月夜のドライブ

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moonriders live THE COLD MOON @ 恵比寿 The Garden Hall

"はー。私がいっちばん見たいムーンライダーズが見られて、いっちばん聞きたい言葉を慶一さんから聞けた!サイコーだ"

ライブ1日目、終演後のツイート。

 

「12月にムーンライダーズ恵比寿2DAYS」という告知がありえええっ!?と驚いたのは10月半ばのこと。6月には若手サポートメンバーを多数迎えたライブ"THE SUPER MOON"でメタモルフォーゼした素晴らしい姿を見せてくれたムーンライダーズとはいえ、岡田徹さんの入退院という痛手を負いながら、まさか2021年中にさらにライブを遂行してくれるなんて思ってもみなかった。しかも2DAYS!「ムーンライダーズのライブ」この響きが私にもたらす何にもまさる胸の高鳴り…。チケ価格には多少ビビるものの、コロナ禍で出かけられてなかった分をここにつぎ込むつもりで、1日目スペシャルムーンシート、2日目普通の席、をゲット。

 

moonriders live THE COLD MOON』
moonriders & 佐藤優介(Keyboards)、澤部渡(Guitar、Chorus)
<日時>
2021年12月25日(土)  開場 17:00  開演 18:00
2021年12月26日(日)  開場 15:00  開演 16:00
<会場>
恵比寿 The Garden Hall
<チケット料金>
"スペシャルムーンシート" (お土産付)¥13,200
指定 ¥8,800
※未就学児入場不可

 

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【1日目】

1日目、クリスマスの土曜日、驚くほどの人波であふれかえるガーデンプレイスを抜け、ガーデンホールへ。ドリンクを受け取ったり物販を覗いたりただ時間つぶしをしていたり、ロビーにいる人たちの表情はみんなどことなく高揚していて、誰にとっても“特別な”ライブなんだなと感じる。

 

席も埋まりそろそろ開演時間かなと思っていたら、ステージ下手袖にラフな服装のメンバーがぼそっと出てきて「♪影アナ~、か~げかげかげ、影アナ~」とオープニング前の注意事項を歌いあげ始めた!SUPER MOONのときも披露していた影アナソング。座席は蹴らないでとかおしゃべりはダメとかの注意に混じって、もみの木もなでてあげてとか寒椿もきれいでしょとか良明さんが歌ってた(笑)。みんなアコギかき鳴らしたりタンバリン鳴らしたりのラフな演奏、中でも長いコート着たくじらさんが片手に杖をつき片手でトランペット吹いてるのカッコよかったな~。

 

影アナバンド(←ムーンライダーズではないそうだ 笑)が引っ込んでしばらくして、ムーンライダーズ登場!ステージいっぱいに広がった楽器のセッティング、前列は向かって右から博文さん、良明さん、そしてなんとセンターにくじらさん、慶一さん、岡田さん。この並び、初めて見たかも~。後列はセンターに夏秋さん、その向かって右にサポートの澤部さん、左に優介さん。とてもとても安心感を感じる布陣。私は一日目はかなりの前方席で、近すぎるゆえ二重の譜面台の陰になり優介さんがほとんど見えず残念。でも夏秋さんはばっちり見えたので良しとしよう…。

 

1曲目博文さんのボーカルが入って…わーーー「ぼくはタンポポを愛す」だ…!!!!いきなり!大好きな曲!さらに良明さん曲「Come sta, Tokyo?」を挟み、たたみかけるように博文ボーカルで「駅は今、朝の中」…!爆発力と意外さとバンド内年少組の勢いを感じるオープニング!

 

ところどころ挟むMCでよくしゃべっていたのはくじらさん。たぶん挟む予定じゃないところでも大いにしゃべってた(笑)。演奏も歌もめちゃめちゃ元気、ハスキーな歌声で吠え、複雑怪奇なヴァイオリンやおおらかなトランペットの音色をホール中に響き渡らせてた。大病からの本格的な復活を感じて心から嬉しくなる!

 

慶一さんが「今アルバムを録音中で、すでに11曲はベーシックトラックを録りました」(客席大拍手!)「でも今回のアルバムは初めてかしぶちくんの曲がない。寂しいです」と…。それから「そのかしぶちくんの、滅多にやらない曲を」との紹介で、かっけーイントロ!「プラトーの日々」。うわーたしかにライブで聴いた記憶がないかも。いやしかし、こんなイイ曲だったっけ!?!?かしぶちメロの色気~。今回、おなじみのナンバーに混じる「滅多にやらない」曲たちの魅力にもやられっぱなし。ムーンライダーズの引き出しの向こうは宇宙だなあ…。その彼方から面倒そうな曲もどんどん引っ張り出してガンガン演奏し倒す攻めのセトリ!「Love Me Tonight」は私の中でイコール「かしぶちドラムのカッコイイ曲」という位置づけなので、まるでかしぶちさんコーナーのような。優介さんの華麗なグリッサンドで始まったのこの曲だったかな、かっけぇ!かしぶちさんの魂を宿した夏秋さんのドラムが派手に鳴りまくる、超かっけぇ!!!!さらに「珍しい曲をやります」の慶一MCで、(たしかこの曲だったと思うけど)夏秋さんと博文さんがバッチバチにアイコンタクトとってのイントロ、「Y.B.J.」!アガル!!!!「VIDEO BOY」のイントロのキーボードのフレーズをわざとたどたどしく始める岡田さんもお茶目。

 

「いとこ同士」、「HAPPY LIFE」、全体にMC少なめで、ただひたすらにいい曲をいい演奏で聴かせていく今日のムーンライダーズ、ソリッドでマッシヴなカッコよさ。このゴツゴツした感じは、サポートメンバーが澤部さんと優介さんだということもあるかも、と思う。ムーンライダーズ大好きなふたりが鍵盤から繰り出す音やかき鳴らすギターや歌は、どこの誰よりもムーンライダーズらしくて。とりわけ、澤部さんのボーカルってラフでうますぎなくて(超ホメ言葉です)ライダーズの歌の魅力を体現してるなあってあらためて思った。澤部さんがかしぶちさんのパートを歌った曲がいくつかあったけど、甘い成分たっぷりの声、そういえばかしぶちさんにちょっと似てるな、なんてことも。

 

「Cool Dynamo, Right On」は定番曲だけど、特に、よくライブで演奏していた2011年のことを思い出してグッときてしまう。“♪ダイナマイトあったなら/ロッジでJamboree”…ステージと一緒に、客席も声を合わせて歌ったなって。あれから本当にいろいろなことがあったけど、そして今もコロナのために声を出して一緒に歌うことはできないけど、でも、ムーンライダーズと私たちが同じ場所にいて、心の中で一緒にこの曲を歌える2021年。Jamboreeは続いてる!

 

やはりライブで聴くの久しぶりだった気がする「恋人が眠ったあとに唄う歌」も、えええー!?コレこんなにイイ曲だったっけ!?!?とあらためてびっくりしてしまった!(私どんだけ節穴なんだ!)なんだか今日のムーンライダーズのソリッドな演奏は、この曲や「Cool Dynamo~」「ぼくはタンポポを愛す」のような“普通のロックンロール”のカッコよさをこれでもかと強烈に胸にぶち込んでくる。ジャーン!というギターのフレーズを澤部さんがめっちゃ気持ちよさそうに大ジェスチャーで弾きまくってたの、見てて微笑ましく楽しかったな!

 

さらに「ボクハナク」ってスペシャルすぎた…。入りのフレーズを、博文さんとメンバーの声で重ねて聴かせる。この無骨なハーモニーがとてもよかった。このライブ、慶一ボーカルでは慶一さんの、博文ボーカルでは博文さんの、良明ボーカルでは良明さんの、とにかくそれぞれの「歌」がすさまじくよくて、私は1日目慶一さんの目の前だったのだけど、ほんとに齢七十にして今がボーカルの最盛期じゃないか?と思うほどだった。大病を経たくじらさんも、今やハスキーなその声を魅力的で自在な武器にしているし。そんな彼らの「歌の今」を感じた「ボクハナク」だったな…。

 

そしてムーンライダーズは、良明さんは、こんなコロナ禍の中でも私たちをいつもみたいに楽しませてくれた!聴き慣れたあのリズム…「トンピクレンッ子」!?と思ってたら、良明さんが、声出せないけど盛り上がろうって、「シャシャシャン(ワホホ)、シャシャシャン(ワホホ)、シャン(ホー)」の手拍子を指南(笑)!会場全体で思いをすべて手拍子に込めて盛り上がった!そして「BEATITUDE」へ。慶一さんと良明さんの脚上げ合戦も!マスクを外せない2021年だけど、ムーンライダーズもファンもしぶとく元気だ!サイコー!

 

メンバー紹介タイムでは短いながらメンバーのいろいろなおしゃべりも。書ききれないのではしょるけど、慶一さんの紹介が博文→良明→くじら→岡田→澤部→優介と来てくじらさんが慶一さんを紹介して、いっちばん最後に夏秋さんだったことに、バンドの要へのメンバーの感謝を感じてひそかに胸を打たれてた…。

 

ラストは、慶一さんが「これもライブで演った記憶がない」という…「I am a Robot Santa Claus」。昔CD-ROMに入ってた、奇妙奇天烈だけどどこかせつないクリスマスソング。6人の詞曲がひとつの歌になっているのだけど、ほんの短い中で遠慮なく6人の個性が爆発してるのがほんとにすごい。かしぶちさんパートは澤部さんと夏秋さんがボーカルを。しみじみ。

 

ステージを去るメンバーを見送る大きな拍手が、そのままアンコールの拍手に。この日も慶一さんは「拍手が励みになります」ということを言っていたけど、私たちオーディエンスも、“拍手が相手に届いてる”って実感してる。1日目はここで「火の玉ボーイ」。慶一さんの歌の迫力に、その場で動けなくなってしまうようだった。そして「大寒町」、博文さんから始まり、みんなで分け合う歌のひとつひとつがじんわりしみる。さらに大ラス、よいお年を!と「No.9」。この曲といい「スプーン一杯のクリスマス」といい「ロボットサンタクロース」といい、ライダーズの12月が戻ってきたなあという気持ち。

 

会場からはやまないダブルアンコールの拍手。そのときセッティングに駆け回るスタッフさんがそれぞれの椅子の上にマイクを置いていたのが見えたので「ん?」と思っていたら、パリッとしたアナウンスで「公開会見を行います」「写真撮影も自由です」と。えええっ重大発表ってやつ!?身構えるとスクリーンに映像が流れ、「3月にアルバム発売」「3/13日比谷野音でライブ」の告知が!おおおお!!!!メンバー6人が登場して、横一列で椅子に座り司会者さんと一問一答。「11社目のレコード会社移籍(日本コロムビア)」についてや野音への意気込みなど。岡田さんからは「ポスターの撮影のときは車椅子からけっこう動いてカメラマンを驚かしちゃった。みんながスタンディングオベーションしてくれて、気持ちよく帰りました」とのお茶目なエピソードも。

 

さらに岡田さんのところに集合しての撮影タイム。右、左、上、と目線もたっぷりくれてファン歓喜。そして最後の最後に慶一さんがマイクをとり…「休止したり休止の休止をしたりいろいろありましたが、これからは…ずっといきましょうか」と。『生涯バンド宣言』!!!!わーーーー!聞いた瞬間、叫んで走り回りたいほどうれしかった!!!!ムーンライダーズが無期限活動休止を決めた2011年から、ずっと待ってた。「ずっとムーンライダーズがいる」「ずっとムーンライダーズが活動してる」…これ以上の世界ってない!やったーーーーー!生き延びててよかった!来年3月のアルバム発売と野音ライブも超うれしい「重大発表」だけど、慶一さんのこの生涯バンド宣言、生涯ムーンライダーズ宣言が、私にとっては何よりの、考えうる最高のクリスマスプレゼントだ。

 

実は、このライブの告知時に「重大発表がある」ことも併せて発表されていて、なら絶対行かなきゃなという背中押しにはなっていたのだけど、2011年を経験している身としては悪いほうの重大発表の可能性もどうしても頭にチラついて、めちゃめちゃ気が重く胃が痛くもなってたのだ…。まあその後精力的にアルバムを録音している様子も伝わってきてたので、たぶん大丈夫だろうとは言い聞かせてたけど。だから余計に、慶一さんの宣言がホッとしたしうれしかった。はーーーサイコーだ!(で、最初の、ライブ直後のツイートになる)

 

 

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【2日目】

今回、このライブ会場で去年の中野のライブのマテリアルを購入すると、ライブ後メンバーによる「ポストカードお渡し会」に参加できるという企画があった。緊張しつつも参加してみようと決心し、少し早めに行って物販でブツと参加券をゲット。

 

ライブは、最初の曲が(昨日の「ぼくはタンポポを愛す」でなく)「独逸兵のように」だったので、冗談だと思っていた「明日はセットリスト全部替えます!」のMCがまさかほんとなのでは?とビビったけれど、次の曲からは昨日のセトリに。慶一さん良明さんくじらさんなどはお召し替えしていたかな。良明さんは昨日は目にも鮮やかなブルーのハットとスーツだったのが、本日はスタイリッシュな黒一色の上下。羽ふさふさの黒のお帽子が「カラスが卵産みそうとか楽屋でさんざん言われた」と(笑)。昨日からMC絶好調のくじらさんが「この服は慶一にもらったんだけど…」と気分よくしゃべってるのを慶一さんがさえぎって「次の曲行きます」、その瞬間シュッと「駅は今、朝の中」が始まったの(そしてくじらさんもちゃんとすぐにトランペット吹き始めたの)、オモシロカッコよかったなー!もうひとつ前日と違ったのは、アンコール1曲目になんと新曲を!今のところアルバムには入る予定はないと言っていたけど。口笛も軽やかな「クリスマスの後も」。新曲を演奏するムーンライダーズ、にまた会えたし、これからも会えるんだ。

 

終演後、ポスカお渡し会のためにロビーに残っていた人、少なくとも7~80人はいたのではないかな。1日目の昨日は何人ぐらいいたのかわからないけれど、ムーンライダーズ、愛されてるな~と思う。そして終演すぐで疲れているだろうところを出てきてくれるメンバーから、ポスカを渡してもらえる私たちもまたムーンライダーズに愛されてるな~と思うのだった。

 

 

2日間通して、ムーンライダーズの現役感に圧倒されたライブ。アラウンド70にしてこんなノリにノッてるバンドある!?という驚愕の疾走ぶり。10年ぶりにアルバムの録音作業に入っていることも大いに影響しているんだろうと思うけど、それにしても歌声はツヤを増し、演奏は攻めに攻め、まるでロックバンド青春まっただ中。「老齢ロックの夜明け」という良明さんの言葉が野音ライブの告知チラシのコピーにもなっていたけれど、円熟とか大成とかいう単語にはバイバイのウインクして、彼らは60歳を過ぎても70歳になっても、やっぱり泥臭く「夜明け」を生きるのだと思った。誰も見ていないものを、いち早く見に行く旅へ。

 

それともうひとつ。「時薬」という言葉があるけれど、本当に長い時間をかけて、バンドの心の深い傷が癒えてきたのかな、と感じる部分もあったライブだった。どんな優しい言葉でも理解でも共感でも足りなくて、ただ時間にしか癒せない深い傷もあるのだと思う。そんなバンドのことも、かしぶちさんはずっと静かに見守ってくれてるって感じる。いろんな古傷も生傷も抱えながら、まだまだ転がり続けると宣言してくれた45周年ムーンライダーズ。かさねがさねサイコーだ!一生ついてくよ!

 

 

 

*セットリスト(石原真さんがツイッターにあげてくださった画像より)

 

moonriders live THE COLD MOON DAY1

 

M01 ぼくはタンポポを愛す
M02 Come sta, Tokyo?
M03 駅は今、朝の中
<MC>
M04 プラトーの日々
M05 Love me tonight
M06 Y.B.J.
M07 VIDEO BOY
M08 いとこ同士
M09 HAPPY LIFE
M10 Cool Dynamo, Right On
<MC>
M11 スプーン一杯のクリスマス
M12 恋人が眠ったあとに唄う歌
M13 ボクハナク
M14 トンピクレンッ子
M15 BEATITUDE
<MC> メンバー紹介
M16 I'm a Robot サンタクロース
-encore-
En-1 火の玉ボーイ
En-2 大寒
En-3 No.9

 

moonriders live THE COLD MOON DAY2

 

M01 独逸兵のように
M02 Come sta, Tokyo?
M03 駅は今、 朝の中
<MC>
M04 プラトーの日々
M05 Love me tonight
M06 Y.B.J.
M07 VIDEO BOY
M08 いとこ同士
M09 HAPPY LIFE
M10 Cool Dynamo, Right On
<MC>
M11 スプーン一杯のクリスマス
M12 恋人が眠ったあとに唄う歌
M13 ボクハナク
M14 トンピクレンッ子
M15 BEATITUDE
<MC> メンバー紹介
M16 I'm a Robot サンタクロース
-encore-
En-1 クリスマスの後も
En-2 大寒
En-3 No.9

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撮影OKだった1日目の「公開会見」でのショット。みんな超元気そう!

 

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良明さんのお父さまのシルクスクリーンによる「MOON RIDERS」のロゴが入ったヴォコーダーケース(本体は今回くじらさんが使用)!最近倉庫から発掘されたそう。

 

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メンバー6人のサイン入りポスカお渡しされてめちゃんこハッピー!

 

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このキービジュアルかっこいいなーーー!3/13、いざ野音へ!