月夜のドライブ

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白井良明プロ生活50周年ライブ「50年、それがどうしたぃ!」 @ 浅草公会堂

言わずと知れたムーンライダーズのギタリストにして、名作曲家・名編曲家・名プロデューサーであり、下町のイカしたオジサンであるところの白井良明さんが、ご自身ゆかりの地・浅草でプロ生活50周年の記念ライブを開催!私は今回梅席からの鑑賞だったけれど、浅草公会堂はアットホームでどこからでも見やすい会場だし、なにより良明さんと良明さんの音楽は人を巻き込む力が強いのだ。ステージにすごい勢いで渦巻く愛に、私を含めひとり残らず巻き込まれまくったライブだったよ!

 

白井良明プロ生活50周年&ムーンライダーズ加入45周年記念 「50年、それがどうしたぃ!」
日時:2022年8月5日(金) 18:00開場/18:30開演
会場:東京・浅草公会堂
出演:白井良明
ゲスト:梅津和時鈴木茂仙波清彦、for instance [白井良明(G)/オータコージ(Ds)/柏倉隆史(Ds)/雲丹亀卓人(B)/コイチ(Kb)]、松尾清憲moonridersROLLY
チケット価格(税込み/全席指定): 松:18,000円(リハーサル見学・お土産付き) /竹:8,800円 /梅:5,000円

 

 

 

ステージを眺めながら開演を待っていると天井から聞き覚えのある声…小林克也さんによる開演前アナウンスが流れてきた!「~50年続けてこれたのも、ひとえにお客様、、、の前に立つ、“白井良明の力”によるものです」(笑)など、ユーモアたっぷりのMCに客席から笑いが。もー開演前のこんなとこから良明さん流の愉快なおもてなしが炸裂!そして一階席後方から朗朗とした木遣り歌が聞こえ、花道を一列になって、会の方、法被姿の良明さん、for instanceのメンバー入場~!おめでたいお祝いの口上に続き、ゴキゲンな鉦と横笛の音が鳴りだして開幕~。最初気づいてなかったけど、鉦と横笛は列に混じってた仙波清彦さんと梅津和時さんだった!そりゃ上手いわ!

 

■for instance & 梅津和時さん、仙波清彦さん
for instance、カッコよかった!強力なリズム、疾走する音!ツインドラムは下手が柏倉さん、上手がオータさん。左手が麻痺で調子悪いと聞いていたオータさん心配してたけれど、(もちろんご本人的には100%ではないのだろうと思うものの)ものすごく元気に叩いてらしてホッとした!仙波さんがとんでもない鬼リズムでいっろんな楽器を次々に叩いたり回したり鳴らしまくるのと、一緒に演奏するのが超~楽しい!という顔の柏倉さんとオータさん。梅津さんのサキソフォンも激しく暴れまわる~!浅草公会堂、照明が派手派手でいいんだよなぁー!と前回ぶりに思い出した。妖しい音と共にステージを駆けまわる色とりどりの幾何学模様。このアグレッシヴなサウンドのド真ん中にいて、音をしょって立つ我らが良明さんのカッコよさ!惚れ惚れ~。

 

■with 鈴木茂さん
仙波さんと梅津さんをステージからお見送りした後、次に呼び込んだのは鈴木茂さん!法被に、キツネのお面を顔にかざしてのご登場!ステージに上がったらすぐに法被は脱いでギターを担がれてたので、たぶん良明さんの晴れ舞台をお祝いするためだけの演出として。こういうところに茂さんの人柄があらわれるわ~。駆けつけ一発インスト曲(「スノー・エクスプレス」)。for instanceの屈強な演奏をバックに、茂さんと良明さんのギターバトル、かっけー!

 

良明さんがMCで、この2人では2020年にツアーをやっていたんだけどコロナ禍で途中でできなくなり東京でのファイナルもなくなってしまったので、今日はプチファイナルのつもりで、と。私のリスナー歴の中で「はっぴいえんど~ナイアガラ」と「ムーンライダーズ」は双璧、二大巨頭のようなものなので、「鈴木茂×白井良明」という並びのファイナルアンサーみたるやすさまじい…。でもおふたりともバンドの中では年下・弟・小僧っ子的位置づけで、しかもそのかわいがられキャラのまま今に至るので、こんな偉大なギタリストなのに相変わらず自由で無邪気で、偉ぶったとこがまったくないのが最高!

 

良明さんが「茂さんとこの曲をやりたかったんです」と言って始まったイントロはなんと「Sweet Bitter Candy」!前回の浅草公会堂でもやってくれたやつ!泣く!間奏で聴かせてくれた茂さんのソロはいつも聴いてる良明さんのソロとはまったく違っててフシギで楽しかったなあ。さらに「砂の女」「花いちもんめ」…シビレまくった!この名曲を、茂さん×良明さんのツインギターで聴けるなんて…。でもこうして聴いていると、茂さんと良明さん、ギタープレイや音楽のスタイルは違うけど、底に潜む淡い抒情のようなものはどこか重なるものがある気がしたな…。この2人のギタリストを支えるにふさわしいfor instanceの超絶ぶっ飛びプレイもすごくよかった。

 

■with ROLLYさん、松尾清憲さん
大拍手の中、茂さんはキラキラと去り、良明さんがルーパーで作った音をベースに再びfor instanceの演奏に。と思ったら、ループの音そのままに良明さんだけ一度引っ込んじゃった!良明さんの姿はないのに音はある、みたいなポルターガイスト的スゴイことに。うわー、そんなのありなんだ…!?そして良明さんが戻り次なるゲスト、ROLLY!黒の正装にカチューシャのおかっぱ髪、可愛かったなー。すかんちの「恋のマジックポーション」でギュインギュインにギター弾きまくり~!ええもん観た!さらに「この2人を結びつけた人」と紹介されて松尾清憲さんが登場、「愛しのロージー」。いやはや良明さんが50年のあいだに関わってきた名曲の嵐よ…そして私はどれだけその音を浴びてきたんだろう…。このポップにもほどがある3人で、ラストは意外な「東京ブギウギ」、浅草で鳴るゴキゲンでいなせな演奏良き! 

 

moonriders
ゲストとfor instanceが捌け、ステージにひとり残った良明さんがぽつぽつMC&弾き語って(アルバムとまったくアレンジ違っててわからなかった「名犬ロンドン物語」!)、いよいよムーンライダーズが花道を!ひゅーひゅー!今日の並びは、どセンに主役の良明さん、下手に岡田さん慶一さん、上手にくじらさん博文さん、後方にそびえし真ん中のドラムに夏秋さん。ここのところ「oO(優介さん澤部さん)」入りの演奏がデフォルトだったので、6人ムーンライダーズは久しぶりだー。ゆるやかカントリーアレンジの「犬にインタビュー」(今思えば「名犬~」と犬つながりだったのか!)、あいだに高田渡さんの「生活の柄」も挟みつつ。そして「春のナヌーク」。伸びやかな良明さんのボーカルに、慶一さんくじらさん博文さんのコーラス、久しぶりに聴くこの無骨なムーンライダーズもよかったなー。しっとり始まった「旅のYokan」、個人的に大好きな『Tokyo7』の曲。もう13年も前のアルバムのこと、ツアーのこと、そしてムーンライダーズというバンドのこれまでとこれから、もれなくいろいろ思い巡らせてしまう。ラストは「駄々こね桜、覚醒」「トンピクレンッ子」と良明印のアッパーチューン2連発でお開き!

 

しかしムーンライダーズ、昨年末に恵比寿2DAYSやって、3月に野音やって、7月にマニア・マニエラ再現やって、今回は6人ライダーズで“Yoshiaki sings moonriders”やって、また今度9月にレコ発やる…。毎回テーマもセトリも違うタイプのライブをとっかえひっかえやってて、まじ、タフだな!!!!そしてこのあいだのビルボードでも思ったんだけど、くじらさんの復活ぶりがハンパない!死線をさまようほどの大病をした影響は小さくなかったけれど、最近はバイオリンもトランペットも弾きまくりの吹きまくりだし、ボーカルもどんどん力強さ取り戻してきてる。だから、今はまださすがに元気いっぱいとはいえない岡田さんも、きっと嘘のように回復してる未来がくるんだろうなって思えるんだよね。もう、ムーンライダーズの音楽を聴くってそういうことよ。ムーンライダーズは未来を力ずくで拓いちゃうから。これまでもそうだし、これからもきっとそう。ファンはそれにびっくりさせられ続ける。

 

■アンコール
アンコールの大拍手に、良明さんとfor instanceのメンバーが再登場し、「愛の仕事"musician"」。控えめな音符の連なりから思いがあふれだし、大きくうねっていくような演奏。最後、「親より偉い子供はいない」のセリフを引用した「よしあき~!」からの「アンプのつまみは12.5!みなさんもっと叱ってやってください!」の叫びに思わず涙が…わーーーん。締めはやはり木遣り歌のみなさんが出ていらして、歌いつつ纏を振り、温かく寿ぐように良明さんを囲みながら花道を去っていった。拍手する私たちもニコニコ。これだけ盛りだくさんな内容を、きっちり2時間に収める仕事の美しさもじつに良明さんらしかったな。

 

 

良明さんがMCで「(周年ライブを企画したのは)こういうのをきっかけにみんなにたくさん会いたいなと思って」という意味のことを言ってくれたのが、すごく嬉しくて心に残った。「会いたい」ってアーティスト側がファンに向けて言ってくれるなんて、ね。5年前のライブのときもそうだったけど、良明さんからのあふれるような愛を、私たちファンがどどーんと受けとってお腹いっぱい胸いっぱいになるような、そんなライブだった。白井良明さん、プロ生活50周年、そしてムーンライダーズ加入45周年、おめでとうございます!そしてこれからもたくさんよろしくお願いします!

 

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開演前、浅草公会堂の階段の窓から町をパシャリ。後から画像を見たら近くの屋根に鼠小僧がいる~。調べたら以前からここにある像で、勘三郎さんメモリアルとしてリニューアルされた時(2015年)に、新人歌舞伎役者の登竜門である浅草公会堂を見守る向きに設置され直したのだって。鼠小僧に見守られながらのライブだったんだね。

 

 


*セットリスト
(※配信の映像担当のDIRECTIONSさんがあげてくださった画像から引用させていただきました)

 

《一幕》for instance/ゲスト:梅津和時仙波清彦
door that wind
small print
インプロ~渚でニトロ
rock'n roll

quiet funk

《二幕》for instance/ゲスト:鈴木茂
Snow Express
Sweet Bitter Candy
砂の女
花いちもんめ

intonation3

《三幕》for instance/ゲスト:ROLLY松尾清憲
恋のマジックポーション
愛しのロージー
東京ブギウギ

名犬ロンドン物語

《四幕》moonriders
犬にインタビュー~生活の柄
春のナヌーク
旅のYokan
駄々こね桜、覚醒
トンピクレンッ子

《Encore》for instance
愛の仕事"musician"