月夜のドライブ

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シネマ『GOLDEN☆BEST』

画像6月21日に発売された、シネマの再発盤『GOLDEN☆BEST』聴いてます!彼らのたった一枚のアルバム『Motion Picture』(81年)+シングル曲をDisc1に、未発表トラックをDisc2に収録した2枚組なんだけど、つくづく圧倒される。ここに刻まれた全25曲のメロディラインの素晴らしさ、アレンジの果敢さは、2006年のリスナーにとっても新鮮な衝撃をもたらすよ。音楽の輝きが1年どころか2カ月だってもたないことの多いこの使い捨て天国で、25年も前の音がこんなにヴィヴィッドに鳴り響くってことの意味。チャートや流行や売り上げなんて単語と関係なく、やっぱり音楽には、志の高さって表われるんだと思うよ、結局は。

 

シネマは、ものすごく簡単に言っちゃえば、松尾清憲さん、鈴木さえ子さん、一色進さん、がいたバンド。もーこれだけで、ある種の音楽ファン(ま、私とか)は「メンバー、凄すぎるだろう!」とツッコまずにはいられないわけですが。活動はたったの数年、アルバム1枚とシングル盤3枚を残したきり、ブレイクしそうでしないまま解散してしまったあたりが、また伝説と言われる所以だと思うけど。(一色さんは「オレが入ったバンドはみんな“伝説”になっちゃう」と言っていた。うわははは、シネマにタイツ…。)シネマのメンバーの変遷については、今回の『GOLDEN☆BEST』の松尾清憲さんのライナーに詳しく、私も読んでやっと「へーそうなのか」と整理できた次第。

 

前にココにちょっと書いたように、私はアルバム『Motion Picture』は再発の「CD選書」バージョンを持って聴いていたのだけど、あらためてこの名盤に撃たれてみるかなと思って、Disc1から聴いた。いやマジ撃たれちゃった!っていうか、アブねーよこのアルバム、凄すぎて!まー見事に全身負傷するする。リマスターで音がよくなってるせいもあるだろうし、私自身の耳も昔よりは成長してるのかなと思うけど、いやー放たれる弾の多いこと、シネマの音楽。ポップな表現の裏にいったいどんだけの砲弾を隠し持ってるんだろうと思うよ。

 

今回特にあらためて驚いたのが、さえ子さんのドラムと一色さんのベースのカッコよさ!楽器オンチの私でも振り向かせずにはおかない、このリズム隊のふたりの音。一色さんのベース、このあいだの再結成ライブのときもさんざん「シネマのベース難しい!」と一色さん本人が言ってたけど、上に下にと駆け巡るメロディアスなベースライン。何気ない顔してときどきドキッとさせるような甘さを見せるのが、もー反則ワザ。これ、一色さんの詞やメロディにも通じるところあるよね…。(←また妄想ぎみっす。)それに、さえ子さんのドラム!クールでメチャカッコイイイイーーーー!「君のプリズナー」とか「おかしなレディ・キラー」とか、今聴いても相当カッコイイけど、25年前に女性ドラマーのこの音って、どんなカッコよさよ!それであのキュートな容姿だものね、陥落する男性多数だったのも頷けるなあ。

 

メロディメーカーとしては日本ポップス界の10指に入る(これはまちがいないです。昔からそう思ってた)松尾清憲という人が書く珠玉のメロディラインも、このころから「松尾清憲」以外の何者でもないボーカルスタイルも、唯一無二に素晴らしい。そしてさらに素晴らしいのは、これらの楽曲を「こういう形で世に放ちたい」と考える、バンドの想像力の大きさと思いの強さ。例えば「バラの女」なんか聴くとまさにそう思うわけだけど、さまざまな内外の音楽の影響を消化したうえに構築される、志の高い日本語ポップスのとんでもないオリジナリティーったら!ここまで徹底的にあるいは変態的に追求されることでやっと、25年朽ちない音楽は生まれるんだよなあ。こういう音を聴いちゃうと、音楽の退屈さやトライアルのなさを「自然体」なんて言葉にすりかえるのはいい加減やめようよ、って思う。このシネマというグループの、そんな、偏執的なほどのポップスへの愛情とクオリティの高い表現を、今受け継いでるアーティストとして私が思い浮かべるのは、例えばキリンジとか堂島孝平くんとか。そういう意味では、10月に決定した、シネマvs堂島くんというライブは、ものすごく納得がいくし、激しく楽しみ。(っていうかチケット取れんのかな…。)

 

うわ、また長くなった…。このBLOG、ただひたすらにラブレター道(どんな道だ)を邁進してるんで、スミマセン。『GOLDEN☆BEST』についてはまだまだ語りたいことあるんだけど(2枚めのレアトラックスもすげー)、それはまた折を見て。

 

あ、あともうひとつだけ!前からジャケットだけはさんざん見てたシングル盤「雨のチャイナタウン」の写真が今回の2枚組のプラケース底に入ってて、それ眺めてて「あれ…この女性って、もしかして鈴木さえ子さん本人!?」と。そしたらまさにライナーにそう書いてあった。うっわーーー、ずっとモデルだとばかり思ってました!ささささえ子さん、美しすぎーーー!!!!それと、ライナーの、一色さんのコメントにマジ泣きました。女を泣かすなよ…。

 

*『GOLDEN☆BEST』シネマ (シネマの記事、一色さんつながりで今んとこ「ジャック達」カテゴリーに入ってます)