月夜のドライブ

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下北沢で青山さんの音に酔う

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土曜日、青山陽一さんのライブシリーズ「怪しい隣人vol.6」at下北沢CLUB Queに行ってきましたー。考えてみたら私、青山さんのライブは昨年7月の「ODREL」レコ発ソロ以来というご無沙汰ぶり…(西村さんのライブの飛び入り、九段のカーネーションのアンコール飛び入りは見たけれど)。せっかく小まめにライブをやってくれている方なのにこんなファンでは仕方ないなあ、と反省しつつ。でも久しぶりに青山さん+BM'sのナマ音に身を任せて、やっぱり私この感じがたまらなく好きだ~!と思う。

 

今回のゲストは、以前に青山さんと事務所が隣同士で「実際に怪しい隣人だった(笑)」という黒沢秀樹さん。ドラムスとベースを従えてのトリオで登場。実は私、L⇔Rって大好きだったのですー。「左利きの真実」とか「ロスト・レアリティーズ」とか、その当時聞き倒してた。でもその後私自身が音楽リスナーの地を滑り落ちちゃったので、今日に至るまで黒沢兄弟の活動どちらも触れる機会がなく、初めてのナマ黒沢さん体験。だったのだけど、いやーL⇔R時代の胸キュンポップ路線は健在ですねー。ここんとこすっかりサンフランシスコに持ってかれてた私の魂が、ちょいとイングランド方面に引き戻されちゃいましたっ。コード進行がね、うつくしくも胸キュンなんだよね。「盛り上がる曲がなくって」なんて言いながら淡々と繰り広げられる音から、ひとつひとつちいさな景色が浮かび上がるようで。堪能しました。

 

そしてセッティング替えを挟んで、青山陽一さんご登場~。ヘンリーネックの長袖シャツで相変わらずの「普段着系」。今日のBM'sは、ベースにいつもの千ヶ崎学さん、キーボードにいつもの伊藤隆博さん(と言いつつ私はもしかすると初・ナマ伊藤さんかもー)、そしてそして本日はなんと女性ドラマー、最近ではセロファンで叩いている中原由貴さんですよー。いやこれが。ドラムが。めちゃカッコよかったッす!まなざし鋭く、叩きっぷり男っぽく、惚れちゃったなー。すっごいよかった。ぜひぜひ今度は、夏秋さんと中原さんのツードラで!ってゼイタクな望みですが。青山さんは声もギターも調子よく(青山さんのギターが調子悪いときなんてなさそうだけど)、ゆるゆるしつつも要所がキマリまくる圧倒的なグルーヴが、キモチよく会場を巻き込む。コーラスにゲストの真城めぐみさんfromヒックスヴィルも登場。あーホントにいい声~。こりゃミニマムな精鋭でマキシマムな魅力だなあ。

 

「Quick Talk」「電波組曲」「Rainbow」大好きな「Free Bird」などなど、オリジナル曲の数々もそりゃカッコよくて参ったのだけれど、今回「怪隣」シリーズならではのカバー曲が、レアかつ珠玉の輝き。真城さんが「青山バンドでやったらカッコイイと前から思ってた」という細野さんの「イエロー・マジック・カーニバル」!コレ、すんごくよかったですよ。ティン・パン・アレイの原曲は異国サウンドって感じだけど、青山バンド+真城さんのボーカルに料理されると、もっとアーシーで骨太な雰囲気の曲に変貌。1回きりじゃもったいない~、と思うくらいハマってた。青山さんから真城さんへのリクエストだというフリートウッド・マックのカバーもドンピシャな気持ちよさだったし。それから、アンコールで青山+真城+黒沢で披露してくれた黒沢さん曲「Welcome To Dreamsville」(ドリームズヴィルのコンピレーションに収録)も、素晴らしかった。バブルガムなメロディに個性的な美声×3のハモり、もー背筋がゾクゾクしちゃいました。さらに3人で最後はニール・ヤングの「Cinnamon Girl」ですよ!かっちょえー。青山さんのギターソロも炸裂、見事にノックアウト~。

 

何かね、うーんうまく言えないんだけれど、細野晴臣からニール・ヤングまで、均等に同じ肩の凝らなさでこなしちゃう青山さんを見ていて、はっきりと、どの世代ともどの場所ともちがう、この時代の日本のロックが、ここにあるんだなって強く思ったのだ。海の向こうのよき音のエッセンスを豊かに自分の中に持ちながら、同時にごく自然に日本のロックの支流でもある、そんな青山さんが生み出す音楽は、他のどの場所でも聞けないオリジナルのロックだなあって。だって、今の時代、こんな音をこんなふうに鳴らしてる人、日本で稀なだけじゃなく、世界でもそう多くはないでしょう!遠くアメリカやイギリスや過ぎ去った60年代や70年代に、私を含む音楽ファンはつい憧れてばかりいがちだけど、青山陽一という稀有なアーティストが鳴らす音に(しかもナマで)身体を預けられるなんて、2005年の私はとんでもないシアワセを手にしてると思った。何かね、青山陽一という人、今の日本の音楽シーンで、とても特異で、しかもとても大切な場所にいるような気がするのだ。彼がいるおかげで、日本の現役の音楽はものすごい深さと豊かさを持てていると思う。

 

そして、そんな存在の貴重さとまったくカンケイなく、青山さん本人はMCで「みなさんは花粉症大丈夫ですか?」なんてぼそぼそと客席に話しかけてたりするのがすっごく可笑しい。その飄々としたところがまた、彼のたまらない魅力だよね。いい音がたっぷり満ちる空間。シアワセな下北沢の夜でした。

 

*「ODREL」青山陽一