月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

ヤバイ、こんどはメトロファルス・ブームだ

画像何だろう、これは、言ってみれば個人的な「東京アンダーグラウンド・ロック・ブーム」なのだろうか?なーんてね。その辺は全然詳しくないのだけど。ここのところ、いろんな話の中で「田村玄一」「石坪信也」「ライオン・メリィ」なーんて名前がさりげに頻出していて、そこに、最近とりわけライブ音源にたぎる血潮(笑)が重なって、とーーーっても聴きたくなっちゃったのが、これ。で、買いましたよ、メトロファルスの2枚組ライブ盤『狂風記~極楽座で君を待つ~ Live 1994-2002』。今のところメトロファルスのもっとも新しいCD、でもある。

 

聴いたら、あーやっぱり、うれしくなっちゃうぐらい今の気分にぴったり!最高に妖しく、かつ素晴らしいバンドアンサンブル!うーん、ゾクゾクする。2枚組全22曲というボリュームの中に、94年から02年までのライブテイクが入っているのだけど、基本のメンバー(たぶん今現在の正式メンバー)は伊藤ヨタロウ(vo)、石坪信也(dr)、光永巌(b)、田村玄一(g他)、ライオン・メリィ(key)。それに加えてテイクによって、横川タダヒコさん(99年までのメンバー)、川口義之さん、HONZIさん、西村哲也さん、上野洋子さん…といった錚々たるミュージシャンの音や声が重なって、なんともまあ賑やかなサウンド。特に、アコースティックギター(ロックバンドなのに、全体にエレキよりアコースティックの方がフィーチュア度高いのがおもしろい)、ペダルスティール、マンドリン、バイオリン、バンジョーといった弦の使い方がとても鮮やかで印象的。

 

ほんとカッコイイなーーー。そして、やっぱりものすごーーーくヘンだ。ミュージシャン一人ひとりの腕のたしかさはもう言うまでもないし、それが絡み合って生まれるグルーヴ(というか、「ノリ」って言葉のほうが近い)ったらとんでもないものがあるんだけど、それぞれのミュージシャンが、どっかちょっとずつ“正しく”デタラメで、それでものすごく狂ったサウンドになってる。そこに乗っかってくるのがヨタロウさんのけったいな詞と放埓ボーカルだもん、まさにメトロファルス以外のどこにもない世界。こういう音楽にこそ「オリジナル」って言葉を使うべきなんだろうな。

 

22曲のすべてにわたって尋常ならざる気迫とトライアルがあって素晴らしいんだけど、今の私に特にガツンとくるのは、なぜか、メトロファルスだけで演奏してるテイクが多い。たぶん、メトロファルスっていうバンドの芯にある、ロック的な図太さがストレートに出てる演奏に、今の私は魅かれるんだな。「宇宙アンファンテリブル」の、ヨタロウさんボーカル+巌さん玄さんメリィさんタダヒコさんのユニゾンコーラス、んもー男臭くてちっとも華やかさがなくて(笑)こういうの大好きだー!玄さんのペダルスティールにのってヨタロウさんがゆるゆると酔っ払いのポエトリーリーディングみたいな歌を披露する「東京憂愁酒場」は、後半bossiさんのドラム+各楽器が入ってきて、とんでもないことになってきちゃう、くそーめちゃカッコいいぞ!うはー「風来坊とアーティチョーク」のドラムもすげー。この演奏の迫力、そこらのロックバンドじゃおっかなくてとても近寄れないよ…。

 

うわーほんと、メトロファルスのライブってすんごく楽しそうで気持ちよさそうでショック大きそう。行ってみたい…。メトロファルス、活動再開してくれないかなー。そしたら絶対ライブ行くよーーー!2月には毎年恒例(といっても私は行ったことないけど)の企画モノ「東流会(東京流れ者会)」があるみたいで、ヨタロウさん率いるメトローマンスホテルや、巌さんメリィさんbossiさんも出るようなのだけど、うーん、初心者がイキナリ東流会はちょっと敷居が高いよな…(←臆病者)。

 

本当に、東京の秘宝としか言いようがないな、メトロファルス。私はいまだにムーンライダーズはもしかしたら売れることがあるかもしれないとしつこく思っている人間なんだけど(笑)、もしメトロファルスが売れることがあったら、心底驚く。でもね、売れなくてもいいんだ。ただ、シーンのどこかでこういう音が鳴り続けていることが、すっごく大切なこと。こういう奇天烈なものを内に存在させることができるかどうかってのが、「文化」だと思うから。あ、もちろん売れてもいいんだけどね(笑)。しかし困ったな、持ってないCD買い集めたくなってきた…今度はメトロファルス・ブームかよ…。

 

*『狂風記~極楽座で君を待つ~』メトロファルス