月夜のドライブ

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メトロファルス 2007 LIVE『ざわめきのささやき』@表参道FAB

画像去年、念願だったナマを初めて観ることができて感激したメトロファルス。あれから1年ぶりのこのライブが、2007年最初で最後のメトロファルスだそうです(笑)。というわけでさらっと、感想、メモ書き。

 

メトロファルス 2007 LIVE『ざわめきのささやき』
2007年11月12日(月)
表参道FAB
メトロファルス
 BOSSI(Drums)
 光永"GUN"巌(Bass)
 ライオンメリイ(Accordion,Keyboards)
 伊藤ヨタロウ(Vo.)
   with
 西村哲也(Guitar)
 川口義之(Sax)
 ゆいこ(Cho.)

 

またメトロファルスのライブが観られる、というだけで十分よろこんでたのだけど、なんと今年はサポートギタリストが西村哲也さんだと知って、もう告知あったときから楽しみで楽しみで仕方なかった。ライブアルバムでは西村さんサポートのテイクをいくつも聴いてたんだけど、ナマは初めて。あの西村さんのギターがメトロファルスサウンドに絡むなんて、想像しただけで気味悪すぎて(ホメコトバ)、うっとり…。

 

FABは表参道駅の出口のすぐ近くで、初めてのライブ会場に行くとき必ず迷子になる私もすぐにたどり着けた。奇跡的。入り口にはすでにけっこうな人だかり。客層、自分も含め相当ビミョー…。そして21世紀っぽくない人が多い…。FABはタテに長い小さめのハコで(去年のO-WESTと同じぐらいかな)、右側1/3ぐらいにパイプ椅子が出てた。早めに入れたのでとっとと座ってたら、のちほどyさんに発見されて「座ってるし」と笑われる(笑)。でも、開演してからは椅子席の人もみんなずっと立ってたから、メリィさんがMCで言ってたように「ただの荷物置き場に」なっちゃってたかも~。

 

メトロ初級者の私はわからない曲も多いので、セットリスト詳細は語れないんだけど、最初はヨタロウさん、メリィさん、西村さんだけが出てきて1曲。キンクスの「セルロイド・ヒーローズ」のカバーだったそうです。メリィさんのピアノ、ほんとうにタメイキが出るほど美しいなあ。メリィさんってBBSとかでいっつもロックについてシニカルなことばっか書いてるけど、でもメリィさんこそつま先までまちがいなくロックスターだなーと惚れ惚れする、勝手に。凡人が努力してもたどりつけないタイプの輝きを放ってるもの。ピアノに落ちる指先、カスタネットを鳴らす指先、とにかく美しい…。タバコやめて3年で7キロ太ったそうだけど(笑)、それでもやっぱりロックスター。

 

ステージの中央で金色の髪振り乱し歌うヨタロウさんの面妖でヤンチャな魅力は、去年感じたように、ほんとに昔と何ひとつ変わらない。あの声量で、あの動きで、あの表現力で、2時間以上を歌いきれる30年選手、ちょっといないだろう。どこからあのパワーが溢れ出てくるんだろう。

 

2曲めからは、bossiさん、巌ちゃん、川口さんも入って「師走タイムクエイク・オペレッタ」。わかってはいたけど、心の準備はしていたけど、bossiさんのドラムにあっさり吹き飛ばされる。すっげー…。なんというか、迷いなくそこにある宇宙のような、どっしりとスケールのデカい音。このドラムがあるから、ヨタロウさんやメリィさんはその中で安心して飛んだり跳ねたりできるんだろうな。

 

それから、私の「恋に落ちたら指定」(まだ言うか…)の、キケンな甘さ漂わすベーシスト、光永巌さんですよ!はー、相変わらず素敵だったなー…。去年と同じようにニット帽とジャージ姿で、カッワイイー。去年はあった巌ちゃんボーカル曲はなかったけど、ときどきふっと表に出てくるベースラインのオトコマエな色っぽさにクラッときた…。「大航海時代」なんかでの、ヨタロウさんとユニゾンになるボーカルも毎度素敵でドキドキする。粗くて雑駁でゴリッとしたこの男所帯ボーカル聴くと、これぞメトロファルス、と思うんだよね。大好き。

 

サポートの川口義之さんの楽器群が、またもう絶妙で!直枝さんに「リチャード・マニュエル的」と称された(たしかに最近そんな感じだ…)風貌で、サックスやフルートやいろんな楽器を絡ませていくのだけど、その不可思議な響きがほんとうにメトロのサウンドに合ってるんだよねー。最後のほうで「僕も西村さんも、メトロのサポート3年とか5年ぶりぐらいなんですけど、そのあいだ僕2回しか(メトロのライブを)休んでないんですよ」とこのバンドのライブの少なさをヨタロウさんにツッコんでたのがナイスでした(笑)。

 

そして何よりも参っちゃったのは、西村さんのギターです。マジでヤバかった。終演後、snowyさんとグーゼン出会って、開口一番「哲ちゃんカッコイイーーー!」「ヤバすぎ!」とか2人で大騒ぎ。ホントすごかったよ。西村さんは、マンドリンとギター、半々ぐらいだったかな。メトロお得意のポルカでの超高速マンドリンも凄かったけど、何より、やっぱり、ギター!!!!泥臭いスライドから、繊細なハーモニクス、華麗なカッティング、見せ場でのギターソロもこれでもかっていうほどあって、西村さんのギターの魅力全開!ああ、シアワセ…。全編通して凄くないところなんてなかったんだけど、とりわけ、アンコールの「宇宙は見えるところまでしかない」、そして再アンコールの「Zingaro」それぞれでの、長い長いギターソロ!!!!うわーこれはほんとヤバかった。比喩じゃなく、失神するかと思った。目の前に見えてるのにどうやって弾いてるんだかまったくわからない、超絶にもほどがあるプレイ。これより10倍スローにしてもふつうよりはずっと速いだろうという左手の動き、めちゃくちゃに弾いてるように見えてサウンドを100%キッチリ狙い撃つ甘く深いフレージング、そしてソロの最後で熱さを収束させるように6つの弦を一気にストロークする西村さんのあの仕草のカッコイイこと!!ギタリストって世界に何万人いるのかわからないけど、このクレイジーな音は、まちがいなく西村さんの弾くギターでしか聴けない!で、演奏それだけブチ切れときながら、いちばん最後にヨタロウさんに「来年もきてくれるかな?」と振られて、「はい。」ってシャイな笑顔ではにかむ西村さん。ギタープレイと人柄にギャップありすぎ(笑)!

 

コーラスでときどき登場のゆいこさんは、この色気ナッシングなバンドの中でひたすらキュートな花を咲かせてた。告知ナシのゲスト・三線のホールズさんも、メトロそのもののようなあの音をやさしく力強く鳴らしていた。ライブの中ごろだったか、突然ヴァイオリンの音が降ってきて、ステージ上見回しても誰も弾いてないのに…といぶかった次の瞬間、あっ…と気付く。9月の末に亡くなったHONZIさんの、ヴァイオリンの音、そして歌声。ただそれだけが響きわたる。そこから、しんとした空間を割るように、威勢よく始まる「宵闇峠地吾郎変化」。うん、そうだね…そうなんだ。いちばん最後の、アンコールもすべて終わったあとのメンバー紹介では、ヨタロウさんがラストに「HONZI!」と叫んで、客席いっぱいに拍手が満ちた。そのときの巌ちゃんの顔見てたら、なんだか泣きそうになっちゃった。

 

ステージの上のメトロファルスを見ていて、その音を聴いていて、痛切に思ったのは、なんて誇り高い音を出すバンドなんだろうということ。bossiさんの圧倒的なドラム、巌ちゃんのベースの深い音、メリィさんの美しく艶やかなピアノやアコーディオン、空を翔る虹のごときヨタロウさんの変幻自在なボーカル。そして荒れた土地を吹き渡る風のような川口さんの音、アグレッシヴに歪みながら炸裂する西村さんのギター。そのひとつひとつが他に頼ることなく誇り高くそこに自立していて、その上にひとつの、メトロファルスという王国が打ち建てられている。ともすれば小さく小さくまとまってどの音がどの楽器なんだかよくわかんねー袂の糞みたいになっちゃってる(あー言葉悪くてすみません)その辺のバンドとは、天地の差だ。メトロファルスのような志の高い音楽に、遠い旅を体験させてもらえる私たちリスナーはシアワセだな…。

 

それにしても、あの密度であのレベルの演奏を2時間以上連発し続ける中年バンド、おそろしい限り。ヨタロウさんもメリィさんも「もう年なんで(クライマックスは)そんなに長くないよ(笑)」とか年齢の話ばっかしてたけど、どうしてどうして。そしてナント、リスナーへは「じつは来年の4/18にメトロファルスのライブが決まってます」という何よりの帰り土産も!O-WESTだって。1年に1回しかライブないバンドの来年の(しかも4月の!)予定が決まってるなんてオドロいた。あー、そこまでは生きていなくては!

 

はー。ありえないカッコよさだ、メトロファルス。あとは願わくば、ぜひ新作を!メトローマンスホテルのほうは新作作るようなこと言ってたけど…、メトロファルスも、お願い!!!!