行ってきました新宿ロフト。グランドファーザーズとシネマと架空楽団、『Drive to 2010』的なイメージからは外れるバンドばっかりで、イベントの中ではむしろ異色の日のような気もしたけど、ポップ裏街道の凄みみたいなものを感じるいいライブだったな。そこはかとなくムーンライダーズつながり的な共通点はありながら、3バンドとも個性バッラバラなのもおもしろかった。以下、超簡単に感想メモ。
Drive to 2010
2009/10/19 Mon.
「究極のハーヴェスト」
グランドファーザーズ、シネマ、架空楽団 他
open 18:00 / start 19:00
前売り 3,000円 / 当日 3,500円
■架空楽団
野音のムーンライダーズ30周年ライブの前座で拝見したことあるだけで、ちゃんと見るのは初めてでした。おもしろかったー。31年もこんなことやってるってすごい。「『Drive to 2010』出演バンド唯一のニセモノです!」と笑いをかっさらってたけど、コピーバンドに徹してるところがいい。オリジナリティを捨ててるとこが究極のオリジナリティになってる。個人的には「マニアの受難」聴けてうれしかったー、もしかすると86年以来かもね。
■シネマ
最近ぜんぜん観られないでいて、私はすごくひさしぶりのシネマlive。あいかわらず演奏しにくそうな難曲を次々演奏し倒してて、果敢なバンドだなあ。少しぐらい作るときに手加減して駄曲にしとけばと思うけど、それができないんだね(笑)。気になってた新曲「シネマ超特急」もはじめて聴けた、すごくハデでカラフルでシネマらしさ満点の曲!「ミセス・センチメンタル」にはずしーんと衝かれてしまった。やっぱド名曲だこれ…。あいかわらずクールでカッコいい錦織さんにシビレたり、金髪になっちゃってる小滝さんにびっくりもしたけど、あらためてタメイキ出たのは一色さんのベースのすばらしさ。「ベース弾いてる一色さんは凛々しい」とGF'sのMCで大田さんが言ってたけど(笑)、ほーんとマジメな顔で(そうじゃないと弾けないほど難しいんだと思う)めちゃめちゃポップないいベース弾く。聴き惚れちゃった。もちろん一方でお約束の「笑い」もあり、ポケットからちっさい紙取り出して、次から次へと小ネタの爆弾投下、おっかしかったなあ。それと、今回、夏の名阪ツアーに引き続き、夏秋文尚さんがサポートドラマーをつとめていたのだけど、音が“鈴木左衛子”しててビックリ!まさに左衛子さんの男前なドラムの音だった。もちろん夏秋さんもふだんからオトコマエなんですが(笑)、左衛子さんの男前さって独特で、なんというか、独特の豪胆さみたいなものをあざやかに引き継いだ音になってた。すばらしかったな、聴けてよかった…。それにしてもあやさんとも言ってたんだけど、リズム隊を担ってるのが夏秋・一色の組み合わせだというとこが、見てて不思議というか可笑しいというか「この2人かよ!」とツッコみたくなるというか(笑)。シネマ、見どころありすぎ!
現役バンドでした、完全に。ふつうに、今演ってる今のバンド。再結成とか言わないでしょ、もうこのレベルのバンドを。しかもそれだけじゃなく、なんていうのかな…、たとえば年齢と経験と才能を併せ持った役者さんは、演技などせずともたたずまいや仕草だけですべてを語れちゃうけど、もうその境地だと思った。ミュージシャン4人がギターとベースとドラムで演奏をしているというただそれだけのことが、どうしてここまでカッコいいのか…。仕込みの多い架空楽団やシネマのあとで「ぼくらは淡々と曲やるしかできないんで」「エフェクターも少ないし」と青山さん笑ってたけど、淡々と曲をやるだけのことがこんなにカッコいいんだもん、バンドとしてこれ以上うらやましい状態ってないよね。まあ、青山さんのギターと西村さんのギターと大田さんのベースがあって、そこに夏秋さんのドラムがあったら、そんなのどう考えても最高になるしかないんだけど(…ほんとにどう考えても最高にしかなりようがない)。それにしても、この4つの楽器が同時に音を出すことで生まれ出るとんでもないグルーヴ、これはいったいどういうわけなんだろう…。はー信じ難い。
始まる前にあやさんと世間話してて「アコースティックライブで3人で演奏するGAROのカバーがすっごくいいから月ドラさんにも聴いてほしいのよね…」とあやさんが切々と言っていたら、まさにその!GAROの「木馬」が!いやーこれ、あまりのカッコよさにオシッコもれそうになったよ…。すごかったすごかったすごかった!!!!青山さんと西村さんと大田さんのハーモニー、CSN&Yみたいだったなあ、グランドファーザーズ最高すぎる!
「異常な夜、貴重な月」の研ぎ澄まされた表現。「Cleanning Inside」の屈折しまくった果ての凄み。「にんじん」の圧倒的なキレっぷり。西村さんのギターと青山さんのギターが絡むことがすでに奇跡だし、その底に大田さんのベースがあるなんていうことがありえない震度だし、まして夏秋さんのドラムがバックで鳴ってるなんて、よく音楽の神さまこんな組み合わせ思いついたと思うよ…。
堂々としてオーセンティックで普遍的で、同時に孤独でストレンジで。こういうバンド、いそうで、やっぱりどの国にだってそうたくさんはいないんだと思う。
3バンドの全員が出てきたアンコール、「Rough Mixのテーマ」も、カオティックで凄かったな。
どのバンドもたっぷり1時間ぐらいずつやって終演は23時近く。この3バンドの組み合わせ、すごくおもしろかった。みなさんおつかれさまでした!
*グランドファーザーズセットリスト(from青山さん公式)
●GRANDFATHERS(青山陽一vo,g/西村哲也g,vo/大田譲b,cho/夏秋文尚dr)
1. Baby Fields
2. Shoot My Eyes
3. Good Bye
4. ないしょの茂みにて
5. 木馬(ガロ)
6. Underground
7. 異常な夜、貴重な月
8. Cleanning Inside
9. にんじん
10. 僕は火の車
(encore)
11. Rough Mixのテーマ(全員)
(他にもMCのこととかいろいろあるけど、それはまた。いったんこれでアップしときます。)