月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

イワオの裏庭@新宿ニューベリー

画像ちょっと遅くなったけど、日曜のこと書きます。行けるか微妙な状態をムリヤリ調整して(いつもそうだ…)向かったニューベリー。やーもう、行ってよかったです(泣)。今年の4月に初めて光永巌さんをナマで拝見して、その甘い魅力にすっかり陥落して以来、チャンスがあれば観たいと思ってたイワオの裏庭。ミーハー心はともかくとして、このメンバー、私にとってのインパクト強すぎるでしょう。(以下いつもながら長いっすよ~)

Newbury presents 2006 ALCOHOLIDAY SHOW TIME Vol.9 2006年10月15日(日) 新宿 ニューベリー 「イワオの裏庭」 光永巌(vo,b,g)/BOSSI(dr)/吉良知彦exザバダック(g)/木村林太郎exリヴェンデル(アイリッシュハープ)

 

光永巌さんといえば、ここに書くまでもないけれど、結成から現在に至るまでのメトロファルス不動のメンバーであることに加えて、過去には同時にタイツの不動のメンバーでもあった人。メトロファルスとタイツ、カルトポップの双璧みたいなこの2つのバンドに、のべにすりゃ40年以上も(笑)いるんだよ!甘い雰囲気と裏腹に、実は東京メトロサウンドの闇の帝王みたいなもんだよなー光永さん。で、「イワオの裏庭」はその光永さんのソロユニットなわけだけど、基本メンバーは光永さんとBOSSIさんの二人で、毎回そこにいろんなミュージシャン(今までだとライオン・メリィさん、田村玄一さん、川口義之さん、錦織幸也さん、などなど…あー名前だけで熱出る…)が絡むという形態のよう。(※ちなみに光永さんの音楽活動を一望するには、タイツのベスト盤『GIRLIC REPLICA』のブックレット内「タイツ・ファミリーツリー」を見るのがいちばん!あー役に立つなあ、コレ…。)

 

ドラムのBOSSI(石坪信也)さんは、もちろんメトロファルスの現ドラマーであり、過去には青山陽一さんのBM'sのドラマーでもあったし(たぶんBM's歴代ドラマーの中でいちばん長い)、The SUZUKIのバックで叩いてたこともあったりで、もー私のような者にとってみれば鼓膜ランキング相当上位なドラマー。だけど、ナマはこの日が初めてだったのだ!!もう、歴史的瞬間もいいとこ。ドキドキするなってほうが無理。

 

で、ライブですが。ニューベリーの狭いステージ(というか客席と地続き)に、いつもながらギッチギチのセッティング。しかも今日はアイリッシュハープが並んじゃってるし。どんな音になるんだろう…と眺めていると、今日のメンバー4人が登場。まずは、ハープ+吉良さんのギターのインストで幕開け。ううううつくしい…。とうっとりしているところに2曲め(うらにわにはにわにわとりが…とかいうオモシロイ歌詞だった)が始まったんだけど、…BOSSIさんのドラムが!!始まりゆるやかな曲で、最初鳴らしてるのはバスドラとハイハットとスネアのカッカッって音(リムショットっていうの?よくわからないんだけど…)ぐらいだったんだけど、もうこれだけでブッ飛んだ!存在感ありすぎーーー。で、Bメロあたりで本格的にドラム入ってきたら、もー卒倒ですよ。なんという爆音、なんという迫力!ニューベリーのあのこじんまりとしたセットから、どうするとこんな爆裂ドラムが鳴らせるんだか。ただデカイんじゃなくて、音がゴリッ、パキッ、としてて、とにかく存在感がある。こんな人がドラム叩いてたら、そりゃメトロの音、おっかなくなるはずだよな~。でもね、こんな爆裂ドラムなのにご本人いたって淡々としてるのがまたスゴイ。なんか術後の説明してる医師のような何てことない表情で叩いてるんだもん(笑)。(そうなるだろうとは思ってたけど)初めてのナマBOSSIさんはやっぱりとんでもない体験だった…。この日、このドラムの音にブッ倒れっぱなし。

 

それから、これも私は初めてだったナマ吉良知彦さん。ZABADAKをちゃんと聴いたことがなく、勝手に(人にも音にも)繊細で静かなイメージを抱いてたんだけど、まず吉良さんの外見がさわやかなアウトドア青年ぽくてビックリ(笑)。そして吉良さん、ものすごくクレイジーなギター弾く人だった!うつくしく、重く、激しく、歪んでいて、かなり好きな音…。この日はずっとイスに座って弾いてらしたんだけど、アクションもすごく激しくて、途中で「座って弾くのはつまらんなー」とかおっしゃってました(笑)。

 

で、肝心の光永巌さん!(やっと行き着いた…。)やーもう素敵だったー。甘い声、甘いメロディ。手ざわりは無骨で素っ気ないんだけど、不意討ちでほろりと崩れる感じがまさに角砂糖の甘さ、なのだ…。そして驚いたのは、ソロでも光永さんはベースを弾きながら歌うのね!(曲によってはアコースティックギターも弾いていたけれど。)このベースの音がまた、太くて深くてうっとりするぐらい甘い…。ものすごくメロディアスで、ギターの旋律聴いてるみたいな感じ。

 

それにしても「裏庭」とはよく言ったもので、光永さんのベースとBOSSIさんのドラム、このしたたかな音鳴らすリズム隊はまんまメトロファルスなわけだけど、ヨタロウさんと真逆の魅力とも思える光永さんの声と曲が主役になることで、メトロとはまったく別の(ってメトロのこともよく知ってるわけじゃないけど…)個性になってるのが、すごーくおもしろいと思った!かといって、ことさらメトロと離れた場所にしたがってる感じもなくて、ただ単に「裏」である、と。でも、鏡の中にできた背中合わせの像が、あちら側とこれだけちがうのが、メトロファルスの底知れなさにつながってるんだろうな。

 

もちろん裏庭初見の私は曲目ほとんどわからないんだけど、激フェイヴァリットであるタイツ時代の「シリアス・アワー」やこのあいだのマンダラで披露してくれた「花」(2曲とも一色進さん作詞)、メトロのアルバムに入ってる「今は昔の僕ぢゃない」なども演奏されてうれしかった。光永さんの曲をこれだけまとめて聴くっていう体験を初めてして、彼のメロディが持つ不思議な魅力をあらためて感じたなー。どの曲も、ここじゃないどこかにいるような幻想と、甘い憂いをはらんでいる。これらのソロ曲は音源としてはまだ出ていないそうで、またそれを急いでるふうにも見えなかったんだけど(笑)、できればなんどでもくり返し聴いてどっぷり浸りたい世界だなー…。

 

名前の中にいっぱい木がある木村林太郎さんのアイリッシュハープも、ものすごく素敵でした。夢の中さまよってるような、うつくしく不穏な音。光永さんの世界にとても合ってた。こういう特殊な楽器で果敢にロック文脈に入っていける人ってとても貴重だと思うから、これからもガンガンやって(いやハープだからガンガンはやらないかもしれないけど)、リスナーに見たことない世界見せてほしいな。

 

いやそれにしてももりだくさんで。光永さんの曲以外にも、本編で吉良さんコーナーがあったり木村さんコーナーがあったりしてそれぞれに素敵だったんだけど、アンコールでは光永さん「もう自分の曲はないので人の曲をやります」と細野さんの「Pom Pom蒸気」を!さらに客席の拍手がやまなかった2アンコールめで、客席にいた一色さんも混ざっての、まさかのタイツナンバー「ハロウィン」!これはほんとに客席コールでなし崩し的に(笑)始まったのでまったく予定外だったと思うんだけど、「一回やったことあるかも…」と言いながらのBOSSIさんに加え、吉良さんなんかバリバリソロまで弾いちゃって、どうしてそこまでできんのよ(笑)!って状態、ミュージシャンの底力を見たなー(笑)。この時期にナマで聴く「ハロウィン」、レアで楽しかった!もちろん最後は光永さんの曲(たしか「アラスカ」)で締め。

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うわ、また長いねこりゃ…。でも今回は書く前からそうなると思ってた、ライブで感じたことがあまりにたくさんありすぎたから。ひとことで言えば、ますます深く知りたい光永さんの魅力と、とにかくマイッたBOSSIさんのドラム、という感じ。って、ひとことで言えるなら最初からそうすればいいんだけど(笑)、でも月ドラの文章はレビューじゃなく勝手なラブレターなので、書けるだけ書くしかないんだー。だって、ラブレターって、そういうもんだもん(笑)。 ほんと行ってよかったです。願わくば、もっとたくさん、もっと長く、聴けるといいな、光永さんの曲。演ってるほうも、吉良「この曲短いね(笑)」光永「あ、そう?ごめんね(笑)」と言ってしまうぐらい、それぞれがあっというまで(それはつまり楽曲の快適な濃密さのせいでもあるのだけど)。この独特の世界にたゆとう時間が、なるべく長いとほんとに夢みたいだろうなーと思う。(リスナーは勝手だな…。)