月夜のドライブ

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「歌うギタリスト達の宴(青山陽一、田中拡邦、鈴木茂)」@下北沢CLUB Que

画像土曜の夜行ってきました、痩身ギタリスト祭り…じゃない、「歌うギタリスト達の宴」。今年の私の初ライブ(出足遅かったなー今年は)だったわけだけど、もう大満足!3人とも素敵だったが、うーん、やっぱり好きだなー青山さん…。んもーカッコよかったっす(熱)。(で、音は聴いてきたのか…?以下、ネタバレしつつミーハー目線の感想中心に。)

 

「Root is One~歌うギタリスト達の宴~」 2007.2.17(sat) Place: 下北沢CLUB Que 出演: 青山陽一, 田中拡邦, 鈴木茂 Musicians(The BM's): Hammond Organ 伊藤隆博 / Drums 中原由貴

 

この日私は子どものドッジボール大会などがありバタバタで(同行のとりりんとKさんは私が「ジャージで来るんじゃないか」と言ってたらしいが、私はドッジボールはやっていません…)、着いたのは開場時間過ぎ。いつものQueなんだけど、うわめちゃ混んでますぜダンナ!さすがの痩身ギタリスト力…(違)。しかも開演までにどんどん人が増えてきて、身じろぎもできない状態。人のすき間からやっとステージが見えるか見えないか…ぐらい。

 

マイクスタンドが3本並んでて、私ととりりんとKさんは「右のスタンドが高いから田中くんじゃない?(K)」「真ん中ははやっぱ茂さん?(とり)」「いやさすがに主催の青山さんでは…(私)」「この角度から見たら田中くんきっとカッコイイよ~(K)」「王子、どんなかなー(とり)」「私は青山さんさえ見えれば…(私)」などとミーハートーク炸裂させてたんだけど、まず出てきたのが青山さん&田中くん&BM's(中原さん、伊藤さん)で、向かって右に青山さん左に田中くんでした。私は05年の怪隣以来の田中くんだったけど、相変わらずサラッと不敵な感じで悶えますな…。

 

青山さん&田中くんのカッコイイギタリストふたりで、まずはカバー曲とか持ち歌とかいろいろ。田中くんはママラグの代表曲(私でも知ってる…)中心にやってたような気がする、「目抜き通り」とか、あとのコーナーで(ナント江口さんがベースに入って)「春雨道中」とか。キャッチーなメロと甘いコード感と天性のボーカル、(しかもイケメン、)ほんと稀有なアーティストだなー…。こりゃ婦女子惚れるなっていうほうがムリ。ママラグをあまり知らないながらも私が特に好きなのは、この日もやってくれた「朝焼け」。前にも書いたけど、この曲で現れる彼の70年代ロッカー的なしたたかな持ち味にすごく惹かれる。たぶん青山さんも、田中くんのこういうオーセンティックな部分に惚れてるんじゃないかなーとか、勝手に思ったり。

 

その青山さん、さすがに持ち歌は少なくて「休符を数えて生きるのは」「難破船のセイラー」「月曜のバラッド」、あとのコーナーで「4D Raven」「Ultra Sonic Bicycle」、だったかな。「難破船のセイラー」は、本当に名曲、というかこんな曲どうやったら作れるんだろう、といつも恐ろしくなる。この音世界は、青山陽一って人がいなかったら存在しないだろうなとさえ。アコギに持ち替えての「月曜のバラッド」も相変わらず素敵だった。あとでやった「4D Raven」はナント田中くんとの掛け合いで。コレ、聴き物だったな~。キリンジ泰行さんに負けず劣らずの声の持ち主だものねー。うっとり…。終演後、とりりんと私は「つねに相手のほうが青山さんより上手いという(笑)」「そこがいいんだよね青山さんは」と、愛ある毒舌トーク(笑)。

 

茂さんコーナーは、ふたりコーナーの真ん中に挟まる感じで。赤いストラト、Tシャツにジャケット、相変わらずすらっとしててカッコイイ、恐るべきうさぎ年55歳。(慶一さんと同い年なんだねー。)最初はたしか、青山さんが「茂さんの曲じゃありませんが(笑)」と言いつつ「抱きしめたい」!うわー…。そういえば怪隣のときも青山さん&田中くんでこの曲カバーしてたっけ。でも、「茂さんの曲じゃなくても」王子のギターソロが入っちゃえば、もうはっぴいえんど以外の何物でもなくて。そしてその後も惜しげもなく放たれる名曲群。「100ワットの恋人」「ソバカスのある少女」「砂の女」…うう、濃すぎ。ナマでこの距離で。あー茂さんのメロディのどうにも淡い少年ぽさ、そしてボーカルの「きゅん」な感じ、たまらん…。

 

それにしても、青山さん、田中くん、茂さん、(茂さんセットでは田中くんベース弾いてたけど、)3人のギタリストの中では、いちばん年かさの茂さんのギターが、音も弾きっぷりもいちばんロックでヤンチャで、ものすごくおもしろかったなー。それに比べると激シブな青山さんのギター、繊細な田中くんのギター、全然ちがったストラト使い×3を聴き比べる体験、そうそうないゼイタクでほんと楽しかった。茂さんが引っ込んだあと、青山さんと田中くんで「僕らもあのぐらい動いたりしないと駄目なんじゃない(笑)」とかボソボソ話し、田中くんが「こういうのとか?」と♪ティラリラ…と早弾きしてみせると、青山さんが「できるじゃん…僕できないすもん」と♪ティ・ラ…リ・ラ…っていうやりとりが超可笑しかった。なんかいい味出しつつありますこのコンビ…(笑)。あと意外だったのは、あんまり喋らないだろうと思ってた茂さんが、いちばんMCしてたね(笑)!免許の話とか、バイトの話とか。「MCふっても茂さんからも田中くんからも返ってこないんで青山さんが困り果てて曲にいく」ってのに1500ストラト賭けてたんだけどなあ(笑)。

 

と、書ききれないぐらい見どころありすぎなライブだったんだけど、個人的にこの日いちばんキタのは、本編での「花いちもんめ」と、アンコールでやってくれたまさかの「はいからはくち」の2曲、かな…。「花いちもんめ」のイントロのフレーズ、すごいよね。まあ茂さんのギターのイントロはどれもすごいんだけど。それと、変な話だけど、松本隆さんの詞につくづくやられた。いまだになんという殺傷力、とあらためて空恐ろしくなったよ。「蜜柑色したひっぴーみたい」(はいからはくち)…だよ。日本のロックの歴史がこんなに長くなった今でも、こんなヘンテコで壮絶な言葉繰り出してる人、やっぱりそうはいない。「花いちもんめ」の茂さんのギターの間奏聴きながら、この海の向こうの音と日本語の湿度を違和感なくくっつけたはっぴいえんどの音楽は、やっぱり画期的な発明だったし、いまだに超えられていないかもしれないなーと思った。そういう意味では、青山さんも田中くんも、目指すべきものはまだまだ高い場所にあって、チャレンジングな立場かもしれないなと。(逆に言うと、そこを目指せてるから、こんな音楽を生み出せてるのだろうなとも。)

 

あ、そうそう、人波の彼方で姿なんかほとんど見えやしなかったんだけど、中原由貴さんのドラムと伊藤隆博さんのハモンドも素晴らしかった。中原さんのドラムはますます鋭く恐ろしいことになってたな。「はいからはくち」のドラムソロ、カッコよかった~。ま、ちょっとはっぴいえんどにしちゃ上手すぎるだろうって感じもあったけど(笑)。伊藤さんは、田中くんがベースを弾いてたとき以外は足鍵盤もブイブイやってたと思う。なんかの曲でトロンボーンも吹いてたよね!

 

やー3名様の細くてカッコイイところにばっかり目がいくかと思ったら(いったけど)、音がそれを上回るカッコよさで(当たり前)、参りました…。「歌うギタリスト達の宴」とはよく言ったもので、青山さんも田中くんも茂さんもみんなタイプはちがうけど、ギターの音に歌心を感じるというか。技能合戦とは別の場所にある、深みと背景のあるギターの音。そして歌。たっぷり楽しんじゃった。いいもの見ましたホント。