月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

曽我部くんのヤンチャなロック

マイったなあ。こんな音の前では、クスッと笑いながら、そう言うしかないよね。曽我部恵一くんのアルバム、『LOVE LETTER』。ヤンチャな男の子が、ヒザにすり傷作りながら草むらを走り回るのを、笑って見つめるしかないような、そんな感じ。ほんとに、ヤンチャのひとこと。おかしいぐらい。こんな年齢になっても、パパになっても、ね。

 

サニーデイサービスのことは、ほとんど知らない。フリッパーズが解散したあと、ポスト・フリッパーズみたいな感じでたくさん出てきたバンド(それは本人たちより、周りが勝手にそういうムーブメントに押しこめたがってたのかもしれないけど)のひとつ、そんな程度の認識。ファーストマキシシングル『INTERSTELLAR OVERDRIVE EP』(94年)は、買って聴いたのだけど、あまりピンとこないまま、私自身が音楽大空白時代に入っちゃった。そのあとも、サニーデイサービス、曽我部恵一、という名前に…というよりは、それを取り囲むカルチャーみたいなものに、ずっと、いわれのない抵抗感があってね。なんなんだろう、ほんと私って偏見だらけなんだ。

 

で、まあ実に10年遅れぐらいで彼の音楽に接したんだけど。うわあ、もう笑っちゃうしかないな、このストレート具合。キモチいい!1曲め「バタフライ」、イントロのギターのストロークで、もう心をギュッと痛いぐらい掴まれる。彼のほとばしる思いが、音さえもはみ出しちゃうような、手のつけられないアンバランスさがいい。ほんとにもー、なんだよ、このヤンチャさ!…と思うと、「ねむれないあの娘のために」みたいな、文句もつけられないぐらいのメロウでポップな名曲をサラッとぶちかましちゃうんだから、もう言葉もない。

 

音も詞も、ロックのストレートなよろこびを謳歌してる。若さゆえの捩れや斜なポーズもくぐり抜けたうえで、この年齢をこんなふうに迎えてるアーティストを見ると、ほんと勇気をもらう。「ハルコRock」(この曲、子どもを持つ親の私にはおっかしくてしょうがなかった、サイコー!)のように娘を歌えるロックなパパには、誰も勝てないよね。ああ痛快。

 

*『LOVE LETTER』曽我部恵一