月夜のドライブ

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Mio Fou、ジャック達、ミンガス @ 晴れたら空に豆まいて

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Mio Fou New Album発売記念ライヴ』
2007年7月22日(日)
代官山 晴れたら空に豆まいて
出演:Mio Fou (鈴木博文美尾洋乃)/ミンガス/ジャック達

 

というわけで日曜日の夜、代官山へ。ミオフーとジャック達だなんて、こんなライブに私が行かない理由がない!と、息まいてチケットはかなり早く予約していたのだけれど、ハハの身の悲しさで最近のライブ、どうも開場前に行けたためしがない…。開場時間少し過ぎて晴れ豆にたどり着いたら、うわビックリ、会場かなり混み合ってました!(いやビックリすることもないのだが…。)23年ぶりのNewアルバムを出すミオフー、こんなにたくさんの人たちを23年も待たせてたのね…。

 

■ミンガス

最初のアクトは、はじめて観る「ミンガス」。はじめて、なんだけど、事前にHPをチェックしてドラマーが三原重夫さんらしいということを知って、ひそかに驚いていたのだ。三原さん、一般的にはローザやスターリンのドラマーとして知られているのだと思うけど、私にとっては何より、「グランドファーザーズのドラマー」。89年ごろ、私が足しげくグランドファーザーズのライブに通っていたころにサポートをしていたのが三原さんだった。たぶんグラファンでは、鈴木秀明さん時代と夏秋文尚さん時代のあいだぐらいに叩いていたんじゃないかな。だから、ドラマーが三原さん、夏秋さんというこの日のライブは、個人的にはカンペキ「裏グランドファーザーズ祭り」だったのだ(笑)。変に感慨深い…。

 

ミンガスは、Kbを弾きながら歌うボーカルの女の子(25歳だそう!)と、ベース、そしてドラム、という不思議なトリオなんだけど、よかったなー。曲も声も、70年代の女性ボーカリスト大貫妙子さんとか吉田美奈子さんとか、をほうふつとさせる雰囲気。だけど、彼女のキーボードと、ドラム、ベースからなるサウンドは、緊張感があって歪んでプログレッシヴな感じもあって。やっぱりね、三原さんのドラムがすっげー。っていうか、彼のドラムが鳴った途端、「あっ…」って感じで細胞が反応したのに自分がビックリした。三原さんのドラムがどんなかなんて、言葉で説明できるほど私は知らないんだけど、ホントに「あ、この音…」って、思わず反応しちゃうぐらいカラダのほうが勝手に覚えてた。音って凄いね。そうそう、これ、この重たくてタイトなドラム。私が聴いてたころからもう20年近くも経つのに、変わらずカッコイイなーーー。シンプルなトリオ編成なのに複雑な音してるのは、メロディやキーボードの色でもあるけど、三原さんのこのドラムによるところが大きいんだろうな。…なんてことぼんやり考えながら聴いてたら、5曲ぐらいでミンガス終了。

 

次はジャック達なんだろうなーと思って待ってると、あれ?なんだかセッティングがやけに複雑…なんと、意表をついてミオフーでした。

 

■ミオフー(第一部)

ミオフーは、左のグランドピアノに美尾さん、正面に博文さん、右にサポートの多田葉子さん、その斜め後ろに美女がまた1人(ナント美尾さんの妹さんだそう)、さらにその後ろの引っ込んだトコに控えめにサポートドラマーの夏秋文尚さん。それにしてもつくづく博文さんは、つねに周りを美女に囲まれてる印象だね…。私はミオフーってライブで観るのまったくはじめてで、美尾さんもはじめてだったのだけど、ほんとにうつくしくてキュートでチャーミングな人で、うっとりしちゃった。

 

曲は、とてもバラエティにとんでいて、どんな順番で何を演奏したか定かじゃないけど、美尾さんや博文さんのボーカルが入る曲はもちろん、ミュージシャンとしても手練のこの5人で奏でるインストナンバーなんか、相当アヴァンギャルド。去年ミニアルバムが出たときも思ったけど、ミオフーって世間とリンクしないミオフーだけの時間を生きていて、20何年ぶり、っていうことがブランクにもならないし、いい意味で歴史にもなってないし、今の世の中でポッと音を出すと、そのアバンギャルドさが今できたばかりのグループみたいに鮮やかなんだよね。驚いたな…。鍵盤ハーモニカやクラリネットを操る多田さん、ヴァイオリンその他を担当してた美尾さんの妹さん、それからドラム、パーカッション類の夏秋さん、サポート陣の演奏もそれぞれ妖しく独特で、素晴らしかったなー。

 

何曲かやったとこで、「じゃあここで夏秋くんは居残り…ってわけじゃないけど」と博文さんのMCで、いったんミオフーは引き上げて、ジャック達へ。

 

■ジャック達

あー、久しぶりのジャック達というだけでなんだか私舞い上がっちゃって、天国まであと3歩ぐらいのトコで心臓バクバクさせながら聴いているうちにあっというまに終わっちゃった。ま、実際あっというまだったんだと思うけど。

 

今日は前方左に一色さん、右にキハラさん、後方左にピートさん、右奥に夏秋さん、という位置取り。最初の曲は「WHAT'S NEW LOVE SONG」。ギターのフレーズもドラムのパターンもベースのメロディも、なんど聴いたかわからないぐらい聴いた曲。これからも、いつまでもなんどでも、ナマで聴き続けられたらいいな…と願いつつ、大切なこの曲を受けとめる。間髪入れず「スーパーソニックトースター」!相変わらずカッコイイこのイントロ。でも私は「目の前に本物のジャック達がいる」っていうことをたしかめるのに心が向いちゃって(2カ月もあいてたからね…)、少々上の空だったかも…。大好きな、夏秋さんのドラムのブレイク部分でハッと曲のほうに振り向かされる。驚くべきことに一色さんのMCほとんど入らず、すぐに「キッチンでデート」!うわ、ここでこの2曲を演っちゃうなんて、今日は短いんだろうなー。それにしてもジャック達、久しぶりのライブだっただけあって、ここまでの3曲はまたちょっぴりB級風味を取り戻してた感じがしておかしかったな。いや、あくまでも私の感じ方だけど。すんなり王道バンドへの道を駆け上がらないところが好きだぜ。

 

で、ここでお待たせ一色さんのMC、いやもー笑った笑った、お腹痛くなった~!!やっぱジャック達、どんなに演奏がよくなっちゃったとしても、一色さんのこのMCがある限りB級バンドの地位を滑り落ちる(いやそれ以上落ちてどうする…)ことはないね、安心だ!ちなみにMCの内容は“JR派”の一色さんのSUICA事件について。言わないって、JRの駅員は「どんだけ~」とは(笑)。

 

ああ、でも。そんなB級ジャック達の、この最後の2曲は、やっぱりヤバいよ…。「じゃあ、キハラ宙ショーをお届けします!」の一色さんのMCで「キャンセル」。甘いイントロ。そして、間奏のキハラさんのギター。はじめてナマで彼のギターを観た2年前から、その衝撃は少しも減ることがない。いつでも、まっさらに、ゼロから壮絶な場所へと向かう音。そこがキハラさんの凄いとこだと思う。

 

そして…最後は「水溜り画廊(ギャラリー)」。キハラさんのギターがイントロのフレーズを奏で始めるのを聴いただけで涙出てきちゃいそう…。なのに、それをバックに一色さんが爆笑「告知モモコ」を繰り広げるんだよ、どうしたらいいのよもう(笑)!ものすごいアンビバレンツに身を裂かれる(笑)。それにしても…「水溜り画廊」、本当に、今のジャック達の魅力のすべてが詰まっている、おそるべき名曲だな。キハラさんのギターに夏秋さんのシンバルが静かに絡んで、一色さんの粗いギターがかぶってきて、ピートさんのベースがその底に滑りこんで…。一色さんの歌うメロディはどこまでも悲しくやさしく、そしてこのバンドの音がリスナーを連れていくその場所に満ちる、悲愴さと背中合わせのやわらかな希望。こんな景色を見せてくれるの、ジャック達だけなんだ。

 

ふう。5曲、あっというまだったけど、ジャック達はやっぱりどこまでもジャック達だった。他ではどうしたって替えがきかない存在。大好きさ。

 

■ミオフー(第二部)

さらにセッティング替えをはさんで、ミオフー第二部。たしか最初に、「ゴッホの糸杉」を美尾さんと妹さんの2つのヴァイオリンで聴かせてくれたのだけど、そのうつくしかったこと。その場に貼り付けられて動けなくなるようだった。第二部の演奏は第一部よりさらにアヴァンギャルドさが増しているような印象で、ほんと寒気がするほどよかったなー。美尾さんの歌も、博文さんの歌も、ミオフーのメロディも、ひとつひとつの楽器の音も、すべてが研ぎ澄まされていて余計なものをまとっていなくて、でも、それがひとつになるとこんなにも複雑で陰影のある音になる。中でもミオフーらしいなと思ったのは、5人の少しずつリズムの違う手拍子で始まる曲(Newアルバムの中の「山猫」)。手拍子で構成するシンプルさが、おそろしいぐらいアヴァンギャルドで。すごくよかった。

 

夏秋さんのドラムとパーカッション、博文さんがメンバー紹介のときに「地味に前衛的な」と言ってたけど(笑)、ホント、かなり気味悪くてよかったなー。夏秋さんって、こういう鬱々とアヴァンギャルドな音、大好きなんだなと思う。それにしてもまあ水を得た魚のようにイキイキと気持ち悪い音を出すもんだなー(笑)、なんて思いながら聴いてた。

 

博文さんは、グレッチのギターと、アコギと、ベースを持ち替えながらの演奏。政風会のときも感じたけど、博文さんのギター、なんだかどんどん凄まじさが増してる…。「時計」という曲にズキュンと撃たれる。

 

■アンコール

アンコールでジャック達を迎え入れての1曲「Unicorn」は、前記事に書いた通り。キャラ違いすぎるだろう!と誰もが思う違いぶり、でも、ミオフーとジャック達の底辺にある同じプログレ魂みたいなのが共鳴しあってるようで、本当にいい演奏だった。キハラさん、一色さん、多田さん(たしかクラリネットだったかな)、そして博文さん、と披露されたソロは、それぞれがもう鳥肌ものだった。

 

最後は、博文さんと美尾さんふたりだけがステージに残って「Pierrot le Fou」。ミオフー、こんな音、こんなアーティスト、他にはどこにもいないよね。不思議な音楽に満ちた、いい時間だったな。

 

■その他

博文さんから明かされたのは、秋のメトロトロンライブのこと。10/26渋谷クラブクアトロ、だそう。「カーネーションもガツンとやってくれる予定です」のあとに「オープニングアクトThe SUZUKIです」って。先輩が前座ね…(笑)。そういえばこの日、慶一さんも直枝さんも姿見かけたな。(というか鳥羽さんもライオンメリィさんも光永さんも青木さんも錦織さんもいたと思う…ミーハーの私には刺激強すぎ…。)それから、ジャック達のときには一色さんからセカンドの情報解禁も。これは、別記事に書きます。とりあえず、10月はメトロトロンライブとジャック達レコ発が!あーーーーー、どうしようーーーーー(嬉&泣)。

 

*セットリスト(ジャック達のみ)
WHAT'S NEW LOVE SONG
スーパーソニック・トースター
キッチンでデート
キャンセル
水溜り画廊(ギャラリー)