月夜のドライブ

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ミッチーの「ボクハナク」

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まさか自分がミッチーのCDを買うことになるなんて思いもしなかったけれど。人生、長く生きてみるもんです。及川光博さんが、あのムーンライダーズの名曲「ボクハナク」をカバーしたというので、発売日に買っちゃいましたよ。「GOLD Singer」。タイトルどおり金ピカのスーツ着てます、ミッチー。盤面もゴールド。曲もねー、これが。ピッカピカです。まぶしすぎるぐらい。「恋=DO!」「君は薔薇より美しい」「Romanticが止まらない」「君だけに」「2億4千万の瞳」「聖書」「唇よ、熱く君を語れ」「NANA」…そして、最後の9曲目に「ボクハナク」。ピッカピカにゴージャスな選曲の中、「ボクハナク」だけどうにもいぶし銀でしょう。スッゴイおかしい、いい意味で。ムーンライダーズ岡村靖幸以外は、確実に全員紅白出てるよね、コレ。曲の知名度とか、市場へのインパクトとか、アーティストイメージとの合致とかと無関係、ミッチーがムーンライダーズファン(らしいのだけど…)という以外に、理由の考えられない「ボクハナク」。いやー、こういう愛あるバカは好きです。

 

私は、歌手としてのミッチーも俳優としてのミッチーもほとんど知らないし、昨今の歌謡曲事情もまったく知らないので、「あの『ボクハナク』が、こうなるかー!」と、聞いてただオドロクばかりなのだ。ムーンライダーズのアルバム「DON’T TRUST OVER THIRTY」を何千回も聞いてて、オリジナルの「ボクハナク」が身体の一部になってる私のような者にとって、この鈴木博文さんの詞と曲からロックの成分を取り去るということは考えられないのだけれど、ミッチーのは100%メロ歌謡。セカチューの主題歌になってもおかしくないほど。ってよくわかんないけど。あの「ボクハナク」が、こうなるかー。ある意味、斬新で大胆。

 

「ボクハナク」は、エヴァンゲリオンのコミックのサブタイトルになってることも、(ごく一部で)有名。ものすごくフシギな幅を持ちつつ、聞く人のどこかにざっくりと深く入っていく歌なんだと思う。聞いた人と同じだけの数の「ボクハナク」があって、たぶんミッチーにも、もちろん私にもある。ムーンライダーズの曲で初めて博文さんがメインボーカルをとった、その歌ばかり何十回もくり返し聞き、「ムーンライダーズ詩集」のそのページばかり見つめていた20代の私。どこか言い足りてないような、博文さんの並べる言葉が、どこまでも遠くへ私を連れて行くのは、今も少しも変わらない。

 

*「GOLD Singer」及川光博