月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

メトロファルス LIVE 2008春 @ Shibuya O-West

画像ああ、メトロファルス、最高~ッ!!ほんっとにカッコよかった…。そして西村さんのギターすごすぎ、惚れまくって戻れない…。あーできることなら来週の大阪も行きたいぐらいだよーーー。(以下、ネタバレ要素アリの感想文です。)

 

2008年4月18日(金)
  東京 Shibuya O-West
  OPEN 18:45/START 19:30
  前売 3,000円/当日 3,500(Drink別途)

メトロファルス
  伊藤ヨタロウ(Vocal)
  ライオン・メリィ(Keyboard)
  光永"Gun"巌(Bass)
  BOSSI(Drums)
  西村哲也(Guitar)
  川口義之(Sax,Per.)

前日から嵐のような荒天で、この日も強い雨に打たれる渋谷円山町。さすが雨男のヨタロウさん、一昨年暮れのO-Westのときもひどい雨だったものな。雨男というか、もっと激しい、嵐男という感じ。

 

開場して45分、ほどよく埋まってきた会場の照明が落ち、メンバー入場~。うー、カッコイイ…。口琴のような音がずっと刻んでいたビートを、西村さんのギターのフレーズが切り裂いて始まったのは…うわ、「風来坊とアーティチョーク」だ!!!!イキナリそんな~!メトロのナンバーの中でも超強力にロックで大好きな1曲。イントロを受けて入ってくるbossiさんのドラムは、巨大な岩の塊が猛スピードで直撃してくるようなもんで、今日もあまりにも危険。避けることなんかできず、ただふっ飛ばされる。今日のヨタロウさんは見るからにカラダのキレがよく(ここ最近ずっと芝居に出ていたせいかも)、歌いながらの妖しい仕草、独特の身のこなしがギラギラ異彩を放ってる。メリィさんは相変わらず変なカッコで不審な動き、キュートだなー。後方で淡々とベースを鳴らすGUNちゃんは、もちろん本日もモテオーラ全開、さりげないくせに不可避なカッコよさ…。バンドのおそるべき音にふっ飛ばされたまま、起き上がるまもなく「宇宙アンファンテリブル」だって!ヨタロウさんとGUNちゃんのユニゾンボーカルはこれぞメトロファルスと思う、ああすてき!bossiさんのドラムはここでも、重たい鉈が次々飛んでくるように聴き手に命中して、おっかないことこの上ない。さらには息の根止めるように「Zingaro」!「Zingaro」なんて前回は最後の最後のアンコールでやっと出た曲だったのに。西村さんのギター炸裂!カカカカッコイイイーーーー!!!!ライブ始まりからいきなりこの飛ばしっぷり。メトロファルスの芯にある、誰よりもハードで誰よりもストレートなロック魂を真っ正面からぶつけられて、3曲でもう瀕死…。

 

それにしてもこのバンドも、ライブのあいだ中どこ見たらいいのか私を猛烈悩ませるー。だって、ヨタロウさんのボーカルだよ、bossiさんのドラムだよ、GUNちゃんのベースだよ、メリィさんの鍵盤だよ、そして西村さんのギターに川口さんのサックスだよ!? 別々の、それぞれに複雑で奥行きが深いストーリーが6つ、ステージ上で同時進行してるようなもの。右も左も手前も奥も、ステージ中見逃せない瞬間だらけ。ほんと困る…。

 

中盤は、メトロファルスらしい、国籍不詳で雑多な曲たちが次々と軽やかに繰り出される。西村さんのマンドリンとメリィさんのアコーディオンが躍る狂騒の「のるかそるかPolka」、GUNちゃんの深く甘いボーカルにうっとりのソロ曲「花」、ステージ上全員足踏み行進しながらの「俺様祭り」…。告知ナシのゲストボーカルだった杵鞭麻衣(きねむちまい)さんとヨタロウさんの「君の心のSad Monkey」は、繁華街の隅っこに置き去りにされた酔っぱらいの男と女みたいで、哀しくうつくしかった。(それにしてもヨタロウさんは美女をそばにはべらせるのが得意だなー。)「LIMBO島」だったかな、珍しくイントロ後の入りが合わなくてやり直し。「ねー今の誰のせい?」って笑い合うゆるさと、その後もとい、でブチかまされる圧倒的なバンドサウンド、その落差もあまりに魅力的。「宇宙は見えるところまでしかない」「Do The Tarascon」、ああ、ほんとにメトロファルスって唯一無二の音を出すバンドだな…。日本でロックバンドといえば、まずはアメリカやイギリスで生まれた音を背骨に、個性という上モノをまとってるのだと思うけれど、メトロファルスは骨格からして他のバンドとはちがう感じ。日本が真に世界に向かって誇れるオリジナルのロックがあるとしたら、それはメトロファルスじゃないかな。国内の評価はいまだにそのことに鈍感すぎる気がするけど。

 

それにしても、西村さんのギターーー!もうね、メトロファルスのメンバーが4人目の前にいるだけで感無量なのに、そこで西村さんがギターを弾いているという、私にとっては桃源郷のような光景(ま、桃源郷にしちゃ地味だが)。前回もマイりまくったけど、ほんと、メトロファルスでの西村さんのギターは「最高!」のひとこと。ギタリスト西村哲也の魅力が200%炸裂しまくってて、もう惚れるなっていうほうがムり!どこまでも謙虚に「まあちょっとだけ弾かせてもらいますね」みたいな控えめな態度でいながら、こっちをバラバラにし尽くすような殺人的なギター弾くんだよ、面ラホのACKYさんじゃないけど、「ふだん、そんなクマさんのぬいぐるみみたいにしてるくせに…」となじりたくなる、もう…(ACKYさんが西村さんのソロライブにゲストで出たときそんなMCしてた)。エレクトリックギターとマンドリンとアコギを持ち替えて弾く中でも、やっぱりレスポールの音色は絶品で、まるで魂ごっそりぜんぶ抜かれたあと、彼の甘くとろけるような音で満たされて気が遠くなっちゃうような、廃人寸前のような瞬間がなんどもあったな…。もう、どうにでもして…。ほんとヤバすぎる、西村さんのギター…(泣)。

 

アンコールを求める拍手がかなり長く続いたあと出てきてくれたヨタロウさん、「年のせいで、アンコールで出てくるまでの時間がだんだん長くなってきてる」と笑いながら、「I don't wanna losin' U」。ヨタロウさん、やっぱり今日も歌の途中で涙ぼろぼろ流してた。そして歌の最後にひとこと「HONZIはいつも一緒にいるよ」って。私は初めてナマで聴いた「帝国狂乱」(大好きなアルバム『グッドモーニング・Mr.タリスマン』の中の曲)も、重たくてカッコよかったなー。再アンコールにも応えてくれて、「ジャージー・ロージー」、最後に「さまよえる楽隊」。

 

はー、なんという満足感。時間というより密度。この濃くてバラエティにとんだ楽曲を次々と鳴らすバンドの体力と技量、すっげーな。ステージ上の6人の音は、それぞれが独立国家のように他におもねることなく屹立していて、その上で結ばれるバンドサウンドは、譜面とかアレンジとか息とか気合なんていうレベルをはるかに超えて、もう、気高い思想のように聴こえる。ま、全員の前にバッチリ譜面台はあって、ヨタロウさんいわく「これロックバンドじゃねえよなぁ(笑)」なんだけど。

 

ああ、もう最高です、メトロファルス。大阪で来週観られる人がうらやましい。早くまた次が観たい。ヨタロウさんがみんなに「ぜひ書いてね」と言ってたアンケート用紙を、私は書いたあとなぜか失くしてしまったみたいなのだけど(運がよければアンケート箱、そうでなければゴミ箱へと旅したかな~)、そこには「考え得るいちばん短いタームで、次のライブを!」と要望してありました。「次は秋」とのMCだったけど、秋の中でもいちばん近い秋でぜひ!

 

あとは、やはりなんとしても、「メトロファルスの新譜」が聴きたいなー。この時代のこの国にメトロファルスというバンドがいて、彼らの最新の音がシーンのどこかに存在してたら、そんなにゆたかなことってないと思うし、それこそが「文化」と呼べる状態だと思うから。もうさ、目くそ鼻くそみたいなバンドが何百あって資源の無駄遣いみたいなCDばっか出しててもしょうがないんだよ、メトロファルスのような誇り高い音を、切実に聴きたい。