月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

2005年 マイ・ベスト・アルバム

昨日あたりは仕事納めの人も多かったのだろうと思うけれど、私はといえば、10年近く前に会社勤めをやめてからは、すっかり区切りとか折り目とか節目とかいったものと縁遠くなる一方。年末感も、こんなことをしてやっと感じるぐらいなのだ。というわけで、「2005年 マイ・ベスト・アルバム」。…とはいっても、新譜をたくさん買う人間じゃないので、ベスト10を選んだら、今年購入した新譜が全部入っちゃいそう(苦笑)。なので、たった3枚だけです。もうだいたいわかるよと言われれば、まあそうだろうと思う(笑)。

 

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1.『MY BEAUTIFUL GIRL』ジャック達

うん、これに尽きるかな…。今年の私は。ベストアルバムなんて言い方をはるかに超えて、たぶん、私の2005年最大のできごとだった、このアルバムに出合ったことは。30代もほとんど最終コーナーに差しかかった、どう考えてもしなやかとはいえない自分の感性が、音楽にこれだけピュアに突き動かされることがあるんだってことを、50代に突入したボーカリストを抱えた“新人バンド”が教えてくれた。それだけでも、涙が出るほどせつない体験。ギターがあって、ベースがあって、ドラムがあって、詩があって曲があって歌がある。たったそれだけの、何の衒いもないストレートなロック。なのに、そのそれぞれが圧倒的な輝きを放ちながら結びつくとき、音楽ってこんなにも力を持つものなんだろうか。こんなデビューアルバムを出してしまったジャック達というバンドに、ただひたすら心奪われた2005年。

 

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2.『P.W Babies Paperback』ムーンライダーズ

5月に出た新譜なので、12月に振り返ったときちょっと分が悪いところはあるかもしれないけれど。このアルバムが私に与えた衝撃も、ちょっと言葉にできないほどだった。今でもこのCDを聴くと、初めてディスクを回したときの、何ともいえない息苦しさがまざまざとよみがえる。つまり、人生にリアルに切りこんでくる音ってこと。心安らぐBGMになんかとてもなりやしない。そしてそれは、私がずっと求め続けている音だし、ムーンライダーズがずっと辿り着こうとし続けている場所なんだと思う。29年ものキャリアを積んでいるバンドが、シーンの誰よりアグレッシヴであるということの壮絶さ。追いつこうとしても、追いつけない。だけど私は、追いかけ続けるよ、きっと。

 

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3.『SUN TIGER福岡史朗&BOXCOX

これはね、「衝撃」のひと言。最初の数秒を聴いたときのショックったらなかった。音像はオーソドックスで挑発的なところなどひとつもないのだけれど、その存在感は、今世の中にあるどんなロックもどきよりも、孤高な場所に屹立していると思う。力みのないライフサイズの歌の背後に、その凄まじい覚悟を感じて、身のすくむ思いがするんだ。うまく言葉で言えないけど、「ロック」とはすなわちこのアルバムのことだ、と思う。これほど衝撃的な音が、音楽シーンにはまだ埋まってるんだってことにも驚いた。ロックは死んだとか、聴くべき音がないとか言ってる場合じゃない。このアルバムに私を導いてくれた人がいたことにも感謝。

 

2005年の3枚、に関しては、上のセレクトで迷いがない。こうして見ると、私やっぱり、音楽に人生を乱されたがってるんだな。毒にも薬にもならない音なんて、ひとつも要らない。私っていう人間ごとグラグラ揺さぶって、人生狂わせて欲しい。そんぐらいの、圧倒的な衝撃を持つ音楽だけを、聴いていたいよ。それは、ほとんどの場合、どうしようもなくちっぽけなラヴソングだったりするんだけど、ね。バカみたいな恋に、いいオトナが発熱しそうなぐらいイカレてる、それこそが私にとってのロックなんだ。 もちろん、この3枚の新譜以外にも、いい音にたっくさん出合えた。私みたいな、許容量に欠けるリスナーでさえ、だよ。本当に、ありがとう音楽。来年もよろしくね。