月夜のドライブ

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ジャック達 セカンド発売記念ライブ「HILAND PARTY」@吉祥寺MANDA-LA2

画像今もまったくダメなんだ…。ライブ当日に受け取った「ALL ABOUT HILAND」、その最後に書かれた一色さんの「4人組」と題された短い文章を読むだけで涙が出ちゃって。私の大好きな4人組。ここにしかいない、ジャック達って4人組。メンバー自身とリスナーのいろんな思いを巻きこみながら、これからも続いていく4人組。多彩なゲストを次々に迎え入れた最高にハッピーで最高にアグレッシヴな音に震えたあと、ぐるっとひとめぐりしてたどり着いた、目の前の「ただのロックバンド」のありさまに、もっとも心を打たれた夜だった。

 

2007/10/12(金)
HILAND PARTY~CD発売記念ライヴ~』@吉祥寺MANDA-LA2
ジャック達:一色進、夏秋文尚、福島ピート幹夫、宙ggpキハラ
GUEST:村松邦男安部王子美尾洋乃、ロム・チアキ、えみコバーン、小林睦実、西村純

 

以下、勢いあまってまたしても全曲感想みたいなこと(いや「みたい」じゃなくてそのものか…)になっちゃった…。BBSにセットリスト上げてくれた一色さんのおかげです…。

 

■開演前

この日ばかりは気合を入れて何とか開場前に出向いたのだけれど、まず驚いたのは、MANDA-LA2の脇に列ができてたこと。といっても数人だけど(笑)。今まで訪れたジャック達のライブで開場前に列ができてたのって、D-DAY、捏贋と対バンしたザーザズーを除いては、初めてじゃないかな…。ま、列といっても数人だけど、ね(笑)。でもこの驚きは肩すかしでもなんでもなくて、平日金曜の開催だったにもかかわらず、開演前にはあっというまにマン2が満員に!最終的には後ろのほうは立ち見だったみたいで、こんなジャック達のライブ、初めて見た…。感動。一色さんは「レコ発だとこんなに人がくるんだー。こんなんだったら毎月アルバム出そう」とか言ってたけど(笑)。

 

受付で、レコ発ライブ来場特典の「ハイランド攻略手引き ALL ABOUT HILAND」を受け取る。パラパラとめくって一色さんの文章を読むうちに、いきなり感無量でどうしようもなくなる…。えーん、まだライブ始まってもいないのに…。この話はまた別に。まだ暗いステージを眺めると、デラックス化を予告するようなセッティング、バンドの4人の楽器は微妙に右寄りに置かれていて、左側にテルミンなど、ゲストスペースがあるのかなという感じ。右奥の夏秋さんのセット、ご自慢の自前のSONORだ~。うっとりするような深く素敵な色のドラムセット。セッティングがガッチリしてて要塞みたい。今日はシンバルもいっぱい。

 

■4人で「スクーター・ガール」~「スーパーソニック・トースター」

1時間のあいだに人がこんできて、そして、開演。「こんばんは~ジャック達です!」の一色さんのひとことに続いて放たれたイントロは「スクーター・ガール」。今までライブでは演ったことのない、まっさらな1曲からスタート、これもなんかグッときた。新譜『HILAND』を聴きながらアタマの中で想像してた4人の演奏が目の前に広がる瞬間。小粋なナンバーをシンプルに軽快に転がしていく4人、すごく楽しそう!一色さんの無敵のMC(ここ書くだけでもホントは凄いのだが)を挟み、2曲めは「スーパーソニック・トースター」。なんかね、この曲聴いてるあたりで「今日のジャック達、もしかして凄いことになっちゃってるのでは…」と感じてた。4人の音のひとつひとつが、狂いなくビシッと狙った場所に入っていく感じ。キハラさんのギターも、夏秋さんのドラムも、ピートさんのベースも、お互いに自分の音が鳴るのはここしかないというジャストな場所で、確信的に鳴ってる。

 

■ムーピーさんと「キッチンでデート」

2曲終わったところで、「ここから徐々にデラックス化が…」というMCで呼び込まれたのは、パーカッションのムーピーこと小林睦実さん。見ためも仕草もすっごくカワイイかたなんだけど、いったんパーカッション操り始めるとキリッとプロの顔になる。「キッチンでデート」、これ、楽しかったなー。CDの中のあの音って、こんな形の楽器なんだ!という博物館見学的なオドロキ。バンドのロックな音に、いろんなパーカッションのにぎやかな音がとっかえひっかえ絶妙なタイミングで乗っていく。楽しいーーー!

 

■ピートさんソロ「ソルティ」

この次が4曲めにしていきなりのセッティング替え。なんと、バンドははけて、ひとり残ったピートさんがアコギを抱えちゃった!わ~ピンで喋るピートさんなんてレアだー(笑)。ここのMCすっごいピートさんらしくておかしかったなー。「ジャック達がセカンドどころかアルバムを出すなんて思ってもいなかった」と言い、相変わらず一色さんに悪態つくんだけど、もーその裏にジャック達への愛があふれまくっちゃってるんだよね(笑)。「ホントはジャック達好きなくせに~!」とピートさんにはいつもツッコみたくなる(笑)。そしてムーピーさんとロム・チアキさんを呼び込んで、インスト「ソルティ」。アコギ+グロッケン+テルミンの演奏は、音がたくさん重ねられているアルバムバージョンとはかなりちがったシンプルな印象で、これもまたよかった。なにより、ロムさんのテルミン!久しぶりにナマで聴いたけれど、やっぱりカッワイイなー。でも、次のテルミンの音にはブッちぎれるほどおそろしい思いしたわけだけど…。

 

■ロムさんフィーチュアで「セラピィ・アゲイン」~「マラッカ」

またメンバー入れ替わって、一色さん、夏秋さん、キハラさん(イスに座って)+ロムさんで「セラピィ・アゲイン」。私のこの日最初のブッ飛ばされポイントは、この曲でした。もう、凄かった…。この曲もアルバムとはかなりちがう、音数少なく深閑としたアレンジ。間奏のソロあたりから、キハラさんのギターにエフェクトがかかって凄まじい音になっていくのと同時に、ロムさんのテルミンの音がどんどん野太く遠吠えのようになっていって。ロムさんの生テルミンはこれまで何回か体験しているのだけど、キハラさんのギターに負けない轟音テルミンなんて、初めて。鳥肌…。こんな音世界があるのか、と目を見張るような「セラピィ・アゲイン」だった。こんなの想像もしてなかった…。そこからすぐにインスト曲「マラッカ」。すぐ目の前で弾かれるキハラさんのギターの音色にうっとり。この繊細さとあの激烈さとの幅を持つキハラさん、本当に不思議なギタリストだな…。

 

■R・O・M・Aと「EDのせい」「オンボロ」

ロムさんと入れ替わりに登場したのは、ウクレレを抱えたR・O・M・Aのおふたり、村松邦男さんと安部Ohjiさん!ああもうデラックスだなー、楽しい~!Ohjiさんの衣装が相変わらず独特に派手で大笑いしちゃう。いいなあ(笑)。ここでR・O・M・Aの持ち歌「EDのせい」。今日のジャック達のいつになく強度の高い演奏で聴くこの曲、えらいカッコよかったなー。そして待ってましたの「オンボロ」。この2人をコーラスのためだけに使っちゃうって、どんなゼイタクさだろ。アルバムで聴き慣れたつもりだったけど、「♪オンボロッチ~」に突入したとたんの歌の厚さ素晴らしさにはやっぱり驚く。ジャック達じゃないみたい…(笑)。そして、あの間奏。凄まじい音を出しながら破綻すれすれまで転げ落ちていくギター、そしてドラム。胸がつまって心臓が破裂しそうになる寸前、身をひるがえして飄々といつもの道を歩き出す憎らしいバンド。これがジャック達なんだよな…。

 

■西村さん入って「ロッカバラッド・クロック」

R・O・M・Aが去り、たしかここでヨシンバ西村純さんが入って「ロッカバラッド・クロック」。アルバムの中で聴くうちに、ワタシ内ランキングが急上昇しちゃってる曲。もうとにかく、キハラさんのギターに尽きる!砂糖をキロ単位で投入してるんじゃないかってぐらいの甘ったるくてロマンティックなギター、最高。でもどこからかふっと、甘さが壮絶さに裏返っていくんだよね、キハラさんのギターって。こんなギター弾く人って他に知らない。

 

■えみコバーンさん入って「おともだち」「乙女座ダンディライオン

さらに、キハラさんの奥さんでもあるところのえみコバーンさん登場。アコギ抱えて、小柄で、キュートで、でもパンチのある人。まず1曲、持ち歌の「おともだち」を。彼女の歌は初めて聴いたのだけれど、ぬけぬけとカワイく、不敵で不思議な、彼女のイメージそのままの歌だなって思った。この曲を演奏しながらキハラさんが彼女を見守る視線のあまりのやさしさに、ちょっと妬けましたが(笑)。そしてアルバムでもえみコバーンさんがコーラスで参加している「乙女座ダンディライオン」。これまでのライブでも何度も聴いてきた曲なのに、この日西村さんのキーボードも入ってほぼアルバムのアレンジで演奏された「乙女座ダンディライオン」は、まるでライブ初聴きのように衝撃的だった。ほんとに、アルバムが出て、私の中でまるっきり生まれ変わってしまった曲。今までのライブで聴いてたこの曲は、もっとペナペナしててB級っぽくてそこが魅力でもあったんだけど、ハイランドにちょっと留学させたら、深みと激しさを併せ持ったとんでもなくイイオトコになって帰ってきちゃったみたいな感じ。曲って、磨かれるんだね。いいバンドって、曲を育てちゃうんだね。

 

■美尾さん入って「ハイランド」~「UNICORN」~「I KNOW,SHE KNOWS」

ここでステージに招き入れられたのが美尾洋乃さん。個人的にこのセットが、この日2つめのブッ飛ばされポイント。ヴァイオリンを持って入ってきた美尾さん、凛々しくてうつくしくて色っぽくて、まずそれだけで参る。そして始まった「ハイランド」の、なんとカッコよかったこと…!美尾さんの弾き姿、世界でもっともアクティヴな女神のよう。キハラさんのギターの音の豊穣さ。夏秋さんのタムの音、シンバルの音、破壊的で気が遠くなる。凄すぎ…。次の美尾さん(ミオフー)ナンバー「UNICORN」がまた…すさまじかった…。一色さんのギターソロ。この日のジャック達のどの曲より長いソロを、一色さん、この曲で弾いてた。私ほんとにダメなんだ、一色さんのこの音…。理屈抜きで、心臓をギュンとつかまれてしまう。さらに美尾さんがマンドリンに持ち替えて「I KNOW,SHE KNOWS」。イングランドの草原を渡る風のような、幻想的なアレンジ。

 

■ピアノとヴァイオリンと「MY BEAUTIFUL GIRL」

そして一色さんが「この曲は本来、ピアノとヴァイオリン入りのこういう形でやりたかったんだ」とMCしたのが、ほかでもないファーストの「MY BEAUTIFUL GIRL」。ライブでアルバムでもう何百回も聴いたこの曲が、まったく見たことのないチャーミングな表情で微笑む。こんな「MY BEAUTIFUL GIRL」があったんだ!という驚き。これは本当に素晴らしかった。なんだろう、ちょっとバカラックの映画音楽を聴いているような感じさえあった。西村さんのピアノが雨粒のように光りながら零れ、美尾さんのヴァイオリンが虹のように空にかかる。

 

■4人で「キャンセル」「水溜り画廊」

で…ね。これだけのデラックスでスペシャルで豪華で贅沢なゲストがすべて去った後に、ステージに残ったのは、今日出たゲストの誰よりも、無骨でぞんざいできらびやかさに欠ける野郎4人。でも、この主役らしさのカケラもない「ただのロックバンド」ジャック達が、何よりも、どんな存在よりも、すばらしいと思えた。「じゃあ、4人でやるか」って一色さんがメンバーに呼びかける、そのセリフだけでもうなんだかたまらなくなっちゃって。「いつも最後にやる2曲を」と言って、夏秋さんのカウント、キハラさんのギターで「キャンセル」。この4人が鳴らす、至高のロック。間奏、熱っぽさを隠すように淡々と鳴るピートさんのベースと夏秋さんのドラムの上で、すさまじく壊れていくキハラさんのギター。狂おしさをひっそりと分けあう一色さんのギター。この4人が駆け上がっていく、どこでもない、ジャック達だけの音。もう、泣きそう。バラバラになりそう。どうすればいいんだろう…。

 

そして、「水溜り画廊」。いつもライブで聞かせてくれる、キハラさんのギターがイントロを導くバージョン。にじんだ水溜りの表面をそっと指先でなぞるように、やさしく音を放っていく楽器たち。彼ら自身の過去と現在のすべてを反映させて、ジャック達の音は、こんなふうに鳴ってるんだろう。だから、こんなにやさしくせつない音なんだろう。私はたぶん、永遠に、この人たちのことが好きだな…。

 

■アンコール「WHAT'S NEW LOVE SONG」「今すぐ帰りたい」

感動に抱きしめられたまま、アンコール。4人でナント「WHAT'S NEW LOVE SONG」。今日ここで聴けるとは思っていなかったから、足許すくわれるように気持ちがグラつく。この曲で出合って、ジャック達に恋をして、今、ここにいる。個人的な思いを勝手に巡らせながら、大好きな夏秋さんのスネアドラムの音を聴く。

 

最後が凄かった!ホントにホントに凄かった!一色さんがひとりずつゲストを呼び入れて(ここで「呼べばなんでも出てきておもしろいなあ。鈴木慶一~ッ!それは出てこないか…」のMCに大爆笑)、並ぶ並ぶ狭いステージにロムさん美尾さん西村さん村松さんOhjiさんそしてジャック達、の総勢9人だったかな。何をやるのかと思ったら「レコ発なので…、新曲をやります」。マジっすか(笑)!? で「タイトルは、ぼくの今の気持ちを表しています、『今すぐ帰りたい』。」に、また客席大爆笑。その中を切り裂くように始まったイントロ、うわ、めっちゃカッコエエーーーー!ローリングストーンズも青ざめそうなほどの強力なギターリフ、何これ!ああもう参るなあ、一色進、どう考えても才能ありすぎだろう!それだけでも驚愕なのに、さらに、メロディがふっと転調していく先の、その甘さメロウさがヤバすぎ。ほんとおっそろしいメロディメーカーだなあ…。これじゃ、もう、サードアルバムが楽しみになっちゃうじゃん!!!!

 

トーク

「今日は『一色進トークベスト』発売記念ライブにようこそ!」に始まって「じゃあトークベストから1曲」(笑)って、ホントにデジャヴのようにあの中のMCをいくつもすべりこませて客席を爆笑させてた一色さんのおしゃべりは、それこそ冴えわたってて、息つく間もないぐらい笑いっぱなしだったんだけど、書いていたら文章がさらに倍になりそうなので、またの機会に。きっとサードの特典で「トークベストVOL.3」が出るだろうしね(笑)。斉藤哲夫さんにジャック達の「ファースト」をベタぼめされた話とか、松尾清憲さんとライブカブんないのは「シネマだけ」とか、おっかしかったなあ。おおむね一色さんのMCって、本人が狙ってる場所の10秒後ぐらいがおもしろいんだよね(笑)。すべからく、一色さんのキャラクターなんだなー。愛せる。

 

 

ピートさんのロマンティックなベースの旋律のこと、この日心底参っちゃったキハラさんのギターのこと、バスドラの振動を見つめながら聴いた夏秋さんのSONORの音のこと、他にも書きたいことたくさんあるけど、またにします。本当に、来月のニューベリーが楽しみでたまらない。こんなとんでもないレコ発ライブを経た、4人組ジャック達は、どうなっちゃうんだろう? 夏秋さんがBBSで「次回からはいつも通りのしょぼい4人でお送りいたしますので、是非そちらも!」って(笑)。うははは。ステキすぎ。

 

*セットリスト、ジャック達BBSより拝借!
01 スクーター・ガール
02 スーパーソニック・トースター
03 キッチンでデート
04 ソルテ
05 セラピィ・アゲイン
06 マラッカ
07 EDのせい
08 オンボロ
09 ロッカバラッド・クロック
10 おともだち
11 乙女座ダンディライオン
12 ハイランド
13 UNICORN
14 I KNOW,SHE KNOWS
15 MY BEAUTIFUL GIRL
16 キャンセル
17 水溜り画廊(ギャラリー)
e1 WHAT'S NEW LOVE SONG
e2 今すぐ帰りたい