月夜のドライブ

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moonriders TOUR'09 "Tokyo,Osaka 7" @ なんばHatch

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東京の1週間後のムーンライダーズ大阪公演。じつはこのチケットは、アルバム『Tokyo7』を聴いてスグに(行けるかどうかわからないけど)決心して買ってた。『Tokyo7』があまりによかったので、これは東京のライブ観たらぜったい大阪も観たくなるにちがいないと思って…。(その後思いもよらずJCBホールの前半と重なる案件が出てきてしまったので、大阪決めといてよかった…。)そして、ドラムをしっかり見れたらいいなという思いが強かったので、2階席の1列めを選んでたんだけど、これも大正解。ステージ全部が見渡せて、メンバー全員がバッチリ視界に入って、すごく楽しめた。とりわけ、かしぶちさんと夏秋さんのドラムが同時に目に入るの、もう(セッティング見ただけで)失神寸前…。やばいぐらいカッコよかった…。

 

moonriders TOUR'09 "Tokyo,Osaka 7"
2009年12月 5日(土)
大阪 なんばHatch
open 17:30/start 18:00
チケット料金:1F・2F指定 ¥6,000(1drink代別途必要)

 

オープニング、(たぶん東京と同じ演出で)音楽とともにステージ後方のスクリーンがゆっくり上がって、裏口のようなところから7人が登場。そのまま、アコースティックギター(慶一&良明)、ヴァイオリン(武川)、アコーディオン(岡田)、ブルースハープ(博文)、タンバリン(かしぶち)、ボーラン(夏秋)といった楽器を手に、ステージ下にセットされた客の目の前のマイクに並び「髭と口紅とバルコニー」、そして「Sweet Bitter Candy」。アコースティックセットのライダーズって、ライダーズの中の大道芸人的な泥臭さと埃っぽさを思い出させてくれて、いい。ここにいつもひょいっと帰ってこれるのが、ムーンライダーズなんだなって思う。

 

アコースティックセットの2曲が終わりかけると同時に、メンバーが急いでステージへ駆け上がって楽器のほうへ戻ったと思ったら、間髪入れずに「タブラ・ラサ」のイントロダクション。良明さんが噛みつくようにアンプに向かってギターをハウらせてて、背中から「行ったるぜ!」の気炎を感じた。この「タブラ・ラサ」で、ツインドラムのあまりのカッコよさにいきなりフッ飛ばされる。ほんとーーーにカッコよかったーーー!!!!もう、クラクラして2階席から落っこちるかと思った…。ドラムのことはよくわからないけど、たぶんこの日のレパートリーの中でこの曲がいちばん、かしぶちさんと夏秋さんのパターンが近くて、ふたりのスティックが同じタイミングで動いて、同じタイミングでスネアを叩きシンバルを叩く、そのビジュアルの恍惚ったら…。見てるだけでホント息絶えそうだった…。

 

「Come Up」、「Rainbow Zombie Blues」、「三日月の翼」、軽妙にして、でもやっぱりライダーズらしいヘンな重さのある演奏、なんともいえずすばらしい…。良明さんのギターだったり、くじらさんのマンドリンだったり、岡田さんのキーボードだったり、メンバーの声だったり、瞬間瞬間で主役がくるくる入れ替わるムーンライダーズならではの楽しさ。

 

東京で体験し逃した「むすんでひらいて手を打とう」、すごーく楽しかった!良明さんの振り付け指導、グッジョブだなあ。力まずゆるく、でも熱く、オーディエンスをその気にさせる、あのチャーミングな天賦。イイ大人が、ホイッスルひゅーひゅー吹いて、手をゆる~く結んでらくーに開いて、ぱんっ!って振りして、それに参加するのも、2階席から全体を見渡すのも楽しかった。さらに「先生パー」ってのもスゴイ選曲で…、CD-ROMは持ってるけど(リイシュー盤は買ってない)、ライブで聴くことは永久にないだろうランキング5位以内には入ってたのになあ。ライダーズ、やっぱやることすげえ。

 

ケンタウルスの海」は、ライダーズのなんともいえない滋味を感じる曲。くじらさん、慶一さん、そして博文さんのハーモニーが、ナマでもやっぱりすごくすてきだった。さらに「ハバロフスクを訪ねて」、かしぶちさんが前方のイスに座りアコースティックギターで。今回かしぶちさん、ドラムはもちろん歌もたくさん歌っていて、それがすごくうれしかったなー。女子としてはやはり、あの退廃とロマンに撃ち落とされるコーナーもないとね(笑)。「まぼろしの街角」もレアで驚いたけど、いい曲。サビのユニゾンのせつなさ。ライダーズ、ほんと隠れた名曲多いよな…。岡田さんのヴォコーダーボーカルも聴けて、今回はメンバー全員の歌がたくさん聴けて楽しいーーー。

 

まぼろしの街角」の前の、慶一さんのメンバー紹介が「湘南の巨大遺跡」「湾岸の立ちくらみ」「下町のおかっ引き」「鍵盤のファンタジスタ」「ぶっちー様と呼ばれるのはこの人だけ」「最後の砦」…とか、そんな感じだったかな?岡田さんがまたヴォコーダーボイスでMC、ものすごくおかしかったー。このお茶目さでホントに還暦なのかしら…(笑)。かしぶちさんの「ぼくだけこんな衣装(スーツ)ですけど、アルバムジャケット通りにしただけなので…」もカワイかった。

 

「Tokyo, Round & Round」をポップに放ったあとの展開が、やはり、圧巻だった…。「本当におしまいの話」「パラダイスあたりの信号で」の流れは、アルバム同様、息が詰まるようで。勢いだけで突っ走るライブならやれるバンドはそれこそたくさんあると思うけれど、生の演奏で、この歪みや凄みや重みや、持って行き場のない感情を生み出せるバンドは、そうないと思う…というか、私が知っている中では、ムーンライダーズだけ。録音物だけでなく、生で、これをオーディエンスの喉元に突きつけられるということが、信じ難い…。「パラダイスあたりの信号で」の演奏は、本当に心臓つかまれてどっか持っていかれちゃうみたい。ドラムも、すごかった。かしぶちさんのドラムも夏秋さんのドラムも、すごい音してて、恐いぐらいだった。はぁー…。

 

次から次へとたたみかけるように『Tokyo7』からのナンバー。「笑門来福?」会場中にホイッスル鳴りまくり、おっかしいのなんの(笑)。最高すぎる。「そうですかー」「そうだよー」も元気よく歌ったぜ!今回のツアーではこの曲にメンバーソロが仕込まれてて、良明さんのホイッスル&指差しで指名されるって、何ソレ、おかしー(笑)。夏秋さんのドラムソロは当たり前のようにかっこよすぎて、瞬時に粉々になった…。さらに大大大好きな「夕暮れのUFO、明け方のJET、真昼のバタフライ」!個人的には、この曲のドラムをナマで観られたのに大感激。あの夢のような音が、ナマで、2つのドラムから出てる…。そうか、あんなふうに叩いてるんだ…、と。「I hate you and I love you」のラストでまたメンバーがアコースティック楽器に持ち替え、客席へ。そして「6つの来し方行く末」を歌い上げた6人と1人が手を振ってステージ袖に消え、ループの音だけがいつまでも残る。

 

アンコール。東京ではアタマにやったらしい、アコースティックセットの「スカーレットの誓い」が、大阪ではここで。みんなで歌えるこの曲が、アンコールのトップってよかったよね。大人が1000人とか集まって「薔薇がなくちゃ生きていけない」って歌ってるの、壮観だったな。時代が時代なら踏み込まれそうな感じで。

 

「Frou Frou」、いい曲だなー。かしぶちさんもドラム叩きながらマイクに向かう、すてきー。この曲の、虹を描くようなギターフレーズを追って良明さん(+会場)のホイッスルが「ピッピピッピ、ピッピピッピー」って鳴るのおっかしかったー。ホイッスルの音って野外を連想させるからかな、雲ひとつない青空のような晴れ晴れとした気分を、曲に加えてた感じ。「冷えたビールがないなんて」は、私にとってはもう「ドラム」なので。はー、どうしよう、カッコイイ…。連射浴びまくって存分にダメになった…。大ラスが「Damn! Moonriders」っていうのも、まったくライダーズらしいシニカルさ。そして、私たちの目に映っていた時間を回収するように、来たときと同じステージ後方の出口に、彼ら7人は消えていった。

 

 

(個人的な事情だけど)東京で半分しか観られなかったぶん、この「Osaka7」の感動が激しかった…。すごいライブだったな。っていうか、ムーンライダーズの生演奏すごいな。大阪でちゃんとぜんぶ観られてよかった。「今日だけは“Osaka7”」(by岡田さん)の7名のみなさま、すばらしいライブをありがとう!

 

*セットリスト(Osaka)

01 髭と口紅とバルコニー
02 Sweet Bitter Candy
03 タブラ・ラサ
04 Come Up
05 Rainbow Zombie Blues
06 三日月の翼
07 むすんでひらいて手を打とう
08 先生パー
09 ケンタウルスの海
10 ハバロフスクを訪ねて
11 まぼろしの街角
12 Tokyo, Round & Round
13 本当におしまいの話
14 パラダイスあたりの信号で
15 笑門来福?
16 夕暮れのUFO、明け方のJET、真昼のバタフライ
17 I hate you and I love you
18 6つの来し方行く末

encore
19 スカーレットの誓い
20 Frou Frou
21 冷えたビールがないなんて
22 Damn! Moonriders