月夜のドライブ

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栗コーダーカルテット『笛社会』リリースツアー@LIQUID ROOM ebisu

画像(この記事はライブのことバリバリ書いてます~。)

あの夜の、夢のようなライブの高揚感は、3日経ってもリアルにカラダのうちにある。私の個人的な感じ方だけど、ほんとに「ロック」だったんだ、この日の栗コーダーカルテット。そして、夏秋文尚さんとイトケンさんのサポートのあまりの素晴らしさ。本当にいいライブだったー。(以下、感激しすぎてまた長くなった…)

 

栗コーダーカルテット「笛社会」リリースツアー 東京
2007-07-06 fri
LIQUID ROOM ebisu
栗コーダーカルテット:
栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳郎
ゲストミュージシャン:
夏秋文尚、イトケン

 

栗原さんがご自分の情報サイト「栗原正己の情報ページ」に書いていた告知文がすごくおかしかったので、引用。

栗コーダーカルテットニューアルバム「笛社会」リリースツアー

アルバムリリース記念、ゲストに夏秋文尚(perc, ukulele, etc..)、イトケン(perc,toy, ukulele, etc..)と、人柄、演奏力ともに無敵の二人を迎えてゴージャスさ味わい深さ5割増し!にしても栗コーダーリキッドルームとはちと無謀でないか???チケットは5月13日発売つまり発売中。あはは、「人柄・演奏力ともに無敵の二人」って、おっかしー。でもほんと無敵だったね。栗Qの音楽をライブという場でともに作りあげるのに、このふたり以上に適任なミュージシャンはいないと思ったな。

 

今回、恵比寿リキッドという大きめのハコだったんだけど、開場より遅れて着いたら、「ちと無謀」どころかフロアの3分の2ほどに出されたイス席が、すでにほぼ埋まってた!すっげー。それで私は3段ほどある階段に座って観ることにしたんだけど、視界を遮るものなくステージ全体を見渡せて、なかなかナイスな場所でした。その後も場内どんどん人が入って、終演後明るくなってみたら、かなりの混みようだったのがわかった。この客の入りには栗Qご本人たちがいちばん驚いてたみたい。

 

私からステージまではちょっと遠い距離だったのだけど、舞台上を見ると、後方右と左に夏秋さんとイトケンさんのセッティングがあって、フルではないけど生ドラムらしきものが!これは予想外でうれしかったー、いつ聴けるんだろう?とドッキドキ。で、開演時間になり、栗Q4名さまと夏秋さんイトケンさん入場~。みんなほぼいつも通りのラフな格好だったのだけど、近藤さんだけ、ピシッとした白シャツにネクタイ!ちょっと反則ぎみのカッコよさで、かなりクラッときた…。

 

最初の曲は「ホテル ラサール1986」。ついつい後方に注目してしまう私なのだけど、夏秋さん、この曲では口琴やってた!登場して最初の楽器が口琴、というところにかなりウケる(笑)。1曲やったところで栗原さんがはさんだMC、相変わらずの飄々ぶりでおかしかった。ゲストのふたりを「夏秋文尚~!イトケン~!」と先に紹介して、「で、残りの4人が栗コーダーカルテットということに理論上はなるわけですが…」って(笑)。この日は、栗原さん、その次に関島さんと川口さん、そしてふだん滅多にMCしない近藤さんもアンコールのときにしゃべってておおっ!って思ったけど、どのMCも終始、会場を爆笑させてたね。栗Qの人間的な温かみと、オーディエンスがこのグループをいとおしむ視線がぴったり向き合ってる感じで、ホントよい雰囲気でした。

 

そのあと、たしか「午前3時の植物園」「カントリーマーチ」「落穂拾い」…と『笛社会』のナンバーを続けて。今回のライブ、新譜の曲はたぶん全部やってくれて、すごくシアワセだった。もちろん栗Qはカバーも絶妙なのだけど、彼ら4人のそれぞれの個性があふれるオリジナル曲、じつに素晴らしいなあとあらためて思う。こんな才能ゆたかなコンポーザーが4人も揃っているんだもん、オリジナル曲をどんどんリリースしてほしいなー。…と思ってたら、最後のほうのMCで「今回、じつは4人×4曲で計16曲録ったんですが、入りきらなくて4曲落としたので未発表曲もあります」、で、近いうちにまたオリジナルアルバム出すかもしれませんよ~とのこと。やったー!

 

それにしても、前記事にも書いたけど、この日のライブ、いったいどれだけの楽器が登場したんだろう!?栗コーダーカルテット自体がそもそも4人ともとんでもないマルチプレーヤーときてるのに、ゲストの2名が輪をかけてマルチなミュージシャン。曲ごとに、リコーダー、ウクレレ、ギター、テューバ、鍵盤ハーモニカ、ボーラン、などなど持ち替える4人に加え、後方でもウクレレ、リコーダー、鍵盤ハーモニカ、ドラムにウッドブロック、マラカス、口琴バードコールトイピアノ、ボーラン、口笛、カズー、シェイカー、あと名前もわからないような妙な楽器もたっくさん駆使して、演るほうも忙しければ見るほうも忙しい!「次はどんな楽器が出てくるんだろう?」とワクワクしながら6人を見渡す高揚感、ああ、ほんとに至福だったなー。

 

個人的には、夏秋さんの「ウクレレ」に大注目でした(笑)!事前の告知で「夏秋文尚(percussion, ukulele, etc)」って出ていたのを見て『パーカッションはともかく、ウクレレ、堂々とクレジットされるほど弾いちゃうの!? 大丈夫かなー…』とか(失礼にも)思ってたわけです(笑)。いやまがりなりにも「ウクレレカフェカルテット」の創始者なワケなので余計な心配でしょうが、カフェカルでも難しいパートは弾かせてもらえない(笑)ってどこかで言ってたし…。でも!!ほんとに夏秋さんのウクレレ大活躍だった!やービックリしたー。「ベルニナ急行食堂」なんか、弾きまくっててカッコよかったー!ちょっとハラハラしたけど(笑)素晴らしいウクレレプレイでした。いいもの見たなー。

 

あとはね~。生ドラム!セッティングは私のとこからはよく見えなかったんだけど、夏秋さんとこにはバスドラとスネアとタムといくつかのシンバル、イトケンさんとこにはスネアと小さいシンバルがあったのかな? 夏秋さんとイトケンさん、ふたりとも本職はドラマーなわけだけど、今回はパーカッション中心でドラムは叩かないと思ってたから、生のドラムの音が聴けたのはほんとウレシかった。当たり前だけど、夏秋さんとイトケンさんのスネアの音ってぜんぜんちがうんだなー!とかいうのも本当におもしろくて。イトケンさんの音も参っちゃうぐらいイカしてたし、「ジャムとアンの友情のテーマ」(…たしか)や「ご近所世界一周」では、私が世界でいちばん好きな夏秋さんのあのスネアの音が聴けて、それだけで涙モノ…。ほんとカッコよかった…(タメイキ)。

 

それから何の曲だったかなー、夏秋さん・イトケンさんが揃って、口ではカズーを吹きながら手では別のパーカッションを操ってる、なんてシーンもあったりして、とにかく後方2名の動きがおもしろいのなんのって!いや本人たちは「栗コーダー、人使い荒れーなー」とか思いながら演奏してたかもしれないけど(笑)。またね、栗原さんもMCで言ってたけど、このふたりがなんか雰囲気似ててきょうだいみたいなの(笑)!ドラマーでありつつヘンテコマルチプレイヤーって共通点があるだけじゃなく、細くて年齢不祥な見ためも似てるし、オモテにほんわか感漂わせつつ実体はかなり胡乱なミュージシャンであろうところとか、もーおっかしいぐらい似てる。このふたりをステージに並べてみた、という手柄だけでも、個人的には栗コーダーに拍手喝采

 

…ってスミマセン、栗Qのライブなのに後ろに注目しすぎの私(笑)。もちろんちゃんと栗Qも堪能したよ!ライブで観るといつも、栗コーダーってしみじみロックだなーと思うのだけど、今回夏秋さんとイトケンさんという強力なサポートを得ることでより演奏の自由度が高まって、栗Qのロック魂炸裂してた!特に私が心震えたのは、前半で披露してくれた「くつやのマルチン」。なんと、噂の「アンデス25」(リコーダーのような音色が出る鍵盤ハーモニカ)、いつもは栗原さんが使う楽器なのだけど、コレを栗コーダーの4人がそれぞれ1台ずつ操るという変則的な演奏。これがね、イントロ部分でインプロビゼーション的なやりとりがあったりして、イトケンさんのスネアと夏秋さんのウクレレとともに、まさに「ロック」な響きだったんだよー。ま、そんなふうに感じるの私だけかもしれないけど。いつもありきたりの場所におさまらずに新しい試みを繰り返す栗Qの姿、おそろしいほどアグレッシヴ。いわゆるロックバンドの形はしていないし、それどころかリコーダーなんていうもっともアンチ・ロックな楽器を使う栗Qだけど、「思い」がつねに音を超える(それゆえに破綻があったり過剰だったりする)のがロックだとすれば、やっぱりこのグループ、まぎれもなくロックなんだ。「シェルピンスキーのカーペット」とか、ほんとに演奏激しかったからね。栗原さん息切らしてたもん(笑)。

 

中ほどの栗Qメンバー4人のみのコーナーでは、「ピタゴラスイッチのオープニングテーマ」、『ウクレレフォース』でカバーした「やる気のないダースベイダーのテーマ」こと「帝国のマーチ」、『ウクレレウルトラマン』に入ってた「ウルトラセブンの歌」、といった有名どころを一気に披露してくれる大サービスも。「ウルトラセブンの歌」、ウケてたねー。関島さんの「ウクレレには足を向けて寝られない」の名言も(笑)。

 

後半、またゲスト2人を迎え入れてのウクレレメドレー、そしてアルバムに入らなかった未発表曲(これがまたスッゴイいい曲だった)とつなげて、終盤、「ご近所世界一周」「おじいさんの11ヶ月」「夢のエキスポパイプ」「ベルニナ急行食堂」とアップテンポの曲を連発したあたりはもう圧巻!!新譜の中でもとりわけ好きな曲をたたみかけられて、失神しそうなぐらいのピーク・エクスペリエンスだった!栗コーダーカルテット、ロックだなーーー。カッコイイなーーー。最後にゆったりと「オールドロッキングチェア」を聞かせて本編はおしまい。

 

びっくりするぐらい熱い会場中のアンコールの拍手を受けて、ふたたび6人がステージに登場。ここで演ったのが、近藤さんの「今日リコーダーでリード吹いてない…」というつぶやきで急きょ演奏が決まったらしい「M7」(笑)。秋にDVDが出る何かの作品の、劇伴の1曲と言ってたかな。近藤さんがリコーダーを吹きたいがために川口さんがギター担当となり、「出だしが大事だよ」と近藤さんにプレッシャーをかけられながらの演奏(笑)。そしてもう1曲「帰り道」を最後にしっとりと演奏して、わきあがる大きな拍手の中をニコニコと去る6人。明るくなる客電。ああ、なんどでも言うけど、いいライブだったな…。

 

気がつけば、休憩もナシでたっぷり2時間の大熱演!そのうち、おおかたはリコーダーを吹きまくってるわけだから、まさにカラダを張った演奏、下手なロックより重労働なんじゃないかな。二十数曲のセットリストのうち、まったく同じ楽器編成で演奏されたものはたぶんひとつもないであろうことも、思えば大変な頭脳労働で。そしてそれだけ緻密で周到な音作りをしておきながら、最終的にはどっかゆるいアウトプットになっちゃっても事ともしない、その勇気(というかいいかげんさ)がつくづくロックだ、栗コーダーカルテット

 

まだ名古屋・大阪もこれからなのに気が早いけど、このツアー、DVDか、せめてCDにしてほしい!!どんなに高くても買います。音楽の楽しさとすばらしさを、もっともたっぷりと含んだ果実、そんなライブ。行ってよかったし、なんどでも味わえたらいいな…。

 

こんなに素敵なライブを観せてくれた栗コーダーカルテットと夏秋さんとイトケンさん、本当にありがとう!!(名古屋と大阪もがんばってくださいねー。)