月夜のドライブ

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WORLD HAPPINESS 2009 @ 東京 夢の島公園陸上競技場

画像お祭りがさほど好きじゃないので(偏屈)、平素から音楽フェスという存在一般にあんまり心ひかれることがなくて、よほどのことがない限り足を運ぶことはないなと思ってたんだけど、ムーンライダーズが出演すると聞き、しかもトリは(HASでもHASYMOでもない)Yellow Magic Orchestra!ということを聞いて、これはさすがに行くしかないか…と、チケット購入。そうしたらその後決まっていく出演アーティストがどんどん凄いことになっていって、そのたびぶっ飛んでました。このメンツを8,500円で観られるって、ねえ?

 

WORLD HAPPINESS 2009
開催日 2009年8月9日(日)
開場12:00/開演13:00(終演予定20:00)
会場 東京 夢の島公園陸上競技場

 

まず、タイムテーブルどん!

(L)=レフトステージ、(C)=センターステージ
13:00 (L) mi-gu
13:20 (C) pupa
13:50 (L) コトリンゴ
14:10 (C) LOVE PSYCHEDELICO
14:45 (L) 高野寛
15:05 (C) Y.Sunahara
15:35 (L) ASA-CHANG&巡礼
16:00 (C) スチャダラパー
16:30 (L) THE DUB FLOWER
16:50 (C) Chara
17:25 (L) グラノーラ・ボーイズ
17:50 (C) ムーンライダーズ
18:30 (L) 相対性理論
18:50 (C) Yellow Magic Orchestra

 

狭いジャンルの音楽しか知らないこの私が、知ってる名前ばっかり。つまり、出演者、そうとう偏ってるよね。だいたい、メインステージのトリとトリひとつ前がYMOムーンライダーズだなんて、夢の“はっぴいライダーズ”(「はっぴいえんど」と「はちみつぱいムーンライダーズ」の2大日本語ロックバンドの系譜ね、大雑把な括りだけど…)競演じゃん!!他の出演者も、一回ナマで聴いてみたいなと思ってたようなアーティストばかりで。

 

とはいえ、夏フェスはじめてなので、炎天下で体力がもつか、ひとりで行っても大丈夫なのか、フェス特有の空気が私に読めるのか(笑)、もーいろいろ心配しながら出かけたんだけど、行ってみたら意外とへいきでした!よかったー。たぶん、オーディエンス側も、ふつうのフェスとはちょっとちがう感じなのだろうね。私が居ても浮かないぐらいの年齢層だったし、子連れもたくさんいたし、フェスだからって妙に血気盛んだったりもしてなくて。ま、メインがYMOムーンライダーズだからなあ、血気盛んになりようがないか…(笑)。

 

以下、いいかげんな感想をダラダラッと。

 

●mi-gu

出演者の中で1人だけ、まったく名前知らなかったアーティスト。あらきゆうこさんのソロユニットだったのね。というかあらきさんも名前しか知らなかったので、かわいい顔でオットコマエなドラムを叩く姿を(レフトステージは私の位置からは遠かったのでモニター上で)見てオドロく。すげえ。最後のメンバー紹介で、バンドに細海魚さんがいたことを知った。わー、もっとよく見ればよかったな。

 

●pupa

いきなり2番めにこんなアーティストが登場って、すごすぎだよね。この日、私はほぼ開演前ぐらいに会場に入ったらすでに人がギシギシに詰まっててビックリだったんだけど、pupaの出番が早かったせいだろうなー。pupa、初見でしたが、音から衣装から映像から何もかもがセンスよすぎ。こんなメンバーでバンドやられちゃ、しかもフロントに知世さんじゃ、かなうわけないよねえ。うっとり。

 

コトリンゴ

以前からamed-recさんが激推ししてたのを知っていたので、きっといいんだろうなとは思っていたけど、ほんわかしつつも演奏は堂々としててタダ者じゃない感満載。こちらも、途中のメンバー紹介でドラム叩いてるのが坂田学さんだとわかり、目がクギづけに。あいかわらず天才的にセンスいいドラム叩いてらっしゃいました。

 

LOVE PSYCHEDELICO

ふだん流行りモノと無縁な私はもちろん初見。もっとクラブっぽい音だと思ってたら、どストレートな王道ロックンロールでびっくりした。すげーカッコイイ。んだけど、MCで英語使われるとちょっともぞもぞしてしまう…。

 

高野寛

pupaでもすてきだった高野くん、ふたたび!彼がステージに立つとそれだけでさわやかな風が吹きわたる感じ。私ぐらいの年齢が多いこの日の客層向けの選曲だったのか、「べステン・ダンク」「虹の都へ」なんてレパートリーが!しみじみ、いいメロディ書く人だなあ…。そうそう、このバンドでエレクトリックギター弾いてたのが松江潤さんでまたびっくり。ほんとにバックまでビッシリ、どんだけ気になるミュージシャンだらけなんだ…。

 

●Y.Sunahara

ごめんなさい、ここ、トイレに並んでしまいました…。私がテクノ苦手意識を乗り越える日は、いつかくるのだろうか…。

 

ASA-CHANG&巡礼

ブッ飛んだという意味では、この日いちばんブッ飛んだ。すげえ、なにこれ!会場全体が騒然としてた。パンフで読んでいたアーティスト紹介で「天才タブラ奏者」とかいう言葉が目に留まっていたんだけど、天才って、なるほどこういうことか…。ポップミュージックとか商業音楽とかいう概念のはるか外にある音。そうだ、音楽の世界って広いんだよなーーー。ひさしぶりにそれに気づけたことにスカッとする。すごく意味のある体験。

 

スチャダラパー

ほとんど前の記事に書いちゃったんだけど、ほーんと楽しかったしノレたしカッコよかったし心の奥にずしーんときちゃったんだな。いやBOSEさんのMCはペラペラでひたすら面白いばっかりだったんだけどね、なのに、ずしーんと。次のいとうせいこうさんもそうなんだけど、やっぱラップって、言いたいこと・言わなくちゃいけないことがある人、が取るべき表現形態なんだよな!そういう意味で、私、本物を見たんだな、と。もう、世の中の“形だけ”のラップを見てそれで嫌いなんて言っててゴメン、って、そんな気分。いつものレパートリーなのかこの日用の選曲だったのかはわからないんだけど、1曲めが「今夜はブギー・バック」って!私が唯一持ってる彼らの曲じゃん、アガる~(笑)!ああ、SDPほんとよかったなー。そんなこと思うなんて来る前は予想もしなかった。

 

●THE DUB FLOWER

音楽はぜんぜん知らないながらも、いとうせいこうさん好きなので楽しみにしてた。かせきさんをナマで観るのも、もしかしたらはじめてかな?うわ、カッコイイー。せいこうさん、すごく怒ってた。「怒り」をちゃんと表現に高められる人って、今、そんなにいないよね。これが芸術なんだと思ったよ。いとうせいこうさんは、怒りを権力なんかによって簡単に掃き捨てられないように、ちゃんと武装しようとしてるんだ、って。ここまで、言葉に重みを持たせる技術と戦法。ほんとうの意味で、闘うってこと。もう、高速でいろいろ考えさせられた。うん。

 

Chara

おお、いつのまにかイベントも登りつめてきた感が。ふだん流行りモノと無縁な私はもちろん初見。ナマで見る日が来るなんて思ってもみなかったな。まわりの、特に女子が盛り上がってたのが印象的。そうか、世の中の女子はこういうのが好きなんだな…。

 

グラノーラ・ボーイズ

なんだかこのバンドは、ワタシ的には超親近感というか(笑)、どこかでなんども観ているようなメンバーばかりで。でも、この会場で演るのは、せっかくのこのバンド独特の雰囲気が拡散してしまうようでちょっともったいなかったような。もっと、こう、マンダラ2とかで観たい感じだったかも(リスナーってホント勝手なこと言う)。メンバー紹介で玄さんが自分のこと「高田漣です」と詐称してたのにウケた(笑)。

 

ムーンライダーズ

じつは、もう、グラノーラ・ボーイズ演ってるときから、こっちの楽器セッティングが気になって、そわそわしちゃって気が気じゃなくて…。(って、拡散してたのは私のほうか!) レフト・ステージの演奏が終わった途端、すぐにライダーズのメンバー全員が出てきて音出しを始め、サポートドラマー夏秋さんのキックの音に私なんか速攻バラバラになりそうになるし、良明さんのギターは鳴りまくるわ慶一さんにいたっては「おとといの夜…」とまで歌いだすわで、うぉー!と客席盛り上がり始めたら、全員がそこでいちど楽器置いて舞台袖に戻るという、大仰なサウンドチェック(笑)。も~こういうスラップスティック的なの好きだよねー(笑)。で、ここでちゃんと本来の紹介MCがモニターに映し出され、今度こそホントの登場!並びは、前列左から武川、慶一、博文、良明、後列左から岡田、夏秋、かしぶちという、最近の定番パターン。ドレスコードは特になかったようで、サッカーユニの慶一さん、やさぐれ系の博文さん、モッズっぽい良明さん、などなど完璧にバラバラ。

 

で、最初は「VIDEO BOY」、「シリコン・ボーイ」のボーイ2連発。なんかね、こうしていろんなアーティストの中に入るとあらためて、ムーンライダーズの音楽のノリ(まさにリズムという意味の)って、やっぱり独特なんだなと思ったな。いい意味でうまくノレないんだよね(笑)。複雑で、変だから。でもココこそが、ムーンライダーズアイデンティティなのかもな。そう簡単にはノラせないよっていう。ノルためだけに消費される音楽って実際どうなのよ?っていう。いや私が勝手にそう思うだけで、じつはムーンライダーズ、めちゃめちゃお客にノッてほしいのかもしれないけど(笑)。

 

さらにかしぶちさん作の最新曲「Come Up」とは、また意外な選曲!ファンにとってもまだ耳新しいナンバーだっていうのにね。こういう、空気読まないアグレッシヴなライダーズ大好き。「冷えたビールがないなんて」で慶一さんのボーカル、良明さんのギター、かしぶちさん×夏秋さんのツインドラム、炸裂!かっけぇー!

 

どろろんイントロから始まったのは、なんと「夢が見れる機械が欲しい」!わあ、この晴れ舞台にこんな暗くて重くて澱んだ曲選ぶなんて最高だなー。岡田さんのキーボードがうつくしかった…。さらに「くれない埠頭」、博文さんのボーカルが空高く放たれて、夢の島公園の上を吹く潮風に溶けていく風景、なんともいえずよかった。

 

これは演ると思ってた「ヤッホーヤッホーナンマイダ」!ライダーズだけが持つこの独特の疾走感、まじカッコイイなーーー!!ふつうのバンドがやってもぜんぜんカッコよく聞こえないと思うんだけどね。広い会場でヤッホーコールもがんばったさ!この曲でメンバー紹介も。いつもより短めだったからちょっと寂しかったけど。ラストは王道「BEATITUDE」。それほど好きな曲じゃないんだけど(また言ってる)、まあ盛り上がるんだからよしとするか!

 

というわけでライダーズのセットリストどん。

 

01 VIDEO BOY
02 シリコン・ボーイ
03 Come Up
04 冷えたビールがないなんて
05 夢が見れる機械が欲しい
06 くれない埠頭
07 ヤッホーヤッホーナンマイダ
08 BEATITUDE

 

正直、終わってすぐは「『ヤッホー』やるなら『ど~よ!』もやったらいいのに!」とか「『Morons Land』とか『ニットキャップマン外伝』とか、クソ気味悪くてド重いのを聴きてー!」とか「このデカいステージで『WEATHERMAN』やったらどんなにかカッコイイのに!」とか切実にいろいろ言いたくなったんだけど(笑)、このあとYMOを観て、「ああ、ライダーズも『WORLD HAPPINESS』だからこその選曲だったのかな」とすとんと腑に落ちた気がした。WHだからこその「ヤッホー」、WHだからこその「夢が見れる~」、WHだからこその「BEATITUDE」だったのかなって。どうだろ。

 

ああ、それにしても、大きなステージに立つライダーズはカッコよかった!大きなスクリーンに映る7人は最高だった!もう、細かいことぜんぶすっ飛ばして、巨大なステージの上で気持ちよさそうに演奏する彼らを観られただけでも、ほんとに、来てよかったなって思う。ライダーズ、やっぱりあいしてる!!!!

 

相対性理論

と、せいいっぱい思ったところで、話題の相対性理論。なんだか、始まる前からこう…、会場の一部に緊迫した雰囲気(やくしまるえつこ見逃すまじ!みたいな…)がみなぎる。3月にムーンライダーズのロフトの対バンではじめて観たときにかなり衝撃受け尽くしたので、個人的に今回はそこまでのインパクトはなかったかな…。(ま、ライダーズとYMOのあいだだしね…。)中央のモニターに映し出される映像がずっと引きの絵だと気付いたときにはすげえと思った。アーティスト側からそこまで指定できるんだ~。

 

Yellow Magic Orchestra

前記事にほぼ書いちゃったけど。とんでもなくカッコよかった、YMO。ちょうど彼らの出番になったこの時間に、暗幕が下りるようにすとーんと一面夜になって、神々しいほどに照明が映えるのもさすがの貫禄という感じだった。1曲めが「Hello, Goodbye」で、歌詞がひとつひとつモニターに映し出されるのもなんだか泣けちゃう演出だったし。それにしても、ユキヒロさんのドラム!あんなに叩きまくるなんて、それを自分がナマで観ているなんて、嘘みたいだった。ハイハットの音、鳥肌立つようだったな。そして細野さんの魅力的なベースライン。教授が始終、幸宏さんや細野さんのほうにまなざしを送りながら演奏しているのがまたイカシてた。でも、自分の青春の中にあるYMO、もそうなんだけど、それよりも、ただ目の前で演奏してる3人(+サポート3人)が現在形でカッコよくってね。現在形で圧倒されたよ。

 

…と、そんな「WORLD HAPPINESS 2009」。昼から夜までこんなに長い時間なのに、飽きるところがホントになくて、すごいイベントだったな。もっとダラダラ楽しむのがフェスの王道かもしれないけど、かなりまじめにステージ見続けてしまった(笑)。ムーンライダーズYMO…。ああ、観られてよかった!出演者のみなさん、スタッフのみなさん、おつかれさま、ありがとう!!(感想文やっぱりちょっと長くなった…。)

 

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