりで博文さんがブルースハープ吹きまくり、そのままステージから降りてきて客席のあいだを練り歩き、オーディエンス大盛り上がり~!まだ何の曲かわからなかったけども!で、さらに慶一さんまでギター引っ提げて降りてきて、きょうだいでフレーズの掛け合い~。それでもまだ何の曲かわからなかったけども!ひとしきり客席を沸かせてステージに戻ってきて、ブルージーなフレーズから突入したイントロは「ニットキャップマン外伝」!うわわわカッケーーーー!!!!キャンバスに絵の具をぶちまけるような良明・博文のボーカルが荒く熱かった!

 

ちょっと長めのMC、慶一さんが「今日はファンハウスBOXからの曲が多いんですが、(自分は忘れてしまうので)まったく新曲のような気がしてます」と(笑)。そこから待ってましたという感じでしゃべり始めたくじらさんの唐突な人物当てクイズ、おかしかったなー。「1940年生まれの男性、誰でしょう?」えっ、それだけ…(笑)?「炭鉱夫の息子で」「南ウェールズ出身」とヒントを重ねるも客席は「???」となった挙句くじらさんが自分で「トム・ジョーンズの曲をやります」と(笑)「LOVE ME TONIGHT」へ!夏秋さんのどっどこドラムかっこよ!優介さんの華麗なソロも!慶一ボーカルも冴えてたなあ~サイコー。

 

切れ目なく楽器のそれぞれが荒れ狂うフレーズに身をゆだね、巻き起こる暗いインプロビゼーションの嵐、と思うとそこからド重いバスドラの打音がフッと抜け出て、ピーンと張りつめたギターのフィードバックの音だけが残り…慶一さんのエコーたっぷりの謎コールが天啓のように響く、寂しいピアノの音が降る、くじらさんのバイオリンが空気を引き裂く、「Instant Shangri-La」!!!!だ!!!!いやもうかっけーーーー!!!!なんてことだ!!!!サビで慶一ボーカルに従っていく良明、澤部コーラスのカッコよさ!何かに憑りつかれたようなこの音世界、なんなの!?“疫病のはやったころの考えなんかに/振り回されるのは勘弁してほしい”だよ、うわー、もう!!!!こんな音像立ち上げられるの、世界広しといえどもムーンライダーズだけだろうなーーー、断言できる。エイトビートに込められた怨念。このカッコよさを出せるのが慶一さんなんだよな。いつも、いつまでも、時代のアイコンだよ…。ひたすら鳥肌だった、カッコよすぎた。

 

さらに激しいインプロビゼーションが渦巻く中、黒い雲の裂け目からふわっと光があふれてくるようなギターとバイオリンのフレーズ、こぼれるピアノの音。「Smile」。全員で歌い回していくの、今日はとりわけソウルフルで、ファミリーっぽかったな。2声ユニゾンがいろいろな組み合わせになるの楽しい。

 

良明さんがMCで「みなさん今日は遠いところからもありがとうございます」と言い、「だんだん会う機会が…」と言いかけたところで、心の中で瞬時に『えーやだよー』と反応しちゃったんだけど、「だんだん会う機会がなくなったらヤなので、いっぱいやるのでいっぱい来てくださいね」って!!!!わーん良明さん~~~(泣)!で「楽しくやるよー!」と威勢のいいかけ声からの「HAPPY/BLUE '95」!盛り上がらないわけない!えいちえーぴーぴわーい!

 

MCで、12/27に六本木でライブがあるよ!とか、「80年代」テーマでやるよ!とか、昨年末の「マニア・マニエラ+青空百景LIVE」がリリースされるよ!とか、「二、三の事柄」シリーズで慶一さんひとりで熊本行くよ!とか、告知たくさん。客席うれしくて大拍手。バンドが精力的に動いてるってなんてしあわせなんだ…!

「岡田くんの曲をやりたいと思います」で「Cool Dynamo, Right On」。慶一詞+岡田曲の大名曲。現実に詩情をチョッピリ、なんてのんきなやり方じゃないんだよ、現実のほうを詩情に激しく巻き込んでいくんだよねムーンライダーズは。過激で大好き。なんて美しいメロディなんだろう…と思いながら、上を見上げてまたちょっと涙がにじむ。これからも何度だってそう思うよ、岡田さん。

 

「Happy Life」チープなキーボード音と爆音ギター、疾走するメロディ、ノリノリの良明&慶一ボーカル、まるで文化祭バンドのような楽しさ。アウトロから良明リフが抜け出してドラムが続き「S.A.D.」になだれ込むの、カッコよかったなー!それにしてもくじらさんのボーカルは、ここのところめきめき強さと凄みをまとって未踏の境地に。たぶん会場にいる全員が、今のくじらさんの声が最高に魅力的!と思ってる。強靭でつややかな良明さんギターのリフ、壮麗なシャンデリアみたいな優介さんのピアノ!惜しみなく押し寄せる音、音、音!ふはーサイコー。ラスト、これも岡田曲「ぼくはタンポポを愛す」を聴けてシアワセ。澤部(高)+博文(低)さらに+くじら(低)のボーカルの色気!全員でひとつの生き物、みたいな自由自在なボーカル、この日ずーっとよかったなー。

 

熱いアンコールの拍手でメンバー再びステージに。慶一さんが「何かしゃべりたい人いる?澤部くんどうですか?」に応じて澤部「今回の選曲、僕と優介でやったんです。FUN HOUSE以降の曲で固めようって。喜んでもらえてうれしいです」ニコニコ。慶一「優介くんは何かありますか?」優介「…大丈夫です!」(笑)。

 

アンコール1曲目、慶一さんのカウントで、まさかの「名犬ロンドン物語」!BPM~(笑)!若い助っ人がいるとはいえ、70代の演る曲じゃねぇ!あっつーまに終わった(笑)!お見事!アンコール大ラスはまた「岡田くんの曲をやります」で「黒いシェパード」。70年代も80年代も90年代も00年代も、岡田さんの曲は美しくて誇り高くて優しくて、ほんとうにムーンライダーズを象徴する存在だね…。静かにメンバー紹介をしながら、「We are moooonriders!」そして「Damn!moonriders」のかけ声とともにフィニッシュ。メンバー、最後ステージを降りて、客席の間を通って退場してくれた。また年末にね!

 

今さらだけど(そして何度言うんだって話だけど)、このバンドにまた惚れ直すようなライブだったなー。ここに来てまたかつてないほどフレッシュでヴィヴィッドなバンドサウンド、ビックリしたしカッコよかったしスゴかった。岡田さんのことだってもちろん寂しくて仕方ないはずだけど、でも、ためらってる時間なんかないしもうこのバンドで前に進むって決めてるからさ、とウインクされて、こっちがハッとするような感じだった。

 

ハッピーな曲もメロウな曲も激しい曲も時代にぶっ刺さる曲も。いまだ疾走し続けててずっと先で微笑むAround 70のモンスターバンド。全っ然追いつけないけど、追いかけるー!

 

【セットリスト】

01 BEATITUDE
02 果実味を残せ! Vieilles Vignesってど~よ!
03 愛はただ乱調にある
04 窓からの景色
05 大寒
06 君に青空をあげよう
07 僕は負けそうだ
08 ニットキャップマン外伝
09 LOVE ME TONIGHT
10 Instant Shangri-La
11 インプロ~Smile
12 HAPPY/BLUE '95
13 Cool Dynamo, Right On
14 Happy Life
15 S.A.D.
16 ぼくはタンポポを愛す

Encore

enc1 名犬ロンドン物語
enc2 黒いシェパード

 

ライブの後、「ムーンライダーズ」がトレンドに!

 

(ライブの日からだいぶ経ってしまったけど、この記事は【あとからメモ】として記録しました。2023.11.23)