月夜のドライブ

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はちみつぱい『センチメンタル通り』(紙ジャケ仕様)

画像購入したのは11月だったけど、聴くのはようやく。はちみつぱいの『センチメンタル通り』紙ジャケ再発。もう、私なんかがあらためて言うまでもない“名盤”だけど、その言葉が、誰かのご宣託としてでなく、聴くたび自分のリアルな思いとして心のうちにわきあがるアルバム。

 

この『センチメンタル通り』については、4月のムーンライダーズ30周年ライブ@野音で聴いた「塀の上で」に絡めて、前にこの記事で書いたので、あらためてくり返さないんだけど。今回のSUPER FUJI DISCSからの再発、まず、ジャケが全然ちがいます。写真やデザインは同じだけど、色が。ジャケ見本を見た鈴木慶一さんが「この朝の色がほしかったんだ」と言ったという、その色。まさに「空は未だ群青色の朝」…なんだね。このジャケのためだけにでも、今回買った意味があるかなって。あと、デフジャケと呼ばれている、アザーの写真を使ったジャケットがもう一枚、オマケでついてるのもオモシロイ。それにしてもつくづく、この『センチメンタル通り』のジャケ写は傑作だね…。この奥行き、色、空気感、人物の配置、すべてが素晴らしすぎる。

 

音も今回、自信のリマスターとのこと。私自身は音楽ファンの風上にも置けない…いや風下にも置いとくのもちょっとどうかな…ってぐらい音質というものに疎いリスナーなので、このことを鑑賞しきる能力がなくて申し訳なし…。でもそんな私の耳にも、ひとつひとつの楽器の音が以前よりクリアに飛びこんできた気がするから、聴く人が聴いたら、素晴らしいちがいなんだろうと思う。それと、ボーナストラックに、「ぼくの倖せ」かしぶち哲郎Vocalバージョンが収録されていて、これがハッとするよさ。もともとのアルバムでは渡辺勝さんが歌っている曲だけど、このかしぶちさんバージョンはアルバムより後の時期の録音ということで、流麗なストリングスバックにかしぶちさんのたどたどしくも甘いボーカル。アルバムとはまたちがう雰囲気ですごくいい。

 

あと何といっても『センチメンタル通り』『9th June 1988(はちみつぱい再結成ライブ)』2枚同時購入についてくる、ディスクユニオンオリジナル特典が。「はちみつぱい1973-1974」と題された、全16ページのCDジャケサイズの写真集。これがもうヨダレモンでした…。私の場合これにそそのかされて今回の再発に手を出してしまったといってもいいワケなんだけど、その期待にたがわぬレアな中味。慶一さんの短パン+ハイソックス+厚底ズック靴という姿の衝撃(笑)とか、女子50人ぐらいは一撃でキュンとさせちゃいそうな武川さんの爽やかなルックス(周りがみんな長髪+ヒゲのむさ苦しさを競ってるのに武川さんだけ現代に通じる爽やかさなのだ)とか、ツッコミどころ…じゃない、見どころは多数なんだけど、中でもクギづけになってしまうのが、P06~07の見開きに配された横イチの1ショット。これ、いい写真だなあ。ひと目でその場所とわかる、渋公前のゆるやかな坂。雨上がりなのか、濡れている地面。そこに並ぶ、本多さん、武川さん、慶一さん、岡田さん、駒沢さん、かしぶちさん、和田さん、の7人。写真の中のこんな彼らを見てしまうと、ついこのあいだこの渋公のステージに立っていたムーンライダーズと、頭の中で並べないわけにはいかなくて。彼らの中に流れる30年以上の歳月の、重みと濃さにグッときてしまう。あの地点からこの地点まで、気が遠くなるほど長く、同時に、たぶんあっというまの道のりだったんだろうな…。ファッション、風景、登場人物の年齢、いろんなものが大きく変わったけれど、彼ら自身は何ひとつ変わらない、ようにも見える。

 

再発、リマスター、紙ジャケ、というだけではあまり購買行動を引き起こされないおくてな消費者なのだけど(あ、でも大滝さんのアニバーサリーものはせっせと買ってたりするな…)、この『センチメンタル通り』はほんとに買ってよかった。『9th June 1988』のほうは、じつに4枚組というボリュームなので、またあらためてゆっくり聴こうっと。nakamura8cmさんとこのこの記事で話題になってる、私が持ってないオマケ8cmの音源も入っているので楽しみなのだ。

 

*『センチメンタル通り(紙ジャケ仕様)』はちみつぱい