月夜のドライブ

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ジャック達 他 “ALCOHOILIDAY SHOW TIME Vol.27”@西新宿ニューベリー

画像理屈も、理由もない。やっぱりジャック達は、私の大切なバンドだ。すごく、すごく。「MY BEAUTIFUL GIRL」を聴きながら、痛切に、そう思った。なんて言えばいいんだろう、今日のジャック達は…すごくマッシヴで、同時に、すごくせつない音がしてた。なぜだろうな、セットリストのせいかもしれないし、演奏のせいかもしれないし、私が勝手にそう感じただけかもしれないけれど。まるでナマ傷みたいな不穏な熱っぽさを持ったような、甘酸っぱいせつなさにあふれてるような、そんな音に思えた。身体の奥に撃ちこまれたものは、しばらく、疼くだろうな…。

 

2008/01/13 Sun
Newbury presents 2008
ALCOHOILIDAY SHOW TIME Vol.27
「新しい12年の始まりでチュ~、ニューベリー今年もよろしくねSHOW」
@西新宿ニューベリー   http://www.newbury.jp/
17:00open 18:00start
前売2500円/当日3000円(1drink付)
出演
ジャック達(一色進/宙GGPキハラ/福島ピート幹夫/夏秋文尚)
久保田真吾&水上精一郎
大久保由希+OKYON+福田慎
凛廻(さぁや/飛鳥/)

 

■凛廻

一色さんがいちどライブを観てすごくいいなと思って、今回演ってもらうことになったという若いバンド「凛廻」。イヤほんとに若いですね…。低い位置でギター弾くギタリスト、久々に観たかも(笑)。ドラム、ギター、ベース、の3人の男の子と、ボーカルの女の子のバンド。ベースくんは5弦ベースだった。このバンドが、なかなかツワモノでよかったな。3ピースなのに退屈じゃないって、相当の腕前だと思う。巧者な感じのドラムくんによるところが大きいのかな、とか思ったけど。ガツンと4曲だけ演って終わり。

 

久保田真吾

06年の5月にジャック達の対バンだった「捏造と贋作」で観て以来の久保田真吾さん。今日はアコギの男性との弾き&歌で。私はシンゴさんのことあまり知らないので的を射たこと言えてないと思うんだけど、シンゴさんの歌の魅力、このスタイルだと伝わるのにちょっと時間がかかる気がして個人的には惜しいと思っちゃったなー。捏贋で観たときには、シンゴさんのエロさ猥雑さいかがわしさが、直球で入ってきただけに。(でもこれは、アコギ弾き語りというスタイルに反応しにくい、私のリスナー力欠如のせいかも。)シンゴさんの歌、後になるにつれて艶めいてきて、最後の2~3曲は、さすが!って感じだった。ロックボーカリスト然とした、あのギラギラ、シンゴさんならではのものだと思う。

 

■大久保由希

私が観てそうで、ことごとく機会を逸してる大久保由希さん。05年秋の福岡史朗さんのときに観て以来、なんと2年ぶりだ…。由希さんてば、ウワサには聞いてたけど、髪が伸びてすんごく美しくなっちゃってドキドキー。で、演奏始まると、当然のようにオトコマエで天才。このままルート66に放り出されても、ギター1本かついで歌い歩いてダイナーでの投げ銭で喰っていけるだろうなという、そんな逞しさ。大久保由希、もう、存在自体がブルースだなー。バックの2人も絶妙でよかった。

 

■ジャック達

先に、セットリストどん!

01 月光
02 スーパーソニック・トースター
03 キッチンでデート
04 Unhappy Birthday To You(新曲)
05 MY BEAUTIFUL GIRL
06 Strange Move
07 ロッカバラッド・クロック

(encore)
08 夢の中のリディア

 

前回の「サードっぽい」ジャック達から、一転、「ファースト&セカンドっぽい」ジャック達。ちょっと意外な選曲だった。4バンド出演だけあってジャック達の持ち時間も短かったんだけど、全体がギュッと濃く疾走してて、ひとりひとりのプレイもなんだか重たい熱をはらんでるようで、手ごろな大きさの、でも殺傷力の高い鉛の弾を撃ちこまれるような演奏だった。だから、時間は短かったんだけど…、あの曲もこの曲も聴きたかったなという感じがあるのは事実なんだけど…、でも、不思議に満足度の高いライブだった。

 

オープニングチューン、「月光」はものすごく久しぶりで、ドキドキとキュンがいっしょにやってきちゃうような感じ。「今日もこの曲はやっちゃいます、だって好きなんだもん」という相変わらずの一色さんのラヴっぷり全開MCで始まったスーパーソニック・トースター」は、いつにも増してタイトで小気味よくて、聴くこっちも相変わらず参る。間奏前の夏秋さんのドラムソロ、今日のパターン、破壊的にカッコよかった…。今日の夏秋さんのドラムは、どの曲もものすごくワイルドだったな…。「キッチンでデート」もこの4人のライブバージョンはますます荒くれていく一方で、キュートなCDバージョンと別物みたい、ドキドキする!

 

そして、1カ月ごとのライブのたびに、当然のように毎回新曲が出てくるこのバンドの力量をどうするよ!?この新曲に入る前に一色さんが、つい何日か前に急逝してしまったという旧友(一色さんとバンド組んでたこともあるそう)の話を始めて場内しんみりしかけてたんだけど、そこからスッゴイ展開へとMC転がっていったなあ(笑)。ブラックすぎてここには書けないけど(「そいつからいなくなるか!?」の話、とだけメモしておこう)、場内思わずウケてしまう(笑)。で、そのお友だちが一色さんのくだらない詩が好きだったということで、彼に捧げる意味もこめて特にバカな歌に仕上げました、と新曲「Unhappy Birthday To You」。あーこれがまた、ヤバイぐらいすげー曲だった。なんども同じこと書くけど、一色進のメロディメーカーとしての才能、世間の遥か上を行きすぎてて怖くなる。一生に一度生み出すのだって難しそうなメロディを、さらに惜しげもなく3つぐらい合わせちゃったようなハイパーなナンバーが、毎月ボコボコ生み出されるんだから…。「Unhappy Birthday To You」、パッと聴きの私の第一印象は「NHKみんなのうた」。いやホントに印象だけど。キハラさんの朗らかなギターフレーズもサビのメロディもめちゃキャッチーでね。でも、そこから先に用意されたねじくれた展開、まさにジャック達だったなー。ほんとコレ、ジャック達でしか味わえない快感。それにしてもリハもたいした回数してないと思うのに、こんな難しそうな新曲をイキナリこのレベルで演奏しちゃうバンド、ホント信じ難いよ…。

 

そのあとの「MY BEAUTIFUL GIRL」がね…個人的にすごくグッときちゃったんだ。一色さんの他の曲に比べれば淡々とした手ざわりの、なにげないメロディ。でも、この4人がこのメロディを奏でるときに生まれる、他のどこにもない、あまくせつない色。これこそが、ジャック達なんだな…って。ちょっと、泣きそうになった。

 

「Starnge Move」カッコよかったー!一色さんの「ジャック達にも速い曲はあるぜ」のMC(笑)で始まったんだけど、速いし重いし激しいし。ファーストの曲を聴くとますますそう思うけど、ジャック達、ほんとに変化してる。ひとつの曲にここまでのドライヴ感をこめられるなんて。最後の「ロッカバラッド・クロック」も、とことんヘヴィーで甘ったるくて最高。

 

そうそう、今日はニューベリーものすごい盛況でね。「いちど戻るのも大変なので」と、そのまま拍手に応えてアンコール。まったく決めてなかったみたいで、「何やろうか?」とメンバーで相談し始め「リディアやる?」「できる?」「たぶんできる」みたいな会話で、タイツナンバー「夢の中のリディア」を。にもアンコールでやったことある曲だけど、元曲がとんでもなくイカシてるうえに、今のジャック達が演奏する「リディア」のカッコイイことったら!!ああ、ほんとにこのバンド、すごいとか超えておそろしいよ…。今のジャック達ならどんなクソ曲やったってカッコイイと思うけど、そのバンドが一色進の曲を鳴らしちゃう壮絶さ。まじヤバすぎる…。

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はー。短めに書くつもりがやっぱり長くなっちゃった。セットリスト見てのとおり、「キャンセル」も「水溜り画廊」もなかったライブ。ここ2年ぐらいのあいだで、特に「キャンセル」を演らなかったライブってほとんど記憶にないので(さやかちゃんのときぐらいかな)、ちょっとショックではあった。えー、ほんとにやらないんだ…って。でも、その一方で、だからガッカリした、っていう感じも薄くて、進行形の「今のジャック達」の生々しい音(曲というよりは、音)が身体の奥にズキュンと重く撃ちこまれたようなライブだった。

 

でも本音を言えば、やっぱり「キャンセル」と「水溜り画廊」は聴きたかったけどね…(笑)。あと「乙女座ダンディライオン」も「オンボロ」も演ってほしかった。できれば「WHAT'S NEW LOVE SONG」も聴きたかったし、「ジャンパー」「今すぐ帰りたい」「Jet Set」「東京一悲しい男」といった新曲群も今日聴けるかなってかなり楽しみにしてたんだけど…。と、帰り際にここまで思いを巡らせてガクゼンとしたのは、ジャック達、もう、いちどのライブですべての持ち歌を聴けるバンドではなくなってしまったんだな、ということ。ファーストだけのころはワンマンではたしか全曲演奏してたし、セカンドのレコ発ではセカンド全曲+ファーストの代表曲、まで演奏可能だったわけだけど、サード用の新曲がここまで増えた今、全曲演奏はかなわぬ願いなんだな…と。永遠に失われたものの甘さ。でもそれは、つねに些細な幸福を手放し続けることでしか次の視界が手に入らない、そんなシビアな旅をジャック達がたしかに続けてる象徴のようで、さびしいと同時に、うれしいなって。

 

語りすぎを自覚しつつ(笑)、ここまででアップ。今日インフォメーションのあったライブ情報などは、また別記事で。