月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

『Full Swing ! Session』 @ 荻窪ルースター・ノースサイド

画像 画像

しっかし東京って凄い街だよね。こんな面子のライブを、平日の夜に、あんな小さいハコで観れちゃうんだから(しかも当日券もまだあった)。もちろん凄いもの観られるだろうと期待して出かけたわけだけど、予想以上にとんでもなかった…。凄かった、ほんと、行ってよかった!

 

9月18日(金) 荻窪ル-スター・ノースサイド
『Full Swing!Session』
開場19:00 開演20:00
予約\3000 当日¥3500 +オーダー
出演:梅津和時(sax,cl),高橋香織(vl),多田葉子(sax),鬼怒無月(g), 清水一登(p,key),早川岳晴(bass),夏秋文尚(ds),仙波清彦(per)

 

もう、凄いメンバーでしょ。何か起こらないわけがないという。

 

今年10月に60歳の誕生日を迎える梅津和時さん、10/15に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで『Full Swing ! ドクトル梅津SHOW』と題された還暦記念コンサートを、自分のバンド+錚々たるゲストによって盛大に行うのだけど(私も行く予定~)、この日の『Full Swing ! Session』はその、“自分のバンド”部分による前哨戦のような感じ、だったのかな。

 

ルースター・ノースサイドはたぶんジャズ系の小屋だと思うんだけど、この狭いステージに、これだけの演奏者が乗るのかなあ…なんて眺めてるうちに開演時間。…っていうか、さっきまで客席でふつうに喋ったりしてたあの人、仙波さんだったのか!私、ナマで拝見するのはじめてかなあ、どこかでいちどぐらいは観ているような気もするのだけれど。で、もーねもーね!仙波さんがすごかった!私の位置から手元はあまり見えなかったのだけど、謎のパーカッション群を次々手品のように取り出して、ヘンテコな音、おもしろい音、おそろしい音、エキサイティングに繰り出す!しかも爆音でロック!

 

というかねーーー、仙波さんのパーカッション+夏秋さんのドラムというのが、予想外のすごさ、想定外の激しさ、想像以上の楽しさ、だった!!!!もう、ほんとに、ふっ飛ばされた。ステージ右側の、前に仙波さんのセッティング、その後方に夏秋さんのドラムが位置してたのだけど、お茶目な仙波さんにさんざんあおられながら、めちゃめちゃ楽しそうな夏秋さんのドラム、とんでもなくヒートアップ!ノリにノッたこのふたりから叩き出されるリズムが破壊的でものすごかった!

 

梅津さんのリーダーバンドやセッションは数限りなくあると思うのだけど(この日も、鬼怒さんと早川さんはKIKI BANDから、多田さんと夏秋さんはこまっちゃクレズマから、清水さんは新大久保ジェントルメンからだった)、今日集まったメンバーは特にロック寄りだったからか、選曲もアッパーぎみで、1曲めからおそろしいテンションで走りまくるような演奏!すっげー疾走感、何これ!1曲め終えたあと梅津さんは「今日はもうだいたい全部こんな感じです。これだけ豪華なメンバー集めて簡単なことしかやらないんですけど」と笑ってたけど(笑)。

 

ピアノの清水一登さん(私は少なくともいちどキリングタイムで観ているはずだけど、こんなに近くで拝見したのはじめて…)がまた、あきれるぐらい笑っちゃうぐらいすごくって。わははは、もう、なんちゅーピアノなんだこれは!指だけでは足らず、肘で腕で、弾き(というか叩き)まくる!それでいてうつくしい和音なの、すごい!ご本人、地方の郵便局員さんみたいな見た目なのにねえ、プレイがおそろしいブチ切れ具合(笑)、カッコイイー!

 

そして、このあいだのKIKI BANDライブで私が崩壊させられ尽くした、鬼怒無月さんのギター。(そもそも今日は、夏秋さんと鬼怒さんが同じステージに立つのをどうしても観たくて来たのだ…。)あいかわらずイッちゃってたなあ!楽器の数が多いぶん、KIKI BANDほど出っぱなしではなかったけど、あのさりげない、ギターを軽く撫でるような仕草から、地獄の曲がり角のような恐ろしい音!も~そのギャップが最高!この日は、サウンドを支える裏方ギターもずいぶん聴けたけど、裏にいながらも、どうにもおっかない音なんで目立つ目立つ。あ~、鬼怒さん、すてきー。また、同じKIKI BANDの早川岳晴さんのベースが、気づくといつもすごい。動いてないときがない、鳴ってないときがない、しかもすごくないときがない!つねにサウンドの要にいて、ドスのきいた音でにらみきかせてて、バンドの門番みたいだなー。

 

やはり梅津さんとは関係の深いという高橋香織さんのヴァイオリンも、意外なぐらいの強さがあってよかった。多田さんのサキソフォンも梅津さんのサキソフォンも、いつもながら胸の熱くなるような激しさ。しかし今日のこのメンバー、見るとこ多すぎでしょ…。それぞれのソロもたっぷりあって、どれもが驚くようで、有能なミュージシャンの才能のあふれっぷりに圧倒される。

 

でも…やっぱり、なんといっても、今日は夏秋さんだなー!夏秋さん、マジかっこよすぎた…。さんざん、ムーンライダーズの夏秋さんカッコイイ、ジャック達の夏秋さんカッコイイ、グランドファーザーズの夏秋さんカッコイイと騒いどいて何だけど、この日は、今年いちばんカッコイイ夏秋さんのプレイ観ちゃったかも…。(まあ、インストだから楽器が主役だしね。)梅津さんとやるときは、夏秋さんのドラマーとしての可能性と力量がフルに(もしかするとフル以上に)引き出される感じがする、もう、夏秋文尚500%!という感じ。おそろしい音とリズムが彼のドラムからどんどん濁流のようにほとばしって、その勢いが止められない。ほんとに気失うかと思ったよ、大げさじゃなく。破壊的にカッコイイソロもなんども炸裂!夏秋さんのこんな音をこんなに浴びられるなんて…。もう死んでもいいかもと思うぐらいだ…。

 

曲ごとの感想をぜんぜん書けてないけど、言葉でなんか1ミリも表現できないぐらいの凄さだったからな…。最後に演った「ウェスタン・ピカロ」なんかはこまっちゃでもよく聴いているけど、この日の演奏はおそろしいほどのスピード感があって、ゴリゴリにロックだった。夏秋さんのドラム、鬼怒さんのギター、早川さんのベース、という、ロックにもほどがある音がマグマのような高温で求心していくと、こうなるんだな。ヤバい、好きすぎる!!夏秋さんと仙波さんの激しいセッションも、いまだ立ち直れないぐらいほんとにほんとにカッコよかった。夏秋さん自身も、すごく楽しそうに叩いてたなー。

 

10月のDUOでもほぼ同じメンバーが揃うのでとても楽しみなのだけど(特に夏秋さん・鬼怒さん・早川さんの3名は大勢様ご乗車のセッションを支えてぐいぐい牽引してく役割になるんだろうな…)、この人数少なめの(と言いつつも豪華な)メンバーでのセッションも、ぜひまた観たい。ものすごい体験だった。

 

それにしても…夏秋さんのドラムは、飛びこむ音の先々で、いつでも予想以上の何かになる。触発や変化をおそれない、その果敢さがいいな。