月夜のドライブ

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esq “The Trio”Tour ’08 @ 片瀬江ノ島 虎丸座

画像日曜日、三谷泰弘さんのソロプロジェクト“esq”のライブに行ってきました!やー江ノ島でライブ観ることになるとは思わなかったなあ。でも、ちょっと遠かったけど行ってよかったー。(以下、少々ネタバレありの感想文)

 

esq “The Trio”Tour '08
メンバー:三谷泰弘(Vo,Key)・BARA(榊原雄一)(Bass)・夏秋文尚(Dr)
神奈川公演
日時:2008年7月6日(日) 開場 16:00/開演 17:00
場所:片瀬江ノ島・LIVE CONCERT & RENTAL SPACE 虎丸座
http://www.toramaru.net/
料金:前売:¥5,250(税込)/当日:¥5,500(税込)

 

江ノ島

“The Trio”Tourと銘打たれたこのツアー、その名のとおり、メンバーはボーカル&キーボードの三谷さんと、いつもesqバンドで活躍しているベースのBARAさん、ドラムの夏秋さん、の3人。三谷さんいわく「“週末 Driving Tour”というコンセプト」で、7月から8月にかけての週末に、いわき、水戸、三島、江ノ島、群馬、長野、柏、千葉、の計8カ所を、この3人がほんとに車で回ってる(らしい)。すっごくいい企画だよね。ふだん東京や大阪のライブにはなかなか行けなくても、こうして少し足を延ばして演奏しに来てくれたら、行けるよっていう人もいるのだろうし。

 

ふだん三谷さんはひとりでライブをすることも多いし、バンドのときは基本6人なんだけど、三谷さん&BARAさん&夏秋さん、というレアな組み合わせのトリオライブ、いったいどんな音になるんだろう?と、私もいちどは観てみたいなと思って、比較的近いと思われる江ノ島に足を運んでみた。でもやっぱり遠かったー、片道2時間コース!プチ観光旅行気分だね。

 

画像

片瀬江ノ島の駅を出てすぐ、橋の先に江ノ島ビュータワーという円柱形の建物がどーんと見える、その7階が今回の会場「虎丸座」。天気がよければ、夕暮れ時には太陽が海に沈んでいく絶景が一望できるらしいのだけど、残念ながらこの日は一面真っ白な霧。でも、ふわっと空中に浮いたどこかでライブを観ているみたいで、これはこれでとても幻想的だった。

 

■開演

ステージ(といっても地続き)は、真ん中に三谷さんのキーボード、向かって左にドラム、右にベース、のセッティング。「トリオライブ」、ふだんのバンドの半分の人数だし、小じんまりした感じをイメージしてたら、それがまちがいだったことをいきなり1曲めで思い知らされる。すっげー厚い音、しかも爆音!この人たちに「ほどほど」なんて中途半端な言葉、ないんだね~(笑)。

 

キーボードとベースとドラム、たった3つの楽器だけど、少しも「足りない」感じはなくて。ギターレスだと(しかもふだんのギターがあの手練の飯塚さんときてるから)、音にすこし物足りなさを感じるのかな?と想像してたら、まったくそんなことなくて逆にびっくりした。「6-3=」という計算で出る答えではなく、最初から「3」でしかありえない演奏を見せてもらった感じ。シンプルな編成の中、BARAさんのベースの存在感が際立っていて、自在な旋律が上に下にと波打つの、色っぽかったなー。小編成だと演奏の自由度が高まるのか、夏秋さんのドラムも、手堅さを離れ挑むような表情を見せる場面がなんども。そしてこのふたりの絶好のタッグの上で、三谷さんのキーボードはのびのびと、自分の可能性を心ゆくまで楽しんでるように見えた。

 

■前半~中盤

演奏のすばらしさに前触れもなく撃たれるようだったのが、2曲めの「Evil eyes -悪意-」。ブレイク部分でBARAさんのベースが踊り、夏秋さんのドラムが勢いよく破れていく、そのカッコイイこと!王道ポップな曲もよかったけど、この日は、この「Evil eyes」や「逃亡 -Running out-」のようなハードな曲が、トリオ編成にすごく合ってた。シンプルな音、ゴツゴツした手ざわり、そして、余計なものをまとわないぶん、素に近いなまめかしい色っぽさがあって。

 

そのことをことさら感じたのが「砂の上のBlues」。(私はライブで聴いたことがなかったので、)ライブで聴いてみたいなって願っていた大好きなナンバーだけど、この日この編成で放たれた曲、想像をはるかに超えるよさだった。ちょっと背筋がぞくっとするような。そう、三谷さんのキーボードがピアノフォルテの音を奏でると、この編成はまるでジャズトリオのようにも聴こえてね。夏秋さんのドラムも、BARAさんのベースも、ひんやりした熱っぽさがあって。この演奏、本当によかったな…。

 

三谷さんの歌、圧倒的だった。「抱きしめよう」「しじま」「ここに」「週末の天使」…、ライブスペースの空気を丸ごと震わすような声の力に、客席はただ身をゆだねてた。三谷さん歴の浅い私がこんなこと言うのもなんだけど、ほんとにこの人の「歌力」はどこまでいってしまうんだろう?って思うぐらい、聴くたびに彼の歌声は艶を増してる気がする。弾き語りコーナーで歌ってくれたThe Beach Boysのカバー「Caroline, No」も、江ノ島の湿った空気と溶け合うようですごくよかった。

 

■メンバー紹介MC

7月はじめから始まったトリオツアーはこの江ノ島が4回め。この日は前日の三島から3人、三谷さんの車で移動してきたそう。ほんとは海沿いを走ってくる予定だったのに、なぜか箱根の山越えをするコースに入ってしまってハードな旅でした、って、おかしー(笑)。BARAさんが「三谷さんのカーナビって大事なところで絶対何も言わないですよね」ってツッコんでた(笑)。三島では空き時間にそば屋に入ったのだけど、「そば通の夏秋くんがメニューのボードを見るなりガッカリしてる空気が伝わってきて(笑)」と三谷さん。夏秋さんいわく、「ぼくの好きなタイプのそば屋は、メニューがもりそばとエビスビールだけ、みたいなところなんで~」と。三谷さんが夏秋さんに「そういえばナッチーの手打ちそばを一度もご馳走になったことがないんだよね…」と言い「あ、じゃあこんど」と約束もらってたのもおかしかった。何を話してもおもしろいBARAさんのMCはこの日も爆笑、ご実家(横浜だそうです)の1階の屋根にハクビシン(!)がフンをするのを「見るのが嫌」と向かいの人に言われ、仕方なくBARAさんがときどき屋根に上がって掃除するそうで(笑)。「サンダル落としちゃって、サンダルと命、命をとりました」って、おっかしい…。

 

■後半

と、そんなほんわかMCをはさみつつ、ライブは進行。後半の私的ハイライトはなんといっても「Melody」!!このあいだのバンドライブでもクライマックスに演奏されたおなじみのポップナンバーだけど、この日の「Melody」、ハッとするほどアレンジが変わっていてすばらしかった。この3人の、この3つの楽器ならではの演奏。うねるベースと跳ねるピアノがイントロで絡み合い、そぎ落とされた音数がスリリングな展開を見せ、ドラムがふっと波乱含みに駆け出す。間奏のブレイクのカッコよさ、くらっと目眩するほどだった。すごいな、このメンバーだと、この曲こんな演奏になるんだ…。「輝き続ける 永遠のPop Music」っていう詞が、まさに目の前のPOPの王国で、誇り高く響いてた。そして胸の中に投げこまれたそのフレーズは、灯火のように温かくともってる。今もずっとね。

 

スターダスト・レビューのナンバーあり、ビーチボーイズユーミンのカバーあり、ライブでははじめてだったり珍しかったりする曲あり、もちろん定番ソングもありの、たっぷり2時間の演奏。ちょっと日常を離れたロケーションも手伝って、とても心に残るライブだった。定型にこだわらず、場所・客層・演奏メンバー・セットリスト、すべてに真摯に向き合って、そのとき考え得る最高の演奏をクエストするesqの姿に、また打たれちゃったな。

 

*終演後の窓からの景色

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三谷さんによる、期間限定「esq "The Trio" Tour '08ブログ」はコチラ♪

http://esq-trio.sblo.jp/