月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

「FESTIVAL EXPRESS」も見た!

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で、26日に見た映画「FESTIVAL EXPRESS」なんだけど、んもーホントぶっ飛びました。何度も言ってるけど私は洋楽にとても疎いので、この映画に出てくるおそるべき方々のことも、やっと名前を知っているか、せいぜいちょびっとCDを持っていたりという程度なんですが、それでも十分に楽しめた。いや、楽しめたなんていうのんびりした言葉じゃ全然追いつかないな、ひたすら圧倒されて、音楽の原初的なパワーにはり倒された。ほんと見てよかったよー。

 

(ストーリー映画じゃないのでネタバレってこともないと思うのだけど、自分で観るまで事前に何も情報を入れたくないぜって人は読まないほうがいいかも。もちろん事後に読んで役立つことも何ひとつ書かれてませんが。あと、「デッド命!」とか「ジャニス、マイラブ!」とか「シャナナ、夜露死苦!」ってな感じの人は、私みたいに洋楽的に腰抜けな者の文章読むとガッカリしちゃうと思いますので要注意。)


何しろ私がどれくらい疎いかっていうと、ジェリー・ガルシアの顔を知らなかったぐらい!いやほら、幼児をママチャリに乗せてスーパーにネギや豆腐買いに行く奥さんの人生に、普通グレイトフル・デッドって関係してこないでしょ…?かろうじてアルバム「Live/Dead」は持ってるんだけど、中ジャケの写真までは見てなかったなあ。だから映画の中で、混乱した会場を治めるために「ジェリー・ガルシアから説明します」って誰かが言って、出てきた人を見て「わーこのもじゃもじゃがジェリー・ガルシアなのかー!」とビックリですよ。(あーデッドファンから石が飛んできそー…。)もちろんジェリー・ガルシアという名前もギタリスト界のカリスマ的な存在であることも一応知ってたし、つい最近初めてデヴィッド・クロスビーの1stソロアルバムを聞いて、その中の「What Are Their Names」が好きで好きでしょうがないと思ったら、ギター弾いてるのがニール・ヤングとジェリー・ガルシアだと聞いてますます倒れたりしてたんだけど。顔は、知らなかったんだなあー。何かね、グレイトフル・デッドのイメージやカリスマっていう言葉から、勝手に、もっとシャープで近付き難い人を想像してたの。そう、どっちかというともう一人のギタリストのボブ・ウィアーみたいな感じを。っていうか、ボブ・ウィアーってジャスト私の好みなんですけど。あの目とか長髪を束ねた姿とか、かなりヤバい…。どうしよう。…って全然映画に関係ないですね。いや、そのもじゃもじゃのガルシアと私好みのボブ・ウィアーと、それから、このときのデッドって何人、6人編成なの?ありゃドラマーが2人いるよ!何これーっ、カカカカッコイイーッ!てな感じで、もう、そこから繰り出される音にあとは巻きこまれるばかり。んもーほんとに気が狂いそうにスゴイ。カッコよすぎーッ!

 

70年の夏にカナダを走った「FESTIVAL EXPRESS」、この映画の濃さを見ているとものすごく長い巡業だったのではないかと錯覚するのだけど、実はたった5日のことだったらしい。でもそのたった5日に、列車という空間に閉じこめられ、酒と会話とドラッグと、何より彼らの生そのものとも言える「音楽」に満たされ、満たされただけじゃなく交歓し合ったことが、ただでさえハイレベルなミュージシャンたちをそりゃもうとんでもない場所まで連れてくもんだな、と思う。上映前のライブのMCで鈴木慶一さんが「ザ・バンドもデッドも、これまで見たどの映像よりも素晴らしいパフォーマンスだと思います」と言っていたのだけれど、本当にどのアーティストも、神がかったか魔物が取りついたような、常人ならざる迫力。「時代」が、「空気」が、表現者を後押しすることって本当にあるんだなあと、まざまざと感じる。1970年のマジック。

 

ザ・バンドがねー。もうーこれがまた。見た目パッとしない人たちなのに(私に言われたくないか)、いったん音を出したら、おっそろしくカッコイイよーッ!名曲「The Weight」、“静かな曲”というイメージを持っていたのだけれど、カンペキくつがえされちゃった。曲調はもちろんスローなんだけど、演奏が激しい!熱い!安定悪そうなちっちゃいイスに腰のはしっこを引っかけて、殆んど今にも立ち上がらんばかりの前のめりでドラム叩き歌うレヴォン・ヘルムの姿にマイった…!あーそしてみんなでボーカル回しちゃうのね、このバンドは。で、あのサビの声の重なり…カッコよすぎ…。

 

そして私にとってデッド以上に知識ゼロのジャニス・ジョプリンが!本当に、ただひたすら、凄い。彼女のパフォーマンスを観るためだけにでも、この映画を見る価値あると思う。ジャニスって、そこにまつわるイメージや逸話がエキセントリックすぎて、どうも私のような軟弱リスナーには遠い存在に思えてしまうんだけれど、そんな先入観をとっぱらって彼女の声そのものを受けとめたほうがいいんだなとすごく感じたよ。あーこれが、ジャニス・ジョプリンなのね…。ワイルドで、キュートで、本当にロックそのもの、のような人。ジェリー・ガルシアが(たぶん酒と音楽とドラッグに酔っていたとはいえ)「初めて見たときから愛してる」ってコクハクしちゃうのも、わかるよなあ。

 

一番たくさん出てくるのは上記の3アーティストなんだけど、その他の人々も、もれなくものすごい演奏。血管ぶちきれそうなバディ・ガイのパフォーマンスも超カッコよかったし、シャ・ナ・ナもすんごい可笑しくてよい!いやほんと、とんでもない映像の集積です。今ではナマで見ることが到底かなわないような人たちの最高の演奏を、あの時代の空気とともに味わえるなんて、ものすごい贅沢。あーあと何回でも見たいなあ。何だか、音プラス映像の迫力はやっぱりすげーと思いました。青山さんだったか西村さんだったかが(うーんどちらだっけ)日記でふれていたので気になって、HMVウィッシュリストに入れたままになっているデッドのライブDVD、買っちゃおうかなあ…。さすがにSKULL&ROSES柄のTシャツ着たりとかはしないと思いますけど。もしそんな奥さんになっちゃったらそれはそれですみません。

 

*「FESTIVAL EXPRESS」チラシ