月夜のドライブ

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【あとからメモ】青蛾館『中国の不思議な役人』@ 東京芸術劇場シアターウエスト

(主にその日のツイートを中心にまとめたものを自分メモ用にあとからアップ。2022年05月)

 

3/17の初日に観に行き、衝撃を受けて、3/22の千穐楽のチケットも取って観に行った。

 

青蛾館「寺山音楽劇『中国の不思議な役人』~40th special performance~」
東京芸術劇場 シアターウエス
2017年3月17日(金)~3月22日(水)
作:寺山修司
構成・演出:松村武
振付:小野寺修二
出演:若松武史石井愃一池田有希子明星真由美 / 丸山厚人、藤田記子、安川純平、橘花梨、澤魁士 / 松之木天辺、田中美甫、プリティ太田、安藤洋子、島地保武、長谷部洋子、こもだまり、尾﨑宇内、鈴木彰紀、續木淳平 / 中井沙織、岩坪成美、高畑亜実、木村文香、スガチヅル、佐藤沙紀、甘井飴子 / 鋤柄拓也、田中博士、吉澤慎吾、丸山雄也、渡邊礼 / 宮下今日子、のぐち和美
演奏:土屋玲子

 

 

【3/17】

青蛾館『中国の不思議な役人』、初日の初回観てきた!わーーーめちゃめちゃよかった!私の知ってる「よかった」のはるか外れたとこにあって、全然わっかんないし全然受け止めきれてもいないんだけど、でも、めちゃめちゃよかった!思わず楽日のチケも取ってしまった…。

 

何しろ私はアングラビビりなので寺山修司とか聞いただけで震えて逃げ出したくなるんだけど、そしてそれは芝居観たあとも変わらないんだけど、でも観てよかった、圧倒的な芝居。自分全開で圧倒されにいったけど全然足りてなくてコテンパン。ものすごいパワーと澱み。

 

シアターウエスト小さい小屋なのにあんなすげー役者が大勢出てきて、ものすごい体験だよ。のぐち和美さん私たぶん初めてだったけどすげかった。宮下今日子さんキレイかった。カムカムでおなじみの藤田記子さんも長谷部洋子さんも凄みのあるドスのきいた役ですばらしかった。何より若松武史さん、多くない台詞であのとんでもない存在感!寺山修司の薫陶を受けるってああいうことなんだろうか。そして安藤洋子さんと島地保武さんのダンスがすばらしすぎて。カンパニーデラシネラの小野寺さんの振付もたまらなかった。こう書いててもなんというカオス…。

 

そういえば今日は前の列のはじっこだったんだけど、芝居の流れの中でプリタさんに肩つかまれて話しかけられるという体験できた、わーわー(笑)役者がすぐ目の前の通路を大量に行き来するのでドキドキしたわ~。長谷部洋子さんもすごくよかったなあ。カムカムミニキーナでは(私の知ってる限りでは)因習を背負った老婆とかの役が多くてあまり女っぽい役をやるイメージがなかったから、今日観た長谷部さん、すごくドキッとした。元々の演技の上手さが妖艶さをまとうとこうなるんだ…と、うっとり。

 

すごい役者様大勢だし、衣装目を見張るし、土屋玲子さん生で二胡演奏してるし、ダンサーのすばらしい動きたっぷり観られるし、小野寺さんのとびきりの振付体感できるし、松村さん演出だし寺山戯曲だしで、もうなんだかいろいろ凄い。ほんと6日間だけなんてもったいない。

 

【3/22】

青蛾館『中国の不思議な役人』千秋楽、観てきた。ああああうつくしかった、すばらしかった。オープニングとラスト、舞台上に立ち上がるあのビジュアルのえもいわれぬ美しさ、安藤さん島地さんのダンスと小野寺さんの振付と共に、きっとずっと忘れないと思う。

 

一度目に観たときよりも一人一人をくっきりと捉えられた気がする。女優さんたちの、圧倒的な肢体肢体肢体、が本当にうつくしい。背の高い人低い人胸の大きい人痩せた人肉感的な人華奢な人直線曲線厚み薄さ、一人一人の娼婦の“からだ”が饒舌で、うつくしかった。

 

そしてつくづく若松武史さんの存在感、なのだった。舞台に出てくるだけで客席の隅までぐっと圧が行き渡るような貫禄、静かな台詞たったひとつに湛えられた深みと凄み。なのに、シリアスなシーンで客席を笑わすような仕草や表情もあって。なんというチャーミングな…!

 

あまりたくさんのお芝居を観ているわけではないけれど、私はやっぱり松村武さんの演出が好きなんだと思う。雑多で猥雑で整頓も洗練もされない人の営みの中から、いっとき、はかない美しさが立ち現れる、そのとうとさ。その松村さんのものの見方は、あの、街の雑踏の描き方に現れていた気がする。物と人が無秩序に行き交う街、そこには美も醜悪も等価に存在していて、松村さんの視線は、それらがないまぜになった「生の営み」そのものを強力に肯定している。あの街のシーン、本当に美しかった。