昨秋、梅津和時さんの還暦コンサートの前哨戦的な形で招集された手練のメンバーによる『Full Swing ! Session』。去年9月のこのライブこそ、カラダ中粉みじんに爆破され尽くしたおっそろしい夜で、去年の私のベストライブだったわけだけど、このメンバーによる演奏ふたたび！ってことで、行ってきました新宿ピットイン。
『2010春 梅津和時・プチ大仕事＠新宿PIT INN』
■3月20日（土）
Full Swing！Session再び。
昨年の還暦イベントを機に生まれた特別セッション。梅津名曲をたっぷりと。
梅津和時(sax，cl)、鬼怒無月(g)、清水一登(p，key)、高橋香織(vl)、
多田葉子(sax)、早川岳晴(bass)、夏秋文尚(ds) 、仙波清彦(per)
開場19:30 開演20:00
前売￥3，500 当日￥4，000（共に、1ドリンク付）
7日間にわたって新宿ピットインでくり広げられる梅津さんの「プチ大仕事」のうちの一夜。ほんと、このメンバー眺めるにつけ、何か起こらないわけがない、と思う。ステージ向かって左のピアノに清水さん、そして高橋さん、梅津さん、多田さん、鬼怒さん、後列が左から早川さん、夏秋さん、仙波さん。もう、音出してなくても、見てるだけでこのメンバーすげぇ…。
あとはもうひたすら、コンクリートの塊のような音にふっ飛ばされるのみ。ものすごいんだ、ほんと。8人の手元それぞれで、もれなくものすごいことが起きちゃってる。アングルAからHまで8つの録画が欲しい、それぞれ見返さないともったいなくて、っていうぐらい。疾走するナンバー、「1970」「歌舞音曲」「いつだっていいかげん」あたりの、人間ワザと思えない豪速にほとほと参る、軽くてすばしこいんじゃないんだもん、ものっすごい重量級の音がとんでもないスピードでカラダのそばをびゅんびゅん走っていく、聴いてるほうの身がそのたび容赦なく削りとられて、危険極まりない。
個人的な感想だけど、回を重ねたこの日の演奏は前のときよりもプログレ度が高い気がして、それがめちゃくちゃよかった。鬼怒さん、早川さん、夏秋さん、仙波さん、清水さん、高橋さん…この顔ぶれ見てると、そうなるのも必然という気がするけど。「アブラダアブラ」の気味悪～い演奏、最高だったなあ。鬼怒さんのギターは完璧な狂気。あの水色のギターの弦から、世界が一気に破壊されてく気がした。清水さんのピアノはあいかわらず天才と狂気のはざまで飄々と踊ってた。そして仙波さんのプレイ！この、ツワモノにもほどがあるメンバーたちのとんでもない演奏を、ふわっと広げたマントで最後に全部さらってっちゃう怪盗みたいなんだ、もーズルイったら（笑）！仙波さんが次々に手にするものから出てくる音の、あまりのいかがわしさ。ビニールのガチョウ（？）のおもちゃを絞めるみたいにガアガア鳴らすの、爆笑したー。それから第二部での「IZUMOYA」の高橋さんのすさまじいバイオリンソロも特筆モノだった。鬼気迫る演奏。
夏秋さんのドラム、今日は自前のSONORのセットで。スネアの音一発聴いただけでもう、重い衝撃にふっ飛ばされて立てなくなるような。なんて凄い音してるんだろう…。前回もそうだったけど、このメンバーの中で半ばムリヤリ開けられちゃう引き出しから、あふれ出てくるリズムの重さと勢いが尋常じゃない。仙波さんとやりあいながら、ふたつの打楽器が高温のカタマリみたいになって爆発をくり返す光景、すごかった。それにしても、夏秋さんらしいとしか言いようがないあの重たい独特の音の出所って何なんだろう。ふつうでは届かない感情を掘り起こされてしまうような、ね…。
「ウェスタンピカロ」がね！このあいだのこまっちゃのときとも去年の還暦コンサートのときともまた違った、どろっとした手ざわりの薄気味悪い演奏になっててよかったなあ。メンバーによって色を変える、そのとき限りのこんな演奏を聴ける至福。それにしても、ゴリゴリの轟音リズムにタメ張る梅津さんとぎゃらこさんの2管、当然とはいえ、すっげえなあ…。
やっぱりすごかった、このメンバーのこのセッション。荻窪で観たとき、一回だけじゃあまりにもったいない、ぜったいまた観たい！と思ったけど、梅津さんとしてもきっとそういう手ごたえがあっての再演だったんだろうね。このメンバーが一度に集まるのってなかなか大変だとは思うけど、“Full Swingers”なんて、今やバンド名っぽく呼ばれたりもしちゃってるみたいだし、ぜひまた、一度と言わず何度でも、集まって演ってほしいな。
梅津さんの「プチ大仕事」は今日まで。今日のこまっちゃクレズマも観に行く予定にしていたんだけど、家庭の諸事情によりあきらめざるを得ない状況…。落ちこんでるけれど、ま、しかたないね。行ける方、ラス日の盛りあがり、大いに楽しんできてください！
※演奏曲目、WildWileさんの日記を参考にさせていただきました！ありがとうございました。
