月夜のドライブ

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大田譲還暦記念ライブ『キミたちがいて ぁ ボクが弾く!!』 @ 渋谷La.mama

大田譲還暦記念ライブ.JPG

ベーシストの大田譲さん、60歳のお誕生日のその日に記念ライブ。おめでとうございます!お祝いに駆けつけたメンバーの凄さにびっくりする以上に、当日出てきた音のすばらしさにフッ飛ばされたライブ。レポにはならないただの感想文を、ちょこっとメモ。

 

私が20代の頃から、グランドファーザーズカーネーションと「好きなバンドのベーシストはいつも大田さん」現象が起きていて、大田譲さんは間違いなく私のリスナー人生における最重要ベーシスト。さすがにその後時を経てジャック達に大田さんが参加することになったときは心臓が裏返るほど驚いたけど。そしてこの日のライブは、そんな私の「知ってる大田さん」と、それから「知らない大田さん」、両方の大きさ広さに驚くライブだった。

 

2020年1月20日(月)
渋谷La.mama
大田譲還暦記念ライブ
『キミたちがいて ぁ ボクが弾く!!』
松本照夫 / 鈴木博文 / 玉城宏志 / 直枝政広 / 一色進 / 西村哲也 / 大久保ノブオ / 青山陽一 / 矢部浩志 / 小関純匡 / 鳥羽修 / 鈴木純也 / 上田ケンジ / うつみようこ / 伊藤隆博 / 渡辺シュンスケ / タイチサンダ- / 大田真緒 / 棚谷祐一(順不同) andmore!!
OPEN/START 18:30/19:00
ADV ¥4,000+D

 

(ここから先のライブの記憶は、青山陽一さんがご自分のサイトにアップしてくださったセットリストにかなり頼っております)

 

【1st set】

 

開場から30分、平日だというのに人でぎっしり埋まったラママのステージに、最初に現れたのはあろうことか一色進!「なんだ~ラママってこんなに人入れていいのか~、じゃあ次からオレも」とかいきなり軽口叩く叩く(笑)。なんと第一部の司会進行が一色さんとのこと。英断すぎるだろ、大丈夫なのか…(笑)。そして一色さんの「オリラジのナーカタナカタみたいなコールでいくよ」というムリな呼びかけによる会場の微妙なコール(笑)で主役の大田さん登場。還暦なので赤いシャツで。カッコイイ!このあと第一部のあいだ中、一色さんがあらゆるおもしろMCを大田さんに投げかけるも進行と演奏で余裕のない大田さんはほぼ無視、というほっこりする光景がくり広げられる(笑)。

 

最初の登場は大田譲ユニットでPYGの「花、太陽、雨」を。大田さんの娘さんであるところの真緒さんの歌、以前に見たきりご無沙汰で何年ぶりかで拝見したけど、なんかめちゃめちゃカッコよくなってた!ジェファーソン・エアプレインみたいだったなあ。そしてメンバーが少しだけ入れ替わりグランドファーザーズ。私は一気に振り返りモードになってしまって『あの頃このラママで死ぬほど観たよなー真ん中へんにテーブルがあっていつもその最前に陣取ってたなー』とか回想ぐーるぐる。30年以上の時を経ていまだに同じバンドを同じハコで観てるとは感慨深すぎる…。2曲目に「恋の元素記号」を演って終わって、転換時に出てきたMC一色さん「今の曲、詞がいいねえ!ね~誰の詞?」大田(めんどくさそうに)「作詞・一色進さん、作曲・西村哲也さんですねっ」余裕がない大田さんを一色さんかまうかまう(笑)。さらにまた少しメンバーが入れ替わり西村さんの曲を。この日、西村さんのシャツが鶴の柄でカワイイなーと思って見てたんだけど、そうか、お祝い事だからか!

 

ポカスカジャンの大久保ノブオさん。大久保さん曲を大田さんとボーカルも分け合いながら。この日、ほぼすべての曲のベースを弾くばかりか、自分の持ち歌じゃない曲もこうしてかなりの量歌っていて、大田さんどれだけ準備大変だったろう…。そして直枝さんと2人でアコースティックカーネーション。ここまでの中で、大田さんいちばんいつも通りに見えた。そりゃそうよね。噂の「純純譲」は初めて観たけど、曲に入る前の「近所で」「飲み屋で」というゆるい前振りから一転、テンションの強いスリーピース、歌も迫力あってカッコよかった!

 

 

【2nd set】

 

10分休憩ののち、第二部はポカスカノン様が「一部の一色さんのMCがすごすぎましたが」と言いつつ司会進行。ウエケンさん出てきてセッティングしながら大田さんと会話してたんだけど、この2人がこんなに仲いいなんて知らなかったなー。ウエケンさん、いたずらっ子みたいにずっと大田さんのことからかってて微笑ましかった。渡辺シュンちゃんも登場し(このとき急に会場中のハートマークがぐいぐい前方に押し寄せてきたのを前方の私感じ取る)シュンちゃんとウエケンさん、それからウエケンさんと大田さんのデュオで1曲。大田「こんなかわいい曲書くんだ~」上田「知ってた?オレ、多才なの。小さ~く多才なの」笑。

 

ここで、司会ではなくミュージシャンの一色進登場。はーーースターだ。カッコイイ…。「ここでみんなに聞きたいんだけど、次、歌2曲やるのと、1曲歌で5分MC、どっちがいい?」会場爆笑。「オレが警察につかまったときに『ミュージシャン』って出るか『コメディアン』って出るかの分かれ道だから!重要だよ!」って客に拍手させて決め、かろうじて歌2曲に(笑)。大田さんとふたりだったので、私はなんとなく一色ソロ曲か大田さんボーカル曲をやるのかなと思ってたんだけど、「ジャック達の曲やります」って言って、「キャンセル」。わーーー。なんか、ここで勝手にずきゅーーーんとやられてしまった私。大田さん初参加のライブ以来、いつもいつも『次のライブも大田さんサポートだといいな…』と心の中で思ってた日々を積み重ねて、今はもう、「一色さんと大田さん」そのふたりの組み合わせでも、ジャック達ど真ん中のこんな曲を演る「ジャック達」なんだなって…。キハラさん無しで「キャンセル」演るなんてだいぶ勇者だと思ったしハラハラもしたけど、個人的に思いをぐらぐら揺り動かされちゃってた。曲明けも一色さんは「ねえ、告知していい?いくよ、コクチモモコです…」と桃子バージョンでかまして客席の熱狂的な歓声をかっさらったりしながら、2曲目「暁ワンダーボーイ」。一色さんの歌もギターも、大田さんのベースもコーラスも、めちゃめちゃカッコよかった…。転換で出てきたMCノン様も「一色さん、カッコイイですねえ…」とため息をつくほど。

 

次が博文さんバンドだったんだけど、一色さんの笑いの余韻(曲終わりにも何かしゃべって帰ったんだったかな~忘れちゃったけど)が会場に残りまくってて、セッティングしてた博文さんがふと「一色のあとはやりづらいな…!」と(笑)。一色さんのあとはみんなそうです、いったん忘れて、と取りなす大田さんとノン様(笑)。博文さんのセットは鉄壁メンバーでKeyにシュンちゃんが入ってたのがレアだったかな?大田さんと歌った「ボクハナク」すごくよかった。さらに「大寒町」。じーん。

 

次が、玉城さんやうつみさんたちが出てきてのローザの曲だったんだけど!すごかった!私はローザ通ってなくて全然知らないんだけど、(12月に西村さんライブで観たのに引き続き観た)玉城さん、かっこいいわギターすごいわ、圧巻だった。うつみさんのボーカルもぶっとくて最高。MCでのうつみさんの関西ノリも楽しかった、大田さんこまめにツッコまれてた(笑)。

 

嵐にさらなる嵐をたたみかけるようにカーネーション。矢部さんも鳥羽さんも棚谷さんもいる!…ばかりか、たかたかまでいる!棚谷ピアノ・伊藤キーボードとか、アタマおかしすぎてサイコー!2曲め「EDO RIVER」では(たしか)棚谷さんとたかたかが入れ替わったと思う、このKeyはやっぱ棚谷さんだよね。直枝さんも大田さんも超楽しそうで、ほんとに多幸感にあふれたステージだった!一度みんな引っ込んで、アンコールの拍手でカーネーション出てきてくれたうえに、「出演者みんな上がってきて!」とたぶんほぼ全員で「夜の煙突」。ドスドス超盛り上がり。

 

そのあとがまだあって、大田さん憧れのウエスト・ロード・ブルース・バンドの松本照夫さん(ds)との共演というクライマックスが。私などはもちろん初めて拝見しましたが、スタイリッシュでめっちゃめちゃカッコイイ方…。大田さんが「松本さんが歌うということで…」と紹介したところで今回のライブを画策した小関さんが「松本さんが歌うと思う?」大田「え???」の流れで、なんとシークレットゲストの金子マリさんが登場!大田さんに赤いちゃんちゃんこと頭巾をプレゼント。もう大田さんは完全に感動の許容量オーバーって感じだった。そしてマリさんvoで1曲、かっこよかった…すごいもん観た。さらにマリさんはけて、このセットでブルース2曲。大田さんはもちろん、凄ギタリストたち(青山、玉城、鳥羽、西村)も心底楽しそうだったな。曲途中のブレイクだったか最後だったかに大田さんのしゃべる時間があり、そのいの一番に「このライブをやろうと言ってくれたファンの方もいて…」とその人への感謝を口にしたことに大田さんの優しい人柄を感じて、(自分のことじゃないのに 笑)泣きそうになったよ…。

 

 

それで、ここから先は(ますます)私の個人的な感慨なんだけど…。最初に書いたけど、グランドファーザーズカーネーション、ジャック達、西村バンド、博文バンドあたりは、私の「知ってる大田さん」なわけなのだけど、それ以上に、私が「知らない大田さん」、つまり、玉城さんやうつみさんのセットでの大田さん、松本照夫さんや金子マリさんをまぶしく見つめる大田さん、関西ブルース直系のミュージシャンである大田さん、の存在感がすごかったんだよね。私が知ってる大田さんがいるバンドはみんなどちらかというと文系所属の東京っぽいバンドなんだけど、大田さんって根っこはゴリゴリのブルースの人なんだなって、あらためて不思議な思いで。

 

最後のMCで大田さんは「関西にいるときにずっとブルースのバンドを組みたくてでも組めなくて、東京に出てからも組めなくて、でもこうして今日松本さんや金子さんと共演できたので思い残すことはありません」というようなことを言っていた。それでひとつ思ったのは、そのブルースの流れを汲んだ足腰強いベースを大田さんが数々の文系バンドに持ち込んでくれたおかげで、私の好きなそのグループたちは、強靭なダイナミズムを内側に織り込んだ、音楽的により屈強なバンドとして、クオリティの高い楽曲を次々放ちながら活動を長く続けられているのかもしれないなって。「好きなバンドのベーシストはいつも大田さん」なのは、当たり前だけど、偶然じゃなくて必然、なんだよね。

 

もうひとつ感じたのは、その大田さんの本来の志向からするとまったく意外な気がする数々のバンドに彼がいるのは、音楽的におもしろそうという直感とともに、人に惚れ人柄に惚れられ、という部分がきっと大きいのだろうなって。それはもう、この日の初めから終わりまでのすべてのセットで感じたことだった。大田さんが惚れこみ、相手もまた大田さんにぞっこんの、そんな『キミたちがいて ぁ ボクが弾く!!』なんだなって。このタイトル、大田さん自身が思いついたと語ってた。いつも「キミたち」が先なんだよね大田さんにとっては。そういうでっかい人柄が支えてる素晴らしい音楽、大きな世界が、この日のラママにあった。泣けちゃう。

 

大田さん、あらためて還暦おめでとうございました。これからも、カッコイイ音楽たちをよろしくお願いします!

 

大田譲還暦記念ライブFlyer.JPG