月夜のドライブ

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今でもグランドファーザーズが大好きなのだ

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グレイトフル・デッドグランドファーザーズ」説を前記事(「ズルズルっとしたロックを愛してる」)でかました勢いで、久しぶりにグランドファーザーズの2枚のアルバムを聞いているのだけれど、んもーやっぱりズルズルっとしてますなあ。激しく良いですよー、今聞いてもなお。89年『Western-Charnande』、91年『BBB』。本当に2枚とも、ロック史に残る名盤だと思う。世の中がバンドブームに浮かれていた80年代終わりから90年代の始めにかけて、そんな空気と無関係に、こんな良質なロックが、ある場所には存在していたということが奇跡的な気さえする。

 

例えば、私が大好きな、『BBB』の9曲目「TRAVELING MOOD」。もーーーこのイントロの気持ちよさったら。なんというギターサウンド!なんというグルーヴ!これがグレイトフル・デッドに匹敵するのではないかと私が言うのも、やっぱり見当違いではないよね?このズルズル感を出せて、出せるだけでなくレコードの溝に(実際はCDですけどね)そのまま残せるバンドって、日本では稀少だよなーーー。もちろんそれは、プロデューサーである“Wangan-King”鈴木博文さんの力量でもあるのだと思うけれど。この「TRAVELING MOOD」は、CDに入る前からライブでいつも披露してくれていて、彼らのライブに通いつめていた私は、その頃から大好きで大好きでしょうがない曲だった。グランドファーザーズって、録音物としての音を緻密に構成していく宅録少年な部分と、ライブで音を練り上げていくライブバンド的部分の両面がたぶんあって、そのバランスが絶妙だったんだと思う。そして私は、CDの音に残る彼らの魅力と同じかそれ以上に、ライブでの彼らにとにかく参ってた。

 

グランドファーザーズのライブ、今となってはあいまいな記憶しかないのが悔しいけれど、青山さんと西村さんのギターの絡みぐあいがおっそろしく気持ちよかったのはまざまざと思い出せる。青山さんの超絶ブルージーなギターが得もいえぬ快いフレーズを弾(はじ)き出したあと、西村さんが入れ替わっていつ果てるともないプログレッシヴテイストのギターソロをかます、なんていう場面。その「瞬間」に立ち会いたくて、私は日がな彼らのライブに通っていたんだなー。あの頃のライブ、映像で残ってないのかなー。ないよなきっと…。ライブアルバムの一枚も出してくれていれば、と思うけれど、あまりにも短い期間で(たぶん、5~6年かな)駆け抜けていったバンドだったから、残した録音物が少ないのは、残念だけれど仕方ない。

 

でも、2枚のアルバムの魅力と存在感は今でもまったく擦り減っていないし、それ以上に大きいのは、青山陽一さん、西村哲也さん、大田譲さん、その3人が、あれから15年経った今もなおしたたかに、彼らにしか出せない音を、それぞれの場所で鳴らし続けているってこと。グランドファーザーズというバンドはもう存在していないけれど、グランドファーザーズが持っていたスピリット、目指していた音の高みは、今の彼らの活動の底辺にそのまま息づいているのだと思う。そのことも含めて、だからやっぱり私は今でも、グランドファーザーズというバンドを愛してるのだ。深く深く。

 

余話。ズルズルっとしたロックという共通点を持つ(←私が言ってるだけだが)グランドファーザーズグレイトフル・デッドだけれど、デッドに二人のドラマーがいたのに比べて、グランドファーザーズは、『Western-Charnende』のときにはメンバーだった鈴木秀明さんが脱退した後は、最後までドラマーのいないバンドだった。ドラムが二人のバンドも珍しいけど、ドラマーがいないバンドというのもスゴイよね。私がグランドファーザーズのライブを見ていた当時は、たぶんあの(…あのローザ・ルクセンブルグの、あのメトロファルスの、あのスターリンの、あのルースターズの…って、スゲーな)三原重夫さんが主に叩いていたと思う。でね、ものすごく曖昧な記憶なんだけれど、グランドファーザーズのライブで「ツインドラム」だったことが、私が見た中で一度だけ、あったような気がするんだー。ドラマーのいないバンドがツインドラムかよ!とひとりツッコミ入れながらコーフンして見た記憶が…。今思うとあれ、三原さんと夏秋さんだったのかな。なんて思って今さら倒れる私だ。まったくの記憶違いかもしれないけれど。

 

 

*「BBB」grandfathers