月夜のドライブ

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コウモリのような気分でフリッパーズを聞く

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グランドファーザーズの記事の次にフリッパーズ・ギターが出てくるとは自分でも思わなかったな。でも、ふたつのグループ、接点がないようでいて活動時期はとても近い。そして、91年に解散してしまったということも。そうだったのか…。フリッパーズは、解散後もコンピレーションなどがずるずると出続けていたから長く存在していたような気がするけれど、メジャーデビューアルバムの「three cheers for our side」からこの「ヘッド博士の世界塔」まで、足かけたった3年。あのころの、彼らのメディアへの露出度や影響力を考えると、この短さが信じられない。私と聞いてきた音楽が似ているような気がする祥さんのBLOGでこのアルバムについて触れられていたので(→コチラ)、引っ張り出してきました。ものすごく久しぶりに聞いたけれどやっぱり有無を言わせぬスゴさがある。

 

っていうか、今あらためて聞くと、もんのすごいギターサウンドだよね、これ。(そもそもアーティスト名も「フリッパーズ・ギター」だしなあ。)フリッパーズというと当時、サンプリングだとかそういう面ばかり取り上げられてた気がするけど(もしくはもう音楽と無関係にファッションのみ!とかね)、シンプルに、ギターキッズのひとりだったのだよなー彼ら、と思う。フリッパーズのライブは結局体験できずじまいだったけれど、レビューでは「意外に演奏が骨太だった」みたいな感想が多かったような気がするし。

 

このころもう大学生だった私、さすがにOliveの「小山田クンのゴキゲン&ハッピーなライフスタイルをのぞいちゃお(はあと)」(←あくまで想像)みたいな記事を読むような歳でもなかったから、彼らの提示する(もしくは彼らが提示してるとメディアが思わせたがっていた)ファッションを追いかけるほどの熱意はなかったけれど、でも買ったなー、彼らの載ってた雑誌。(とりりんにはひっそり話したけど)結婚前、音楽雑誌をごっそり国立のディスクユニオンに売っ払ったことがあって(主に、大判の頃からずっと買ってた「ロッキンオン・ジャパン」を。「ミュージックステディ」や「POP・IND’S」は後生大事に持ってる)、そのとき何気なく混ぜて持っていったフリッパーズ表紙の「03」が、予想外に高い値で売れたのにビックリしたことがある。フリッパーズの市場価値落ちてないのね、って。

 

でもさ、「渋谷系」とか「カフェ」とか「お洒落」なんて単語とイコールにされちゃうことで逆に彼らを敬遠して聞かなかった音楽ファンもいたんじゃないかなって気もする。「音楽とファッションは別物だぜ」っていう、ある意味アタマの堅いまたある意味まっとうな言い分も、よーくわかるからね。私はその辺のバランスがどっちつかずでビミョーなんだけど。だから、なんだか私は今でもフリッパーズを聞くときはイソップ寓話のコウモリのような気分になっちゃうのだ。フリッパーズの音楽自体とはまったく関係のないことだけれど。

 

3枚のアルバムに残された楽曲の密度といったら、圧倒的。メロディで音楽を好きになることが多い私としては、フリッパーズもやはりメロディの秀逸さにひかれる。2枚目なら「ビッグ・バッド・ビンゴ」「午前3時のオプ」が好き。このアルバムなら「GROOVE TUBE」とか。あーでもやっぱ全部好きだなあ、1枚目も2枚目も3枚目も。この濃さを考えるとここでこのグループが解散せざるを得なかったのも仕方なかったのかなと思える。重力を持ちすぎて宇宙の穴になるしかなかったのかなと。

 

 

*「ヘッド博士の世界塔」フリッパーズ・ギター