月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

闘うバンド、ムーンライダーズ

ちょい時間があいてしまいましたが22日の「EARTHDAY LOVE & MUSIC DAY」at渋谷AX、キリングタイム、カーネーションムーンライダーズ…の感想などを。このライブはテレビ放映もされていたようなので、サラッと、ね。(のつもり。)

 

新歓コンパ待ち合わせの若者であふれかえる4月の金曜の渋谷をすり抜けて、やっとの思いでAXに着いたのが、開演5分前ぐらい。わりと前方のほぼまん中ちょい右寄り、というイイ席。ほどなく場内が暗くなり、ミュージシャン登場か、と思ったら黒いスーツに身を包んだ男性が現われ「東京中低域水谷紹です」おおー、初めてナマで拝見したかも。飄々とした感じの詩を一篇朗読して、そしてキリングタイムへ。

 

キリングタイム。板倉文さんという名前はこれまでいやというほど目にしてたけど、音に触れるのも見るのもまったく初めて。ぞろぞろ出てきた6人のミュージシャンたちの、どの人が板倉文さんなのかさえも全然わからない。(あとでわかりました、たぶんMCをしていたギターの方ですよね。)だいたいステージ上がモノスゴイんだよ、西荻窪フリーマーケットかタナカヨシコの骨董品屋(おじゃる丸のね)かという感じで、どうやって使用するのかどんな音が出るのかも想像しにくいフシギな形状の楽器が並ぶ並ぶ。で、いざ始まった音…イキナリ総毛立ちました。なんかね、ふだん使ってない細胞が起こされるような感じ。メインストリームを遠く離れた場所で(少なくとも日本の音楽界のメインストリームではないと思う…)、こんなものすごい不思議でヘンな音を志向してる人がこれだけの数集まって、楽しそうに音楽を生み出してるって痛快だなーと、ニヤニヤしながら聞いてしまった。スバラシ。何曲かやって、ゲストの小川美潮さん登場。美潮さんも、名前はよーく知ってるのに初めて拝見する方。私の中では「フシギ少女」のイメージが強い方だったのだけど、とても強くたおやかなボーカルを披露されてビックリ。キリングタイムの音とともに、いいもの聞いたなあという思い。

 

セッティング替えをはさんで、ステージ上はすっかり楽器が少なくなり、カーネーション!うーんいつもながら出てきただけでカッコイイ三人~。最初の曲はおおー「スペA」だー、そして新曲「ルネッサンス」。ううータイトタイト。ライブ会場手売りシリーズ(笑)のシングル、第一弾の「獣たち」もあらくれてたけど、コイツもなのねー。私の個人的な感じだけど、12月の九段のときと逆で、今日のイベントはたぶんムーンライダーズカーネーションを呼んだというカタチだったので、直枝さんたちも安心してヤンチャしてたような印象。 MCでも直枝さん「オレたちにできるのは一生懸命やることだけ」なんて半分冗談混じりに言ってたけど、イイ意味で「弟分」的にはじけてたように見えた。こういう青いカーネーションも好きだー!「あの日どこかで」にも酔ったなあ…。AX、音がいいから(詳しいことはわからないんだけど、まあCLUB PHASEよりは、ね)、直枝さんのギターもいつもよりじっくり堪能しちゃった。これが直枝さんのギターの響きなんだなー、って。ちょっと短い印象だったけど、今日は仕方ないかな、でカーネーションは終わり。

 

さらにセッティング替えの時間があり、次に出てきたこの人はまさか…と思ったら、やっぱり、あの、パンタさんでしたよ!こちらも私ナマで拝見するの初めてかも~。なんてゼイタクなイベントなんだ。とても存在感のあるあの声+ギターのBGMで、ポエトリーリーディングをひとつ。そして、パンタさんの紹介でムーンライダーズ~~~!涙涙涙。2004年の1月(→レポ)以来なのですよ、フルムーンは!(と思っていたら結局「フル」ではなかったのだけど…ね。)今日のムーンライダーズは、Tシャツやシャツ姿でラフな感じ。ああもう出てきただけで怪しいこの感じがたまらないー。(ってそんなの私だけ?)右奥のドラムは空いたまま、5人のアコースティックセットで「Modern Lovers」。良明さんのアコースティックギター、武川さんのマンドリン、美しい。慶一さんのボーカルは高い天井を叩き、いつになく力強い感じ。そしてものすごい意外な選曲で最初曲名が思い出せないぐらいだったんだけど「グルーピーに気をつけろ」。

 

2曲終わったとこで慶一さんが「お気付きとは思いますが、かしぶちくんが一昨日体調を崩してしまいまして」と明かす、そそそうだったのかー。長くやっていると、いろいろな闘いがあるものだ、戦闘員が野戦病院に収容されることも度々、ね。それでも守りに入らないこのバンドに、私はひどく打たれちゃうのだ。続く「水の中のナイフ」を聞いても、そう、アコースティックなのにひどく戦闘的なんだもん。つくづく前のめりであることをやめないバンドだ…。やっぱり大好き。

 

そして、来月発売のアルバムからの新曲。ドキドキしながら聞いたんだけど、もうメチャクチャやられましたっ!坂田明さん作詞の「ヤッホーヤッホーナンマイダ」、もータイトルからしムーンライダーズらしさ満点。曲も、脳天気ないいかげんさとアグレッシブな深みを行き来するような、ムーンライダーズにしかあり得ないいかがわしさにあふれた曲。好き!好きです!こういうの!あーもう一生ついていきます!…というか、ドラムレスで(この曲では慶一さんが打楽器叩いてた)この迫力、かしぶちさん入ったらどうなるのー!!!早くフルで見たい聞きたい倒れたいーーーっ。

 

このあとの「Morons Land」「Who's gonna die first?」「BEATITUDE」は、打ち込みドラムで。「Morons Land」もシビレたなあー。この妖しさにハゲシク悶える~。2フレーズめで博文さんボーカル~っ、あー私を無条件にクラクラさせるこの声。ダメだ、カッコよすぎる…。「Who's gonna die first?」や「BEATITUDE」を聞いてまた思う、ムーンライダーズって、やっぱり詞が生き方であり、生き方が歌だよな、って。70年代の曲も80年代の曲も今の曲も、結局のところ同じ「彼ら自身」、だから古びないんだろうなって。

 

いちどソデに下がった彼らを、会場のアンコールの拍手が呼び戻し、そしてカーネーションも入って「夜の煙突」~!直枝さんが小さく合図しただけで、会場は一気に総立ち!ここでもやっぱり、兄貴分のフトコロの中で思い切り暴れてる感じの直枝さんがおチャメでいい感じだったなあー。さらに最後は「Frou Frou」。メンバーのかしぶちさん復帰を祈るキモチがAX中に満ちているようで、泣けた。

 

はあー。ため息。私は、ムーンライダーズの詞も曲もサウンドも声もコーラスも演奏スタイルも大好きだけれど、何よりもその、どこまでもロックしてロールして、泥々になってももがいてあがいて闘い続ける生き方を愛してるんだって、心の底から思った。なんか、ムーンライダーズってそういうイメージじゃないかもしれないけれど。大事なのは、ポーズじゃなくて、「本当に闘ってるかどうか」なんだ。

 

サラッと書くつもりがまた長くなっちゃった…。最後に、散々ムーンライダーズにシビレたと言って出口に向かった私が、物販コーナーでカーネーションの3人がホントにCDを「手売り」してるのを見て、思わず列に並び、握手してもらいながらデレデレになって「がんばってくださいね~(はぁと)」とか言っちゃってたことも付け加えておきましょう。…って結局気が多いじゃん私!(だって「ルネッサンス」まだ買ってなかったし…。)ともかくもシアワセな夜でしたー。ぽーっ。