月夜のドライブ

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コモンビル『(この内容)C.O.A sessions』を聴いた

画像『(この内容)C.O.A sessions』コモンビル。カッコで始まっちゃうアルバムタイトルってのも相当奇妙だけど。「ゆる~くいこうぜ♪-からまわる世界で-」のけすいけさんが、このアルバムについて書いてた文章を読んで、これは聴くしかないじゃんと心に決めていたのだけど。その後、いつも覗かせてもらってる「Otokichikun-Factory 」のkura_moさんまでこんな記事を書いていて、これはもう一刻も早く聴かなくては…という気持ちになっちゃってね。急いで買ったんだ。

 

なんかね、ものすごく笑っちゃって、ものすごく泣けちゃうような、そんなアルバム。私、コモンビルってバンドのことまったく知らなかったから、けすいけさんの言う“激烈カントリーロックバンド”、kura_moさんの言う“オルタナカントリー”って言葉に、頭の中でハテナマークがぐるんぐるんしてたんだよ。激烈なカントリー? オルタナでカントリー? って。けど、聴いて即座にスコーン!って。ああ、なるほど!この音がね!カントリーなんて言葉の中におさまっているにはエモーショナルすぎるペダルスティールやバンジョー、そして轟音で疾走するギター。ああ、私、大好きだよ、このアルバムの中にぎゅっとつまってる音と言葉のすべてが。

 

とにかく、なんという音のしたたかさなんだろうと。すべての音がこってりと粘っこくていいんだよね。ドラムの音なんか、シンプルで、ねちっこくて、ずうずうしくて、すごくイイ。転んでもただじゃ起きない、むしろ転びまくってもかまわねーやと言わんばかりの、その捨て身の勢いが余計に恐いってぐらいの無敵な演奏!ギターとベースとドラムとペダルスティール、っていう基本の編成は変わらないのに、どの曲もちがう輝きを持っていて、しかもどの曲もシングルに切れそうなぐらいの珠玉の作品であることにもただ驚くしかない。うん、こんなアルバム、「奇蹟」って呼ぶほかないよね…。

 

ちょっと、受けた衝撃が大きくて、いちどには言葉にしきれない感じなんだけど。例えば西山さん曲「睡眠」に、心奪われる。ただただ、この魅力的なメロディとヴォーカルに、身を委ねるシアワセ。いい曲だなあ…。それから玉川さん曲「敗北じゃないか!」で繰り広げられる壮絶な音世界に、息を飲む。これが、これだけ質の高い楽曲の上で成り立ってることに、ただうるさいギターかき鳴らしてうっとりしてるだけのロックは、目を見張ったほうがいいよ。

 

それにしても。玉川裕高と西山達郎という、ふたりの作曲家でありヴォーカリストが、それぞれにとんでもなく素晴らしいことに、タメ息が出る。使い古された言い草かもしれないけれど、大滝詠一細野晴臣という才能を抱えてたはっぴいえんどに、匹敵するんじゃないかと。「はっぴいえんどっぽい」と言われるサウンドはまあたくさんあるけれど、ふたつの破格の才能がこれだけ拮抗して存在してるって意味で「はっぴいえんどっぽい」グループは、そういるもんじゃない。ああ、このバンドの「この形」がもし進化し続けたなら、どんなに凄まじかっただろうと、想像するだけでせつなくなるね…。

 

けすいけさんも、そしてkura_moさんは何度も、彼らのステージを生で見ているそうで、それはどんな体験だったろう。すごくうらやましいな。と思うと同時に、このアルバム受け取って、何だかすごく、CDっていうこの「モノ」が、ひどくひどくいとおしくなっちゃったんだ。「ナマがいちばん」って、私なんかもよく言っちゃうけど、でも、今は存在しないバンドの音をこうして体験できるのも、このCDやレコードってやつのおかげでさ。そのことが、私たちに、どんなにたくさんのかけがえのない笑いや涙を降り注いでくれてるだろうって考えたら、いとおしくって。本当に、愛するすべてのアーティストに、お願いだから今のその素晴らしい音を、録音物としてもたくさんたくさん残して!って頭下げて回りたくなるぐらいの衝動を感じちゃった。

 

まだまだ書ききれていない感じはするけど。ずっと大事に聴いていっちゃいそうなアルバムだから、それは、また。こんな音に出合わせてくれた、けすいけさん、kura_moさん、ホントにありがとう。

 

*『(この内容)C.O.A sessions』コモンビル