月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

ザ・バーズはのたうち回っていた

画像

グレイトフル・デッドやらオールマン・ブラザーズ・バンドやらにぶっ倒れるのと並行して、ザ・バーズの歩みが急速に気になっちゃったりしてる洋楽初心者の私を見て、ぜんさんが助言をくれました、「そういうことであればレコード・コレクターズ増刊の『アメリカン・ロックVOL2』を手に入れ、ザ・バーズの項を熟読するがよい」と。というわけで、中古で購入した該当図書をひもときつつ(従順だ)、アメリカン・ロック方面への旅を続けております。もー楽しくてやめられない~ッ!

 

私の中途半端な聞きかじり洋楽知識からすると、ザ・バーズといえば「Mr.Tambourine Man」であり「Turn!Turn!Turn!」でありロジャー・マッギンの12弦ギター、それ以上のイメージはなかった。でも、そうじゃないのですねーーー。そして、そうじゃないところが実はすごくおもしろいと知った。こないだ届いて最近ずっと聞いてる、67年の彼らの4作目「Younger Than Yesterday」。これはたぶん、ザ・バーズの「そうじゃないところ」がものすごく出ているアルバム、なのだろうな。『マッギンのカラーが薄れ、クロスビー、そしてクリス・ヒルマンの個性がそれに取って代わった』と、件の本でも紹介されているのだけれど、うんうん、感じるです、その拮抗してるさま。王道「ザ・バーズらしさ」が芳るめちゃポップなマッギンの曲、それに苛立つかのようなクロスビーの面妖(←ワタシ的にはホメ言葉)な曲、そしてクリス・ヒルマンが飄々と繰り出す、カントリーフレーバー湛えた美しいメロディライン。うーん、どれもいいんだよなあ。クロスビーの曲が、えもいわれぬ妖しさに満ちているのは、やっぱりそうなのねーこれがのちのCSN&Yやソロにつながるのねーで、もーたまらなく好き好き大好き!なんだけど、クリス・ヒルマンのメロディにはびっくりしました、地味なメンバーという印象持ってたから。「Have You Seen Her Face」とか「Thoughts And Words」とか、すんげー美しい。

 

このあと5作目の「名うてのバード兄弟」のレコーディング中にクロスビーが脱退してしまって、6作目の「ロデオの恋人」では新メンバーのグラム・パーソンズの影響でカントリー・ミュージックに急接近して、なんて聞くと、もーその変化を聞くのがすごく楽しみになるーっ!買いますよ次。はふはふ。

 

それにしても。65年に「ミスター・タンブリン・マン」でデビューしてから、わずか68年(「ロデオの恋人」)までのあいだにこれだけの変化を遂げた、そのおそろしいほどの加速度に耐えたバンドとは知らなかった。70年代に入る手前で、既にこんな葛藤を体験しているとは。今まで清新で繊細なイメージしか持っていなかったザ・バーズに、のたうち回るロック魂を感じて悶える私。弱いんですよ、のたうち回るバンドには。洋の東西を問わずね。

 

*「Younger Than Yesterday」The Byrds

 

関連記事その1→「気になる男、デヴィッド・クロスビー
関連記事その2→「The Byrdsな日」on バカキュン