月夜のドライブ

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いいバンドのいいライブ盤『Heart And Soul』esq

画像ライブ盤ってそもそも好きなのだけれど、自分もその場にいたライブがCDになると、そのうれしさは格別だよね。私の場合そんなにあるわけじゃないけど、例えば矢野顕子『グッド・イーブニング・トウキョウ』とか、山下達郎『JOY』のいくつかのテイクとか、去年の青山陽一『Broken Words And Music』の中の数曲とか。で、そんなCDがまた新たに、私の手元にやってきてくれた。esqの『Heart And Soul』。昨年11月に観に行った渋谷duo music exchangeでのライブと、12月の大阪BIG CATでのライブの音源を収録した一枚。そ、ドラムスが夏秋文尚さんで個人的に大騒ぎしたライブです~。このあいだのさねよしいさ子さんの『チェリー!』に引き続き、夏秋さんのドラムを聴けるライブ盤がひと月に2枚も出ちゃうなんて、シアワセすぎる…(泣)。

 

インナースリーヴのいちばん最初に、このライヴアルバムについての、esqこと三谷泰弘さんのコメントがある。もともとライブアルバムとして収録する予定ではなかったので、音全部がミックスされた状態の録音があるだけで、後からのミスの修正や各楽器のバランス調整などはできなかったそう。『しかし、そうしたハンディをはるかに上回る演奏がここには収録されています』と。ああ、そうだなって思った。三谷さんのこの誇らしげな言葉、すごくよくわかるよ。esqのライブがまったく初めてだった私なのに、あの日のライブ一回見ただけで、本当にいいバンドだなあって心震えたもの。三谷さんが、彼のバンドをそしてその演奏を、「ねえ、聴いてよ!」って無邪気に私たちリスナーに見せたくなる気持ち、本当によくわかる。だから、予定外だったこのライブアルバムが出たんだろうなってことも。

 

たしかに録音はそれほどクリアではないし、歌の間違いなんかもあるんだけど、三谷さんのその間違い方もとってもキュートでウフフ。これだからライブ盤って好きさ!夏秋さんのドラム、BARAさんのベース、飯塚昌明さんのギター、それぞれが腕利きでありながら確信犯的に自分の世界を持っていて、この3つが絡むだけですでにとんでもないバンドサウンドなんだけど、そこに乗っかる三谷さんのキーボードがまたゴージャスにブッ飛んでるんだ~。ヴォーカリストが歌いながら演奏してる音だなんてとても思えない!さらにそこに絡む、山本公樹さんのサックスと、山口ともさんのパーカッション。なんて豊かで贅沢な音!esqは、レコーディングも10年間ほぼこのメンバーでやっていて、ここにあるのは、まさにそのパーマネントな「バンド」の信頼感と存在感。こんな手強いバンドサウンドが聴けるとは、正直、ライブに行く前は想像もしていなかった。ね、いわゆる「ロック」じゃないとこに、よほどロックはあったりするんだよ、やっぱ。

 

あのときはその美姿に面喰らうばかりで(笑)、音まで全然注意が払えなかった飯塚さんのギター、こうして聴くと、かっちょええですなーーー。伸びやかなフレーズに、あのマーシャルから出てるのねっていうガガガガッ、ジャウッっていうロックな音。んもうおっかしいぐらいのロック者で素敵すぎ~!ギターだけ聴いたらカンペキハードロックだもん。革パンツだし。ジャラジャラネックレスだし。シャツの胸はだけてるし(悶)。

 

そしてここに言及しないではいられない、夏秋さんのドラム!ライブのときすっげーカッコよくて泣きそうだった「あいをしんじて」が収録されていてウレシイ~!(このテイクは大阪の音源だけど。)イントロの「ッチ、ッチチ…」っていう繊細なシンバル、あー夏秋さんだ~。これだけで気持ちよすぎて気失いそう…。いわゆるモータウン・リズムっていうのかな、こういう軽快なビートを刻むときの夏秋さん、何気ないんだけどカッコイイよねー。ああ、あのうつむき気味の顔にかかる前髪を思い出しちゃう…(惚)。でね、三谷さんの「ドラムス、ナッチー!」の声で、ドラムソロに突入~~~(泣)、ダメ、マジぶっ壊れる…。えーん、カッコイイ…。私ほんと、夏秋さんのドラムの音好きだなーーー。もう、いくら言っても言い足りないよ。いつまでも聴いていたい。それだけでシアワセです。

 

ライブのときは曲タイトルも知らなかったけれど、あーBARAさんと夏秋さんと飯塚さんが途中からコーラスで参入したあの曲は「悲しみにByebye」だったのね。コレ聴くと、山口ともさんが、♪Byebye sadness, byebye~♪っていう歌に合わせてやっていた怪しげな振りが、もれなく目に浮かんじゃって可笑しくなる…。それにしても、三谷さんのヴォーカルの圧倒的な凄さ。3時間近くのライブを弾き倒し歌い倒し、しかも、その声は後半ますます艶を得るようで。何よりも、いったん歌い始めると、ただ歌うことが楽しくて仕方なくなっちゃう、三谷さんの子どもみたいな姿がいいんだなー。

 

またね、スリーヴの最後のページに載っている、ライブ後のステージの6人の写真が最高。夏秋さんも日記で書かれてましたが、これ、ほんとに同じバンドかよ!っていう(笑)。主役であるところの真ん中の三谷さんは爽やかなプレッピー風なのに、右端の飯塚さんは前述のようにギンギンのハードロッカーしてるし(でも笑顔は優しい♡)、左端の山口ともさんはフランスの大道芸人みたいだし…。メチャクチャ過ぎて笑える。でも、ただひとつ「音」でつながってるっていう自信が、あふれてるよね。

 

もー聴いてて楽しくてしょうがないライブ盤です。音楽っていいなあ、って素直に思える。このesqのフルバンドでのライブがあったら、私またこの素晴らしいミュージシャンたちの音聴きに、万難排して行っちゃうなあ絶対。

 

*『Heart And Soul』esq