月夜のドライブ

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青山陽一、The SUZUKI、ハミングキッチン@下北沢CLUB Que

画像ヤ・ヤバい…。ちょうど1年ぐらい前に私がずっぽりハマッていたアメリカン・ロック・ブームが、また大々的に吹き荒れちゃうか?ってな感じの夜でした。だってさ、青山陽一さん&BM's+The SUZUKI+ハミングキッチンで演ったThe Byrdsのカバー「Eight Miles High」があんまりカッコよかったから!参った…。土曜日に行ってきた、青山さんのライブシリーズ「怪しい隣人vol.10」での話。出てきたアーティストのパフォーマンス、最初からどれもこれもすごくよかったんだけど、すぐ次にまたいい演奏がきちゃうんで、もったいないぐらいに上書きされてっちゃって、最終的にはアンコールの「Eight Miles High」にとどめ刺された…。

 

まずはいつも通りステージに青山さんが出てきて、開演の挨拶。青山さんてば、ハミングキッチンとThe SUZUKIを紹介するのに「共通点はあれですね、海ですよ。ハミングキッチンは湘南の、きれいな。かたやザ・スズキは、羽田の…汚い海ですよ。」とか言ってて笑えた。ゲストの紹介するのに「汚い」って(笑)!

 

私は名前ぐらいしか知らなかった一番手のハミングキッチンは、女性ボーカル+アコースティック・ギターの男性の二人組。これがね~「久々にいい女性ボーカルを聴いたなあ」って。1曲め、いきなりザ・バンドの「Ain't No More Cane」でね。とってもよかったなあ。彼女の声を聴いていて私の思いが飛んだのは70年代の日本のポップスシーンで。例えばユーミン吉田美奈子さん、アッコちゃん、ター坊…あのころって、こういう、ロックともフォークともジャズとも歌謡曲ともつかない、そのあいだを自在にふわふわ浮かんでいるような、魅力的で個性的な歌い手さんがたくさんいたよなって。そんなことを連想させる、本当にいい声だった。こういう歌を聴いちゃうと、カラオケの点数競ってるだけみたいな今どきの「歌姫」合戦はつくづく貧しく見えるね。ところどころMCをはさみつつ、6~7曲やり(オリジナルナンバーも彼女の声が生きるとてもよいメロディばかり)、最後、青山さんとBM'sが登場していっしょに2曲。やはりどうにもバンドサウンド好きな私は、ハミングキッチンのうつくしさにバンドの勢いが加わると、さらにウレシくなっちゃう。

 

で、青山さんとBM'sはそのままステージに残り、「今日はちょっと変わった構成で」ってことで、アコースティックパートへ。「ODREL」ですよ。さらに「Come And Go」ですよ。イキナリこの2曲をやるなんて、青山さんヤバすぎ…。これですでに十分クラクラしてたのだけど、そこから、青山さんが鳴らし始めたかすかなイントロでまた倒れそうに。「銅線の男」だ…。というわけで、ここでThe SUZUKIのおふたり登場。今日はサポートメンバーのアナウンスがなかったから、ふたりでどんなふうにやるのかな?と思ってたら、なんと、青山バンドを従え、でしたよ!くーっ、これまた泣かす演出…。

 

しかし「銅線の男」、4月最初のムーンライダーズユニットのライブで聴いたとき、「かしぶち、矢部、坂田、夏秋、これまで4人のドラマーでこの曲を聴いちゃったなあ」と感慨深く思ってたのに、今度は中原さんで!いやー、ほんと、曲冥利に尽きるよね、こんなにいろんなミュージシャンに演奏してもらって。BM’sをバックにしたThe SUZUKIは、The SUZUKI史上(って全然知ってるわけじゃないけど)もっともガッチリと屈強な音だったかも。そして、この日ものすごく印象に残ったのが、博文さんのギターソロと、慶一さんのギターソロ。なんかね、この二人のギターってこんなに凄かったっけ?って思うぐらい。「I Don't Want To Talk About It (もう話したくない)」で、三人で回したギターソロがあったんだけど、博文さんのグレッチから出る、苛立つようにハウリまくる音、慶一さんのギター(←おニューだったような?)の、やさしく淋しげな響き。それぞれドキッとするほどだった。そして、二人に挟まれて演奏するときの青山さんは、いつもひどくウレシそうで、ただのやんちゃなギターキッズに見える。これは直枝さんもそうだけど、もう、永遠にそうなんだろうね(笑)。

 

MCもほとんどなしで鈴木兄弟が去ったあと、すぐに青山さんソロパート。(つまり、青山さん、中原さん、千ヶ崎さん、伊藤さんの4人は、ハミングキッチンのラストからこの日の最後まで、ずっと出ずっぱりだったのだ!)実は私、青山さんの単独ライブはここのところ逃してばかりだったので(インストアや、カーネーションムーンライダーズのゲストでは見てるのだけど…)、この4人のグルーヴに身を委ねる時間は久しぶり。やっぱりこれ、この時代この場所で考えうる最上級のバンドサウンドだな、間違いなく…。この日特筆すべきは、9月発売のアルバムに入るという新曲を披露してくれたこと。「中でもいちばんうるさい曲」と青山さん言ってたけど、なるほど…!あのね、青山さん+BM'sどんどん凄いことになっちゃってるよ。「ODREL」は最高傑作だと思ってたけど、あれに、この図太さが加わっちゃうのか…。こりゃとんでもないことになるな…。と、そんな印象。ニューアルバム楽しみだ。

 

その新曲も含め、青山さんパートもけっして短くはなかったのだけど、いかんせんアンコールの印象があまりにも強かった…ので、話が早速そっちにいっちゃうの許して。いやホントにカッコよかったよ、このメンバーでの「霧の8マイル」。(歌詞が日本語だったんだけど、これはいつもながらの慶一さん作なのかなあ?)もーね、歌い出しのあのメロディを慶一+博文+青山で歌われてごらんよ!私のような者が即倒れないわけない。あーユニゾンの男声ボーカル、ゾクゾクするーーー。途中、ボーカルをハミングキッチンの彼女が担ったとこも、最高に妖しくてよかった。ドナ・ゴドショウがいるときのデッドみたいだったよ。また間奏の博文さんのギターソロがどこまでいっちゃうの状態で悶えた…。こんなギタリストだったっけ博文さんって、と思うぐらいの迫力。カッコよかった…。それをまたうれしそうにニヤリと横から見る青山さんも素敵でね。この曲を、あの時代が持つ色気や凄味まで含めてこんなふうに演奏できる日本人なんて、この人たちぐらいだろう。ただ「いいね」にとどまらないセッション。彼らじゃなきゃ出しえない世界。鳥肌立った。

 

青山陽一さんと鈴木兄弟、という、私の人生のかなりを左右してる人たちを(野音に引き続き)間近で見て、思ったことがたくさんあって。それはまた別に書くね。そして、この三人の歌とプレイはもちろんすごかったのだけど、彼らのギターをあれだけ気分よく自由に鳴らさせた、バックの中原さん、千ヶ崎さん、伊藤さん、の仕事ぶりったら大変なもんだと思った。ほかにも青山さんのメガネのこととか、慶一さんのTシャツのこととか、書くべき(べきってほどじゃないか…)ことはあるのだけど、息ぎれ~。それはまた。

 

 

*大まかセットリスト(きっと青山さんのサイトにちゃんとしたのは出ると思うのでメモ程度に、The SUZUKIと青山さんパートだけ…)

 

青山陽一(Ⅰ)

ODREL
Come And Go

The SUZUKI(with BM's)

銅線の男
燃えつきた家
高架線上の魔人達
Romeo, Juliet & Frankenstein
I Don't Want To Talk About It (もう話したくない)

青山陽一(Ⅱ)

ベッドが走る
最後はヌード
Blind Touch(新曲)
罪深きグルーヴィー
Blight Lights Bugcity
Great Questions

*アンコール(全員で)

Eight Miles High