月夜のドライブ

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【あとからメモ】カムカムミニキーナ vol.67『偽顔虫47 ~名探偵浅草小五郎と演劇探偵団~』 @ 浅草九劇

(主にその日のツイートを中心にまとめたものを自分メモ用にあとからアップ。2022年04月)

 

カムカムミニキーナ vol.67『偽顔虫47 ~名探偵浅草小五郎と演劇探偵団~』
2018年12月15日(土)~29日(土)
東京都 浅草九劇
「上巻 闘魂炎上の段 ~吉良上野介 vs 47人の少女過激団~」
2018年12月15日(土)~20日(木)
「下巻 霊魂拡散の段 ~ゴースト軍曹の復活に踊る虫酸夫人~」
2018年12月22日(土)~28日(金)
「特典LIVE巻 一夜漬夢の段 ~フジミの宴、平成最後の年越しの夜~」
2018年12月29日(土)
作・演出:松村武
出演:姜暢雄清水宏、杏子 / 藤田記子、亀岡孝洋、長谷部洋子、渡邊礼、田原靖子、未来、栄治郎、元尾裕介、菊川耕太郎、柳瀬芽美、大倉杏菜、福久聡吾、スガチヅル、清水芳成、梶野春菜 / 岩坪成美、宇野仁美、松田るか、丸山雄也、リュウ・シンヤ / 松村武

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お祭り的な色合いもあり、「上巻」「下巻」、そして1回限りの「LIVE巻」と分かれていた今回の公演。私は当初それぞれ1回ずつ行く予定にしていたのだけど、最初に観たときあまりに面白く上巻と下巻を1回ずつ増やしたので、年末の浅草に計5回通うことに。浅草九劇、佇まいがよい会場。街に根付き、人に愛される気まんまんの小屋という感じがする。

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「上巻 闘魂炎上の段 ~吉良上野介 vs 47人の少女過激団~」

 

【12/15】

カムカムミニキーナ『偽顔虫47』(松村さんによると「“ギガンチュウフォーティーセブン”と読みます」とのこと)、めっっっっちゃおもしろかった!めっっっっちゃおもしろかったーーーー!!!!これは下巻の前に上巻ももう一回は観ないとー!浅草に通う騒ぎー!

 

とにかくめちゃめちゃおもしろい!松村さんのホンにしては珍しく(?)時間も空間もねじれたりしない正統派のストーリーテリングなんだけど、煙に巻かれる感じは相変わらず!絶対に入らないでしょっていう質量を芝居にぐいぐい詰め込んで何とかしちゃう、この唯一無二のカムカム感大好きよ!

 

役者さん一人ひとりが!すごく!よい!私は古くからの観客ではないけど、カムカムミニキーナって(どこの劇団もかな)やっぱり八嶋さん・やましげさん・プリタさんなど看板役者あっての劇団ってイメージあったけど、今回それがいい意味で吹き飛んでて真新しい劇団のようだった!よきよき!ここ何回かのカムカム公演で感じてたけど中堅さんも若手さんも、あと今公演の新顔さんも、もれなくよい!「えっこれはどなた」という驚きが嬉しかった。そしていつもながら客演さんの使いっぷりの見事さ!杏子さんの説得力。姜暢雄さんの脱力系カワイカッコよさ(どんなん?)!それから清水宏さん!ワタシ的に上巻のMVP!場面も台詞も少ないのに、もう、圧倒的。あれだけで、背後の恐ろしいほどのいわくやいきさつを語れる存在感、凄いなあ…。ものっすごい怖くて、でもものっすごい優しくて、絶対惹かれちゃうの。あれは怖い、そして魅力的すぎる。女優さんたちもとてもよかった。過激団可愛くて必見だ。長谷部洋子さんのますますの凄みもすばらしい。胡散臭い登場人物の嵐の中、亀岡さんの語り口は芝居の要になってて貴重と思った。栄次郎さんとのやりとりは笑ったなー、さすがです(笑)。

 

『偽顔虫47』は『>ダイナリィ』に通ずるテーマもあって、松村武さんの覚悟を(勝手に)感じてグッときたり。人によっては見えない、夢想と笑われそうなそれを、松村さんはあろうことか大黒柱にして家屋をがんがん建て増していて、その果敢さ荒唐無稽さにうっとりする。はー好き。もう一生ついていきます…。

 

【12/19】

やっぱり『偽顔虫47』上巻もう一回観たくて、水曜のマチネー行ってきた!ああ、あんな小さい小屋のあんな狭い舞台で、世界をもはみ出すような芝居が渦巻いていようとは、世間の人は思うまいな…(観てたって信じ難いもの…)!

 

今回はサイドめの席で、初回には気づかなかったあれこれに驚く。なんと情報量の多いお芝居なのか。無駄をそぎ落とすなんて知ったことかの、演りたきゃ極限まで詰め込む、過剰で猥雑なカムカム流が本当に好きだ。だって、整理なんかされてないこれこそが、じつは「世界」だと思うから。

 

上巻もすぐに楽日で、あんな圧巻の劇世界がぱっと跡形なく消え去ってしまうって、芝居の儚くも凄いところだなあ…。でも下巻も楽しみ!上巻観て、これは下巻も複数回観ないと気が済まないであろうことがわかったので、もう1回分押さえてしまった。松村さんカテコの挨拶で「下巻は同じ役の人もいるし、違う役で出る人もいます。浅草小五郎はまた出ます」と言ってた。姜暢雄さん演ずるあの愛すべき探偵にはまた会える!姜暢雄さん、今回の浅草小五郎役ものすごくよい!スリーピースのスーツがあんなに似合う超イケメンなのにへっぽこ探偵でホント愛せる…。

 

しかし…最近のTwitterのタイムラインを見ていても、ありとあらゆる「今」のニュースが大正~昭和を描く『偽顔虫47』とかぶってくる…。芝居がリアルな現在を襲ってくるよ。松村武さんの脚本を観ていていつも心底怖ろしいところ。

 

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「下巻 霊魂拡散の段 ~ゴースト軍曹の復活に踊る虫酸夫人~」

 

【12/23】

また行ってきた浅草九劇、下巻を昼の回で。松村さんが「下巻はカオス」と書いてたから「いや上巻で既に十分カオスなんですけど」と思ってたら、さらに上行くカオス!普段ドラマとか見てて話がスッキリ「回収」されて喜んじゃう人は、カムカム観て打ちのめされるべき!

 

下巻は副題からして、ゴースト軍曹(清水宏さん)と虫唾夫人(プリタさん)にフォーカス当たるんだろうとは思ってたけど、まさかの浅草小五郎(姜暢雄さん)の孤独と苦悩にこんなにキュンキュンくる回だったとは。へっぽこ探偵なんて言っていてゴメンナサイ!でも下巻でもちょっぴりはへっぽこだったけど(笑)。そして清水宏さんの運動量と台詞量に目を見張った…なんだあれ、まさにゴースト軍曹…。上巻の平和だったエンヤさんが既に懐かしい。上巻のときカテコでよくしゃべる清水さんを指して松村さんが「上巻は台詞少ないんで元気です。下巻はこうはいきません(笑)」と言ってたの、これか!

 

【12/28】

下巻楽日。下巻観るの2回目だけど、2回目だからわかるかといえばそんなことはなく(笑)、重なり合う複雑怪奇さにさらに圧倒されて息も絶え絶えに…!でも、このわからなさこそ松村さんが見手にぶつけたい「世界のありのまま」なのだなと。

 

下巻に入りますます、今ある現実と、演劇探偵浅草小五郎の演劇による予想図と、未来から操られるあり得たかもしれない現在が境もなく渾然一体となって、自分が踏みしめているはずの「今」もぐらぐら揺れだしてしまう(冒頭で描かれる関東大震災のように)。今は本当にここにあるのかな?と…。終盤のループするシーンでその心もとなさはピークになって、そして最後のシーンがいつのまに頭に戻ってるのに気づいたとき、本当に背筋がゾッとするような感じがあった。うわわわわ…なんてことだ…。でも、それでも、演劇という武器を手に、何度でも浅草小五郎は立ち上がらずにはいられないんだよね。泣ける…。ちなみに下巻のカテコでは姜暢雄さん魂抜けたようにいっさい喋ることなく(笑)いかに全力投球だったかが伝わるとともに、その姿見たら世の中の女子のほぼ100%が恋するに違いないと思われるキュンキュンっぷり…。

 

それにしても文字では書ききれないぐらい、役者さん全員の一人ひとりに驚嘆した上下巻だったなあ…。何より劇団の若手さんの充実が眩しい。以前は劇中でも「若手」っていう役でしかなかった若手さん達が、今や皆個性的な役柄をのびのび生きていて、素晴らしかった…。上巻でのスガチヅルさんには、藤田記子さんと張り合える女優さんが育ちつつある…!と震えたし、柳瀬芽美さんの荒削りだけどまっすぐな演技と楽日にも枯れない「ゆらねぇ~!」は忘れられないし、大倉杏菜さんの台詞使い(上巻の女中さんとか)やダンスの冴えには耳と目を奪われたし!小林少年を演じて出ずっぱりだった渡邊礼さんの芝居を引っ張る気概も頼もしく。菊川耕太郎さんの個性もますます尖ってて。あと(芝居の感想じゃないけど)開演前のミニ物販で福久聡吾さんがそばにいたんですがイケメンさんで今更驚きました(私の中でイケメン枠に入ってなかったので 笑)!

 

劇団員さんではないけど上巻からずっと楽しく観てたお一人が岩坪成美さん。可愛らしさと憎々しさが相俟った道化師のチルド役をこれ以上ないぐらい見事に演じてらした。上下巻通して道化メイクだったから、稀にモブで登場するかわいいお顔立ちの人がチルドだとわかったときの驚き!宇野仁美さんも、綺麗なお嬢さんと思いきやその内から溢れるエモーションが上巻のふみえ役でも下巻の春子役でもグイグイ来てて見ごたえがあった。細っそーい手足の綺麗な宇野さんが無表情で振りを踊るダンスがいわく言い難い魅力で目を離せなかったこともここに報告しておきます(笑)

 

昨日は、今回キャストに入っていない八嶋さんもカーテンコールに登場してグッズ紹介でひと騒ぎし(笑)、「ヤマシゲが『面白い挨拶をぜひしたい』と言うので」と散々煽って呼び込んだ末「そんなこと一言も言ってない」とボヤきながら登場の(やはり今回キャストに入っていない)ヤマシゲさん…。と、カムカムのこの並びを最後に見れたのがお年玉のようだった。

 

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「特典LIVE巻 一夜漬夢の段 ~フジミの宴、平成最後の年越しの夜~」

 

【12/29】

一夜限りのLIVE巻、行ってきた!なんというスペシャルな時間!想像をはるかに超えたスゴさだった!楽しかったなーーーー!!!!もっとカラオケ大会的なユルいもの想像してたのだけど、とんでもなかった…。アタマから終わりまで本気出しすぎてて怖いぐらいのエンターテイメントの嵐!こんな凄いものを一夜のために作り上げるカムカムメンバーの過剰な情熱ってば…!公式セトリ(演目ごとのメンバーも)上がるといいなあ。

 

開場ちょっと過ぎて客席に入ったら既に八嶋さん自らバリバリ前説中。さらに本編には出演していなかった吉田晋一さん巻き込んで、松村さんと三つ巴のドタバタからオープニングへ。今日吉田さん見れたので、昨日のやましげさん含め、カムカム初期メンバーコンプリート目撃できた~いい年越しだ~。八嶋さんと吉田さんと松村さんのその小芝居がLIVE巻全体の案内役のようになってたんだけど、それが客席の左側の空きスペース…私のすぐそばで繰り広げられたのでラッキー席だった。松村さん八嶋さんが目の前でしゃべってる♡

 

最初の演目が、「ボヘミアン・ラプソディ」を口パクしつつのキャスト総出の『偽顔虫47』クロニクルだったのだけど、これが素晴らしすぎた…。メンバー全員の役者魂が炸裂、カムカムミニキーナの本気を見た…!あの1曲の中で繰り広げられる上下巻のあらゆる出来事。構成凄かった。本編に匹敵する感動。上下巻観た者にとっては、曲中で振り返られる『偽顔虫47』のすべてが愛おしくて。今日はライブだからハンカチは要らないだろう(芝居のときはいつも手に持っておくんだけど)と油断してたのが、最後慌ててかばんから出して涙拭ってしまったもん…。あの感動巨編、一回きりで収録もないんだろうな…貴重だった。

 

若手メンバーの躍動感に満ちたダンスが眩しかったなー!「U.S.A」杏菜さん聡吾さん礼さん松田るかさんあともう一人誰だったかな、えっ役者さんてこんなに芸達者なんですか!とビックリするほどのプロみたいなダンス。カムカム若手の底力すげぇ&松田るかさんめちゃ可愛かったー!

 

浅草小五郎(姜暢雄さん)、小林少年(礼さん)、大家の中道(亀岡さん)、という『偽顔虫47』探偵道中で苦楽を共にした3人は「仮面舞踏会」をカンペキな振りで!!!!白いスーツの長っがーい足を高く蹴り上げるセンターの姜さんがそりゃもうカッコよくて息が止まりそうだったんだけど、上手では着物の裾をからげた股引姿のツルツル頭おじさん(亀岡さん)が踊るのを見せられてるわけで、この客席内格差は何…!と思ってそれが超可笑しかった(笑)。

 

しかしLIVE巻の白眉は何といっても杏子さん!「目を閉じておいでよ」をカムカム男性陣と。私はバービーボーイズ通ってないんだけど、私世代のスーパースターよ!こんな100席ぐらいのハコで観ちゃっていいの!?クルクル回って長いスカートをヒラヒラさせる杏子さん、うっわーカッッッコイイ…!杏子さんは本編のお芝居もステキだったけど、やっぱり歌ってる姿はその1万倍カッコよかった!ハスキーボイスの迫力、あふれる妖艶さ。歌うために生まれてくる人っているんだなあと、それを目の当たりにした感じ。凄いもの観ちゃった…!

 

清水宏さんが演ってくれたスタンダップコメディも凄かった…!芝居でもそうだけど、なぜか団員以上にカムカムに身を捧げる清水さん(笑)、このネタも誰の演目より長い(30分以上あった?)捨て身ぶり!喋りっぱなしの笑いっぱなし、清水さんの笑いにねじ伏せられた!楽しかったなー、機会があればまた観に行きたい。

 

自由すぎる栄治郎さんの数々の芝居上のポカをリリー長官が容赦なく断罪するコーナーも(笑)。今回の長谷部洋子さんのリリーは心底美しくカッコよくて、後に語り継がれるのではないかしら。長谷部さんの地力が遺憾なく発揮された名演だったと思う!般教党の田原靖子さんもしみじみ怖くてよかったなあ。

 

カムカムの音楽を書いているバイオリニストの土屋玲子さんもステージに!超ミニの衣装で相変わらずお美しい…。私はカムカム知るよりずっと前の2000年クミコ『AURA』で土屋玲子さんを知った(クミコさんのライブでも観た)ので、カムカムでの再会に勝手にご縁を感じる…!

 

そんなめくるめく饗宴が終わり、カテコでの清水さんや杏子さんの挨拶はカムカムミニキーナへの愛にあふれていて感動的だったのだけど、姜暢雄さんの挨拶が開口一番、「今年の漢字は『災い』の『わざわ』だったんですけど…」どーん!爆笑!「災い」の送り仮名とって「わざわ」と言う人初めて見た(笑)!思わず八嶋さんがツッコんで客席に「この子ちょっとアタマのほうが弱くてね…スイマセン」と言ったよね(笑)。結果、この「わざわ」の破壊力が上下ライブ巻通してのイチバンだったかも…(笑)。姜暢雄さん、ほんと愛すべき役者さん。あんなイケメンなのに!

 

 

『偽顔虫47』計5回堪能させていただきました!江戸川乱歩+忠臣蔵+カムカムミニキーナのカオスな世界、隅々まで素晴らしいキャスト、劇場の行き帰りの浅草の肌ざわりも含め、忘れられない公演。年末を駆け抜けた役者の皆様、本当にありがとうございました!楽しかったー!

 

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