月夜のドライブ

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夏秋洋介『Lunch time Jack』

画像暑いっすねー。こんな日は家でダラリンコとこんなCDでも聴くに限ります。夏秋洋介『Lunch time Jack』(94年)。えっと、アーティスト名でピンとくるように、ドラマー夏秋文尚さん関連商品ですね。表札に刷られていたら風格ありそうなこの「夏秋洋介」という名前、でも個人名ではなく、ユニット名です。夏秋冬春(当時)さん+五月洋介(こと望月洋介)さんということで夏秋洋介…。まぎらわしい…。

 

これは、全面的にウクレレをフィーチュアした「ウクレレ・アルバム」という解釈でよいのだと思う。で、特筆すべきは、おもにウクレレを弾いてるのがナント夏秋さんだということ!(クレジットによると…。望月洋介さんは、ヴォーカルやサキソフォンを担当。)巧者ぞろいのウクレレカフェカルテット(田村玄一飯塚昌明、川口義之、夏秋文尚)では、難しいパートはなかなか弾かせてもらえない(らしい)夏秋さんですが(笑)、このアルバムでは彼のウクレレ・プレイが堪能できちゃうのだー、ああシアワセ(はあと)!でも、要所要所ではしっかり、近藤研二さんや飯塚昌明さんといった素晴らしいゲストを呼んで、華麗なソロを弾いてもらったりしてますが(笑)。

 

私が持ってるこの『Lunch time Jack』には、歌詞カードの類がついていないのだけど(インナースリーヴのみ)、最初からそうなのかな? もしかしたら、抜け落ちてるのかもという気も~。なぜなら作曲者クレジットがインナースリーヴには書いてないから。というわけで、以下の記載は間違ってたらゴメンナサイなのですが、全12曲のうち、6曲が夏秋さんの曲で、3曲が望月さん、3曲がカバーなのかな(たぶん)。5曲めの「Shipbuilding」は、エルヴィス・コステロのカバーなんだね。なんか、このメロウな選曲も夏秋さんっぽい。いや、ものすごく妄想でしゃべってますが。

 

「Waltz No.28」「Dusk Man」(たぶん夏秋さん曲)、いいメロディだなあ。とても繊細でうつくしく、でもどこかそれだけで終われない捩れと翳を持っていて、前に書いたウクレレカフェカルテットの「赤ワインと☆♀○♂」に通じる、夏秋さんらしさを感じる。ドラマーという、破格に身体的な表現方法を選んだミュージシャンが、内にひっそりとこういうメロディを持っているということにドキドキしちゃうな。夏秋さんもそうだし、矢部浩志さんや坂田学さんもそうだね。全体で聴ける夏秋さんのウクレレの音もとても素敵なんだけど、「Them Them」の間奏、麗しいウクレレソロが~!と思うと近藤研二さんだったり、「Paris Buoy」(たぶん望月さん曲)の間奏、ロックな超絶ソロが~!と思うと飯塚昌明さんだったり(笑)。聴きどころ満載。あとね、ウクレレ・アルバムとはいっても、やっぱり夏秋さんの出す打楽器の音にはメロメロですよー。「Them Them」の軽妙なドラムの音、「Dusk Man」の途中から入るブラシのパタタタン!っていう音、もーほんと、さりげないのに素敵すぎてブッ倒れる…。どうにもこうにも好きすぎてしょうがない、夏秋さんのドラムの音。

 

画像「夏秋洋介」というこの不可解なユニットは、湾岸バカにはおなじみ(でもないか…湾岸アイテムの中でもマイナー岸)のコンピレーション・アルバム『INTERNATIONAL AVAN-GARDE CONFERENCE vol.3』(93年)にも、「Dig it!」という音源を残してる。こっちは、ウクレレのウの字もなくて、またモノッ凄いんだよ(笑)。『0と1で記録するデジタル録音主流の中、テープを直接、磁石、電磁石(ヘッド)でこすってみた。ヘッドを持つ手の微妙な揺れとボールペンを回す速度の密接な関係により、再現不可能な珠玉のギターサウンドが!!』(インナースリーヴの解説より)って。何やってんすか、この人たちは…。たしかにアヴァンギャルドでフリーキーな音楽(と言えるのかわからないが)が展開(笑)。実際のインナースリーヴの説明は図解入りでオモシロイので、機会があれば見たり聴いたりするとよいかと。(ちなみに、夏秋さん参加のvol.1については前にココに書きました。)

 

…と、暑い一日に一服の清涼感を味わおうとウクレレ・アルバムに手を伸ばしたのに、これまたとんでもなく暑っ苦しい記事を書いちゃった(笑)。マイナー方面に爆走し始めるとつい止まらなくなってしまう…。いや『Lunch time Jack』自体は、夏の午後、パラソルの下あたりで爽やかに聴くのにも似合いそうなアルバムなんだけど。…でもやっぱり、ちょっとヘンテコかなあ。

 

*『Lunch time Jack』夏秋洋介