月夜のドライブ

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『笛社会』栗コーダーカルテット

画像久しぶりに現代との接点を見出すエントリー。新譜です。6/6に出た栗コーダーカルテット『笛社会』~。勇んで発売前日に買ってたのだけど、同日にYESなんかがぼこぼこと届いたりしちゃったので、CDプレイヤーの中でYESと栗コーダーの激しい対決が起こっておりました。アンダーソン対栗原さん。なかなかに壮観な図…(脳内で、勝手に)。でも私はひそかに2バンドの基底に共通するもの感じるんだけどね。いやマジメな話。

 

栗コーダーカルテットといえば「やる気のないダースベイダーのテーマ」こと「帝国のマーチ」の入った『ウクレレ・フォース』や、「ハイウェイ・スター」のカバーの入った『ウクレレ栗コーダー』なんかで、今やすっかり“ウクレレでカバー曲を演奏するグループ”という認識がありそう。でもやっぱりオリジナルアルバム待ってました!『笛社会』というタイトルにもリコーダー・バンド(って言い方あるのかわかんないけど)としての栗Qの自負がそこはかとなく感じられるような。オリジナル曲で固めたアルバムはなんと2001年の『鉄道ワルツ』以来なんだって。そう考えるとこの5年ほどのあいだの栗Qの、お茶の間への浸透ぶりは凄いなあ。ま、世間の盛り上がりとは無関係に、相変わらずやりたいことだけのほほんと、かつアグレッシヴにやってるのが栗Qのカッコイイところなんだけど。

 

アルバム、ポップで楽しい!今回のこのアルバムは元に「博覧会」のイメージがなんとなくあったそうなのだけど、それにしても、楽器の音の重なりだけでよくもまあこれだけの音のバラエティを生み出せるものだなとつくづく感心。どれも栗コーダーらしいのに、似た曲がひとつもない。4人のメンバーが各3曲ずつで全12曲、という構成で、個人的には、近藤さんのメロディはやっぱりどこかロマンティックだなーとか、栗原さんの曲は飄々とした味わいだね~とか、川口さんの曲はなんとなく無国籍風味かなとか、関島さんの曲は広さとあったかみを感じるなあとか、仔細に鑑賞する楽しみも(この印象が合ってるかどうかはわかんないけど)。

 

特に好きなのは「ベルニナ急行食堂」「おじいさんの11ヶ月」「ご近所世界一周」「夢のエキスポパイプ」あたりかな。やっぱりアップテンポの曲のほうが、私の好きな栗Qのロック魂がオモテに出る感じがして。中でも近藤さん曲の「夢のエキスポパイプ」は、いいメロディ、いいアレンジ、いい演奏だなー、すごく好き。栗Qの音楽はいつも、リスナーがふだん「音楽」と思ってるその狭い場所から、ふわっと私たちのカラダを急上昇させて、「音楽」って地平の本当の広さを見せてくれるような感じ。いつもそうやってグーグルアースみたいに、聴き手の狭い視界をドラスティックに変えてくれるんだよね。

 

このアルバム、もっとマニアックな話をすると、録音がすべて夏秋文尚さん(fromジャック達)、というのもおもしろい。3曲ではミックスまで担当しちゃって、エンジニア夏秋さん大活躍です。で、もっと凄いのは、7月にレコ発ツアーが東名阪であるのだけど、ゲストが夏秋さんとイトケンさんって!これ、めっちゃ楽しみだーーー。夏秋さんとイトケンさん、何やるんだろう? ミュージシャンに向かって何やるんだろう、っていうのもヘンだけど(笑)、おふたりともたぶん本職はドラマーながら、それ以上に、一筋縄でいかないヘンテコマルチプレイヤーだから(ほめてますよ!)、ぜんぜんドラムじゃないことするのかもー。栗コーダーカルテットと夏秋さんとイトケンさん…どう考えてもヘンテコでユニークでエキサイティングな音楽しか思い浮かばない…(笑)。必見ですね、楽しみー。

 

あ、そうそう、アルバムのエキストラトラックに「おじいさんの11ヶ月」のPVが収録されていて、これがものすごい!!アルバムジャケットの装丁とともに、「ピタゴラスイッチ」のスタッフ集団である「ユーフラテス」が制作しているそうなんだけど、もう、さすが。唸ります。Yahoo!動画で試聴できるんだけど、これだと映像がガタつくのが惜しいな~。ちょっとしたちがいなんだけど、実物のクオリティで見るとショック大きいよー。「人間の発想ってスゴイ!」という、栗Qの音楽に感じるオドロキと同じオドロキ。あーびっくりした。

 

『笛社会』全曲試聴はジェネオンのサイトへGO

 

*『笛社会』栗コーダーカルテット