月夜のドライブ

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噂のMAMALAID RAG『銀の爪』

画像はっぴいえんどフォロワー」とか「喫茶ロック」とかって呼び名の中に入れられちゃうことで、損してるアーティストって、実はたくさんいるような気がするんだけど、どう? このMAMALAID RAGなんかも、そうかもしれない。私みたいに頑固で臆病で狭量なリスナーだと、「はっぴいえんどっぽい」なんてウワサだけで、聴きもしないのにわかったような気になっちゃったりするもの、ああ、危ない。まさにそんな感じで勝手に想像していたMAMALAID RAGのイメージを、見事にひっくり返してくれたのがこのあいだの青山陽一さんのライブ。初めて目にしたMAMALAID RAGに、どうも、思ってた以上に危険な人たちみたいだ…、って。あ、ルックスがじゃなくて音が、だよ(笑)。ま、ルックスも十分危険だが。

 

そのとき「11月に出ます」と告知していたミニアルバム、『銀の爪』。全部で5曲入りの小品なんだけど、うーん、なんかヤバイ感じに満ちてるよ。ポップスとしての完成度の高さが、そこで終わってなくて、さらなる破綻にまで突き進んじゃってる。はっぴいえんどに通じるところがあるとしたら、まさに、そのアンバランスさかもしれない。つまり、これが、ロックってこと。

 

2曲めに入ってる「カレンダー」が、すっごくいい。これ、ライブでも演ってたよね。一回聴いたら忘れられない、不思議なメロディ、コード進行。肌触りのいい、ものすごくクオリティの高いポップスなんだけど、底を覗くとどっか歪んで壊れてる。ああ、たまらなく魅かれる、こういうの。

 

そして。やっぱりもう、田中拡邦さんの甘くウェットな声には、ただひたすら参るしかない。文章、単語どころか、音節ひとつに、これだけの色と表情をたゆたわせることができるボーカリストって、前にも書いたけれど、大滝詠一堀込泰行、以来じゃないかと思う。しかも、その才能をちっとも有り難がってるふうがなくて、素っ気なく扱ってるところも同じ。3人とも、なんていうのか、まったく技巧的なボーカリストじゃないものね。「声?ああそうですか」ぐらいの感じ。くそーカッコよすぎ。

 

こういう若者がいて、こういう音楽を鳴らしてくれてるのを聴くと、ほんとに、年齢とか年代とかジャンルとか、どうでもいいって気がしてきちゃう。70年代だからエライってこともないし、2005年だから新しいとも限らない。みんな同じ「音楽」って場所で、ただ勝負してんだ、ってね。

 

そういえば、田中くん、クリスマスの青山さんソロライブにゲストで出るんだよね。ああ、またあの40代&20代痩身ギタリストが並んじゃうのかー。いいなあ、メチャカッコいいだろうなー(泣)。

 

*『銀の爪』MAMALAID RAG