月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

esq Tour '08 “With The Band” @ 目黒BLUES ALLEY JAPAN

画像土曜日、esqエスク)こと三谷泰弘さん(元スターダスト・レビュー)のライブに行ってきました。昼夜2回公演のうちの、昼の部のほう。esqのバンドライブ、私は05年06年に続いて3度めだったのだけれど、いつ観ても本当にすばらしいバンドだなー…と思う。そして夏秋文尚さんのドラムは相変わらず、タメイキが出るほどの無類のカッコよさでした。はー…。(以下、ムダに長い感想文)

 

esq Tour '08 “With The Band”
三谷泰弘(Vo,Key)
飯塚昌明(G)
BARA(榊原雄一)(B)
夏秋文尚(Dr)
山口とも(Per)
山本公樹(Sax)
2008/05/17 Sat
場所: 東京・BLUES ALLEY JAPAN 
http://www.bluesalley.co.jp/
open 13:00 / start 14:00
料金:前売:¥5,800(税込)/当日:¥6,300(税込)※全席指定・当日別途シートチャージ要(¥525)/オーダー別

 

■BAJ

今年の会場・目黒のブルース・アレイ・ジャパンは、ふだんはジャズ系の公演が多いライブハウス、だと思う。私はふつうにプレイガイドでチケットを買ったのだけれど、買ったあとに直接店に電話して、各自が席を予約するというシステム。会場はほぼすべてがテーブル席で、スーツ姿の若い店員さんに「こちらのお席でございます」なんて案内されちゃうお洒落な感じ。席を埋め尽くしたオーディエンスは、見事なぐらいほぼ女性だったね。

 

それにしてもこの日の席が、シート運の神様(そんな神様がいればだが)にニッコリ微笑まれたような良席で、なんというか…ドラムの夏秋さんまで、視界を遮るもの何もナシ。こっくりとしたレンガ色の夏秋さんのドラムセットが、かなり間近に目に入る。うー…どうしよう、これだけでもう熱出そうだ…。

 

■メンバー

開演時間になり、拍手の中をメンバー入場。並びは、前列が、真ん中に主役の三谷さん、向かって左にサックスの公樹さん、右にギターの飯塚さん。後列が左からパーカッションのともさん、ドラムの夏秋さん、ベースのBARAさん。それにしてもこの6人、相変わらず見ためバラッバラで、おっかしくてしょうがない。三谷さんは、白のシャツ+ターコイズブルーが印象的なアーガイル柄の半袖セーターという、爽やかなプレッピースタイル。かたや右の飯塚さんは黒の革パンに黒シャツを胸元まで惜しげもなく(笑)はだけさせ、ゴツいネックレスを重ね付け、の王道ロッカースタイル。左後方のともさんは細身のスーツ+グリーンのシャツにグリーンのネクタイ、という怪しいフランス人みたいないでたち。Tシャツ姿のBARAさんはサーフショップのお兄ちゃんみたいな別の意味の怪しさ炸裂。夏秋さんはいつもと変わらず素っ気ないTシャツ+ジーンズ姿で大学生みたい。公樹(こうじゅ)さんは同じシャツ+ジーンズでも頭にサングラスを乗せ、ちょっとナンパな感じ。うーん、ここまでバラバラだとある意味見事だ…。でも、この見ためそれぞれな6人があんな完璧なバンドサウンドをぶっ放すから、開いた口がふさがらなくなっちゃうワケですが。

 

■前半

1曲め、夏秋さんのドラムとハイハットが静かに鳴り始めて、…「Freebird」!うわ…大感激。前に書いたのだけれど、この曲ほんとうに大好きで。でも、シングル盤のカップリングにしか収録されていないナンバーだから、まさかライブで聴けるなんて思ってなかったし、まして1曲めにこれを持ってくるなんて、意外だった。淡々と鳴る夏秋さんのドラム、クールで、でもどこか微熱をもっていて、聴いててドキドキしすぎて息苦しくなるぐらい…。CDではコーラスが入る部分を、この日は公樹さんのフルートが奏でていて、それもとても雰囲気があったな。2曲めは一気に時を遡るようにesqのデビューシングルだった「週末の天使」。途中の夏秋さんのタムの響きがカッコよくて倒れそうになる。さらに三谷さんらしいゴキゲンなポップナンバー「Going My Way」、と続く。

 

■飯塚さんのギター

んー、それにしてもこの圧倒的なバンドサウンド!!MCをはさんで披露された「Mirage」は、フィーチュアリング飯塚昌明!な超ロックナンバー。バンドライブで聴けるの、待ってました~。ドラムもベースもパーカッションも熱く重く、そして何より、飯塚さんのギターーーーー!ギュンギュン鳴らすわ、テラテラソロを弾きまくるわ、あーなんて王道にロックな人なんだろう、カッコよすぎ!!三谷さんのポップでジェントルなイメージからは想像つかないほどの、超ヘヴィーなサウンド鳴らすこのバンド、ほんと好きだ…。

 

■夏秋さんのドラム

と言いつつ、まあ視線は避けがたく夏秋さんのドラムに奪われていたのだけど…。ぜんぶはとても書ききれないけれど、「愛よ何処へ」の不穏な感じのドラミング、カッコよかったー。ボッサ風味の曲「This is love」では、リムショットの色っぽさにとろけそうになる。「I got love」は、もうこれこそ夏秋さん、って思う独特のリズム、タンッタンッタンタンタカタン!ああほんとカッコイイーーー、好きすぎる…。ライブ全編通して、曲のエンディングのタイミングをはかるのに三谷さんの仕草を後ろから逃さず見取る、夏秋さんの鋭い視線がとても印象的で。ステキすぎた…。その職人魂にまたうっとり。エンディングのドラムやシンバルを叩くときに、ふっと力が入って前傾姿勢になり一瞬イスから腰を浮かせる仕草がまたカッコイイ…。もうなんでもカッコイイんだけど。

 

■三谷さん弾き語り

そのあと、たぶんスタレビのナンバーを3曲やったあと、バンドがいちどはけて、恒例、三谷さんのリクエスト曲弾き語りコーナー。オフコースの「僕の贈り物」、そしてスティーヴン・ビショップの「On And On」。この日、これまでの2回と比べものにならないぐらい近距離で三谷さんを観れて、本当に素敵な歌い手さんだな…という気持ちを新たにした。こんなに楽しそうに歌う人ちょっと他にいないし、彼の歌ってる姿って、観ている人を心からハッピーにさせてくれるんだよね。こういう人を、ポップシンガーというんじゃないかな。

 

■ともさんとBARAさん

そのあと、ステージにともさんとBARAさんが戻ってきて、ともさんが何やらフシギな音を…。鳥の鳴き声のような口笛吹いたり、鍋みたいなものをカンカン叩いたり、コップの水でガラガラうがいしたり(笑)。それらの音がだんだん撚り合わされてひとつのリズムになっていって、そして三谷さん、BARAさんが入って本編へ。まるでマジックショーを見てるみたいだったな。スティービー・ワンダーのカバー「For Once In My Life」だったそうです。このシンプルな編成でのBARAさんのベース、めちゃめちゃカッコよかったなあ。

 

■公樹さん

さらに、メンバー全員が戻って「しじま」。ここでも夏秋さんのリムショット、色っぽすぎてどうしようかと思った…。それから、ほぼすべての曲を彩る公樹さんのサキソフォン(ときどきフルート)もすばらしい響きで。というか、公樹さんのことをこんなに近くで見るのはもちろん私ははじめてだったんだけど、めっちゃイイオトコですねー公樹さん。(ってそこに反応。)な~んか、女子がほっておけない雰囲気漂わせまくりで。すごくモテる人なんだろうなー。そうそう、あと、いろんな曲で、公樹さんとともさんが二人でおどけまくってておかしかった、右側4名が真剣に演奏してるのに(笑)。

 

■メンバー紹介MC

たしかここで、恒例・メンバー紹介のMCだったかな。だいたいいつもこの順番(知り合った順+いちばん古い公樹さん)のような気がする「夏秋→BARA→飯塚→とも→公樹」の順で。いつもトップを振られる夏秋さん、三谷さんが「彼もユニークで…まあこのメンバー全員ユニークなんですが」と言うと「ボクはふつうなほうですよね?」と返してたのがかわいかった。あとシンバルが低い話とか、ディジュリドゥー手作りしちゃう話とか、ジャック達やこまっちゃクレズマをやってる話とか…。夏秋さんのしゃべるのってめったに聞けないからドキドキー。BARAさんの「ですよね?」の話には笑ったー。飯塚さんは相変わらず、しゃべると意外にソフトなのがカワイイ。あと、ともさんパートで、三谷さんが「今日はいつものコンガ(顔が描いてある)じゃないんですね?」と聞いたのに対して「あ、コンちゃんとガーちゃん(名前ついてるんだな…笑)は今他の仕事に出張中で…」とともさんが少し申し訳なさそうに言ったら、三谷さんが「いや、ぼくはむしろふつうのコンガのほうが落ち着くので…」と返してたのがメチャおかしかった。公樹さんはイロオトコっぷりを発揮しながら(どうもそういうオーラが出てる)、ライブ告知などを。

 

■本編ラスト

で~、こっからがもう。怒涛のポップ攻撃!「Spread Our Love」「太陽の下で」「あいをしんじて」「Melody」って、もう倒れるーーー。「Spread Our Love」、飯塚さんのリズムギター、なんて明るくてキラキラしてきれいなんだろう!ともさんのパーカッション、なんて気持ちいいんだろう!「太陽の下で」のイントロは激しくワクワクする、これこそポップミュージック。途中のブレイクもほんとカッコよくて。そして、この日のライブの私のいちばんの崩壊ポイントは、なんといっても「あいをしんじて」だったなー。もう、このイントロの夏秋さんのハイハットの音は絶品。これだけで背筋がゾクゾクして失神しそうになる。そこから続く、あのポップきわまりないドラミング。そしてとどめのドラムソロ(夏秋さんが見えるように、三谷さんがしゃがんでたのがお茶目だった)。はぁー…、カッコよすぎて熱出る。さらに、この日の「あいをしんじて」は、ラスト近くの繊細かつ派手なシンバル使いがもうクラクラするほどよくって。今も思い出すだけで倒れそう…。

 

追い討ちをかけるように「Melody」。ドラム、キーボード、パーカッション、ギター、ベースがオーロラのように色を変え身を翻しながら、瞬時に絡み合ってひとつになる奇跡的なイントロ。このバンドのポテンシャルのすべてが、ここに凝縮されてるかのようなパワフルな一瞬。ああ、いいバンドだなあ…。

 

■アンコール

アンコールの拍手で、まず三谷さんひとりが出てきてくれて、リクエストから、オリジナルを2曲。さらにバンドが入って「One And Only」。もう、何も言うことありません。昼夜2回公演だったので、全体の時間は少し短くなるのかな、と考えていたのだけど、ぜんぜんそんなことなかった。いつものバンドライブと同じように、たっぷり2時間半演ってくれて、ビックリした。その2時間半を、とても楽しそうに弾きまくり、軽妙なMCで笑わせ、艶のある声で歌い切る、三谷さんの強靭さ。

 

私は、バンドライブのときの三谷さんしか知らない偏ったリスナーなのだけど、三谷さんがこのバンドを従えて(「…従えてというと偉そうですが、“ぜひやっていただきたい”とみんなにお願いして」とMCしてた…笑)ライブをやってくれることが、すごくとうといなと思う。これほどのサウンドを生で構築するのって(技術的なこと以上に実務的な)たくさんのハードルがあることだろうと思うし、ソロアーティストなのだからいっそ「この音はCDの中だけのこと」と割り切ってしまうこともできると思うのに、こうして、多くの面倒を乗りこえてまでも、年にたった数回のバンドライブを演りたいと考える。それはたぶん、三谷さん自身が、このバンドの音を好きで好きでしょうがないからなんだろうな、って思う。それは、ステージの上の三谷さんを見ていたらわかるよね、もう「このメンバーの音、すばらしいでしょ?」って世界中にふれまわるぐらいの誇らしげな表情で、心底楽しそうに歌っているものね。

 

ああ、すばらしいライブだった。esqのバンドライブは、観る人をひとり残らずハッピーにしてくれる。三谷さん、夏秋さん、飯塚さん、BARAさん、ともさん、公樹さん、すてきな時間をありがとうございました!!

 

書きたいことはまだまだたくさんあるけど、それはまた。