月夜のドライブ

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「we are PARANMAUM」!!

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ヤバイ…です。年齢を重ねるにつれて涙腺が緩みがちなのは自覚してる、けどさ。まずね、インナースリーヴの1ページめ、校舎の屋上から色とりどりの垂れ幕が下がる文化祭風景のスナップ見ただけで、わーっと涙出ちゃうんだから、まったくもってしょうがない。映画「リンダ リンダ リンダ」の中から生まれたバンド、パーランマウムの『we are PARANMAUM』。

 

ずるい。ずるい。ずるい。もちろん、私の使う“ずるい”は、夏子と同じ、最上級のホメ言葉にちがいなくて。ブルーハーツの「リンダ リンダ リンダ」を映画の中の女子高生バンドがコピーする、その粗雑なギターとベースとドラムの音。そして、ボーカルのペ・ドゥナのたどたどしい歌声。イントロ5秒のたったこれだけで、私の中にしまいこんであった何かが、どうしようもなく立ち上がってきちゃうんだもん。どこにでもあって、誰もが知っていて、ひとまとめに「青春」って呼び名で片付けるしかないぐらい、ありふれた時間や感情。その普通さと背中合わせの貴さを、こんなにも鮮やかに切り取ってみせるなんて、ずるい。

 

ペ・ドゥナちゃんのことは、見事に何の知識も持ち合わせていないのだけれど、なんてストレートに心に響く歌声なんだろう。歌って、とりわけロックの歌って、やっぱり技術や巧さじゃなくて、「思い」なんだよね。そして、ロックの演奏も、やっぱり技術や巧さじゃなくて、危なっかしいほどに前のめりな「気持ち」なんだ。市場や戦略やターゲットやニーズなんてことにばっかり目を向けてる自称・ロックは、このパーランマウムの前で、思い切り自分を恥じてほしいよ。

 

映画の中そのままに、4人がブルーハーツをカバーしている3曲もグッとくるのだけれど、この企画のために書き下ろされた、オリジナル3曲がいやもう。ヤバイぐらいに私のど真ん中に命中。名曲×3。凄い。ため息。アルバム全体のサウンドプロデューサーでもあるギター番長・白井良明さん作曲の「蒼い心」、カカカカッコイイイーーーー!!!イントロでいきなり炸裂する番長のギターにぶっ倒れるぅぅぅ。そう、みんなこれを感じたくて、ロックを演り、ロックを聴いてるんだよね!ああそして、いつもヤンチャでどっかキュンとする少年ぽさを感じる良明さんのメロディ。この人は、どこまでこうなんでしょう、もー大好き。素敵すぎる…。この曲はね(次の曲も)、ライダーズファン的にはベースも良明さんが弾いてるってとこに大注目よ!すんげー華麗な駆け足見せるメロディアスベース。ベース番長だ(笑)!

 

イナズマ戦隊(良明さんがプロデュースしてたバンドだよね)の上中丈弥さん作曲「ビーズ細工」がまた、奇跡的な名曲。このギターのリフが奏でるイントロの素晴らしさったら。言葉を尽くさなくても、この曲ひとつ聞いたら「青春」って何か、わかる。サイダーの泡のような、光の乱反射のような、せつなさと甘さの交錯するメロディ。ドラムの響きも空高く放たれるようで。

 

和田唱さん作曲「ソンのバラード」。ペ・ドゥナちゃんの声の持つ、陰影の深さに立ちつくしてしまう。この存在感。まさに映画の中の彼女「ソン」のためだけにある曲、なんだろうな。良明さんのアコースティックギターがうつくしい。松本さんの詞に良明さんのアコースティックギター、っていう組み合わせに、私これまで何回泣かされたかなあ…。だからダメだって言ってるじゃん…。(誰に。)

 

松本隆さんがご自分のサイト(http://www.kazemachi.com/)の「マツモト・メモ」で、「リンダ リンダ リンダ」の試写を見た、興奮気味の感想を伝えてくれたのが3月のこと。それからこの7月の公開までの短いあいだに、興奮をそのまま形にするように、松本さんが彼女たちのために詞を書き下ろすことになり、アルバムとして出ることになった。それこそ高校生の文化祭みたいな、子どもじみたこの勢いと熱さこそ、ロックそのものだ!と思う。ロックって、何より、衝動だもん。

 

そして松本さんの詞は、いい曲を、いい歌を、いいミュージシャンを、いいボーカリストを、集めちゃうんだよね。いつもそう。「蒼い心」の中、銀河から地球へ降り、コンビニの自販機の前までズームして、永遠へと一気に駆け上がる30秒。「言葉」だけに許された、こんな鮮やかなマジックを見たくて、私は松本隆さんの詞を追いかけてるんだな。

 

*「we are PARANMAUM」パーランマウム