月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

こまっちゃクレズマ -1+近藤達郎 ゲスト巻上公一 @ 新宿PIT INN

元々は予定になかったこまっちゃクレズマのライブが、新宿PIT INNであると聞き、行ってきた!コロナ下の緊急事態宣言による長いステイホーム期間が明けた後、私はライブはこれが初めてで、3月初めにまさに同じこまっちゃクレズマのライブをここ新宿PIT INNで観て以来。5か月ぶりの、いわば私にとっての復活ライブが、大好きなこまっちゃクレズマで嬉しかったな。

200811こまっちゃクレズマ −1+近藤達郎 ゲスト巻上公一@新宿PIT INN DSC_0305.JPG

8月11日(火) 新宿PIT INN
『こまっちゃクレズマ -1+近藤達郎 ゲスト巻上公一
開場19:00 開演19:30 ¥3,500+税(1ドリンク付)
梅津和時(Cl,As,他) 多田葉子(Ts,As,他) 松井亜由美(Vln) 関島岳郎(Tuba) 夏秋文尚(Ds)+近藤達郎(Acc,P)
ゲスト:巻上公一(Vo,他)

 

米国在住のヴォーカリスト東京ナミィを取り巻く仲間たちが、コロナ禍でこの夏の帰省ができなくなった彼女の命を受けて、一夜限りのスペシャルセッション。ゲストに巻上公一を迎えて懐かしいクレズマー曲や超絶インプロ、この日のために用意したアレンジなど、聴きどころも多彩、満載。

 

というわけで、元々のライブ予定が変更になった上でのこまっちゃクレズマ-1(マイナス1は張紅陽さん欠席)、プラス近藤達郎さん、ゲスト巻上公一さん、という豪華版!近藤達郎さん入りのこまっちゃはけっこう何度もやってると思うけど、私はお初でした。

 

まずはステージにこまっちゃの5人のみが登場して、「シャ・ノワール」~「アザミとわたし」。管と弦と打が溶け合ったやわらかな空気にふわっと体を包みこまれ一気に異国に迷い込んだような気分に。そうだ、これ…日常から少し外れたこの感覚。ずっと足りてなかった生の音。こまっちゃクレズマの音を聴いていると、いつも東欧の名も知らぬ街の小さな祭礼に紛れ込み、楽隊の列の後をついて歩き回っているような気持ちになる。めずらしいものがたくさん目に入ってくる。

 

次の曲(「ヴェトナミーズ・ゴスペル」だったかな)で、さっそく近藤達郎さんin!いきなり素敵なピアノの音がこぼれまくる。ああ、贅沢…。近藤さんがわりとよく見える位置だったので、ピアノ、アコーディオン、終始その弾きっぷりを堪能してしまった。見た目静かめなのにプレイはアグレッシヴでギャップ萌え~。関島さん曲の「校庭」は、ほんとに古い記憶の中の学校の校庭からのように、みんなの楽器からさまざまな音が聞こえるよう。雨の日にその存在に気づく池の水面とか、暮れていく空に響くさざめきとか。

 

前半最後の曲です、というところで梅津さんが巻上公一さんを呼び込む!ジプシーブラス系の曲です、と「メセチナ」(かな?)。変幻自在なリズム、唸るサキソフォン、巻上さんの声の迫力~!この曲、各メンバーのたっぷりのソロ回しがあって楽しかったなー。ピアノ、ヴァイオリン、サキソフォン、と来て夏秋さんの(普段めったに聴けない)長い長いドラムソロ、はあああカッコイイイイ…!!!!こんなに大好きな音を5か月も聴けてなかったんだなー私…。

 

換気も兼ねた休憩時間を挟んで、「こまっちゃクレズマではめったにやらない感じのインプロビゼーション(by梅津さん)」から始まった後半がまた!突拍子もない音の洪水に次ぐ洪水、PIT INNが決壊しそうだった!尺八やら口琴やらもちろん声も駆使して(ホーミーも聞けた!)不思議な音だらけの巻上さん。近藤さんは立ち上がって何やらグランドピアノの弦を片手で操りながら鍵盤を叩くという謎プレイしてたし。どの曲だったか、梅津さんはサキソフォン分解して吹いてた(笑)。それにしてもつくづくこまっちゃクレズマは、あのおっきなテューバをずーっと吹いてる関島さんと、とんでもない緩急を自在に叩きだす夏秋さん、ふたりの頼もしさがハンパない…。彼らの強力なリズムがあってこそ、サックスやヴァイオリンや鍵盤が自由な軌道を描ける。あと今回、近藤さんがピアノ越しに夏秋さんのプレイをすごくよく見ていて、それに呼応するようにまるで打楽器のように熱く鍵盤を叩きまくってたの、すっごくよかったなー。

 

アンコールでは大好きな「ウェスタン・ピカロ」(エンニオ・モリコーネdedicate)も聴けてうれしかった。この曲の!夏秋さんの!ドラムは!死ぬほどカッコイイので!!!!というかこまっちゃの夏秋さんのドラム全部カッコよくて今日だけで500回ぐらい惚れ死にました…。息も絶え絶え。やっぱり心の底から好きな音…。

 

コロナ禍でライブに思うように出かけられない日々も、私自身は冬眠と思ってなるべく淡々と過ごしてはきたつもりなのだけど、こまっちゃクレズマの生の音を、夏秋さんのドラムの音を、数か月ぶりに聴いて、さらさらした日常とまったく違うものにふわっと足をすくわれたりドキドキさせられたりぎゅんと身をつらぬかれたり。この数か月足りてなかったものにリアルに気づかされるような思いがしたな…。

 


3月のこまっちゃクレズマのライブのとき、梅津さんはこのプチ大仕事シリーズが終わったら歯の大きな治療をする予定でその後の音がどうなるかはわからない、と言っていたので、(この日のライブを聴く限りでは絶好調で以前とまったく変わりがあるようには思えなかったけど)気になって終演後に梅津さんにちらっと話しかけて聞いてみたら、「全然問題ないと思う、あとは慣れるだけだと思います」とのこと!この日もそんな治療があったことさえ忘れてしまう力強い音だったしね、よかったー、ホッとひと安心。

 


それにしても感染対策のため仕方ないとはいえ、ピットインもびっくりするほど席数を減らしてディスタンスをとるようにしていて、その配慮が本当にありがたくそして痛々しい。一刻も早く決定的な予防法や治療法が確立して、各ライブハウスのこの苦労が報われる日が来ますように。

 

  200811こまっちゃクレズマ −1+近藤達郎 ゲスト巻上公一@新宿PIT INN DSC_0306.JPG200811こまっちゃクレズマ −1+近藤達郎 ゲスト巻上公一@新宿PIT INN DSC_0307.JPG