月夜のドライブ

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どこまでもバンドサウンド、どこまでもムーンライダーズ (「PWBP」記 その5)

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めでたく発売となったムーンライダーズの「P.W Babies Paperback」、HP予約で少し早く手に入れて1週間になるけれど、ヤラレっぷりは相変わらず…。毎回、少しは冷静に聞けるかなと思いながらディスクを回し始めるのだけど、音が出てくると何やらわけのわからぬ物に支配されて、身動きできなくなってしまう。やっぱり心臓は駆け足になって、息ができないくらい苦しくなるし。私をどうしようというのだ、このアルバム!

 

特に、いかにもムーンライダーズらしい洒落たイントロダクションの1曲目「Waltz for Postwar.B」から、6曲目の「Bitter Rose」までの流れは、圧倒的過ぎて声も出ない。たぶん意図的に、曲間も短くて。…と言いながら、8曲目「夢ギドラ85'」からあとの流れもものすごい緊張感で、身動きできないまま一枚が終わってしまうのだけど。「青空百景」的ポップさを持つかしぶちさんの「さすらう青春」がなければ、息つけなくて死んじゃうかも。って毎回思うぐらいだ。

 

そしてこの音の厚み。いつもは私、情けないほど音質というものに疎くて、ショボい環境で聞いててもまったく気にならないへぼリスナーなのに、このアルバムは初めて「いい音で聞きたい!」という切実な欲望を連れてきた。マジこのCD持って近くの電器屋のステレオ展示視聴コーナーに飛びこもうかと思うくらい。想像もつかないほどの音の重なりが、騒音という名の粗大ゴミになるのでなく、ひとつの無駄もなく色気と恍惚につながる技量の凄さ。

 

でもね。バンドなのだよ。紛れもなく。私がもっとも愛する、ムーンライダーズというバンドの音。

 

慶一さんがAXのアースデイliveのときだったか、「宅録だけどバンドサウンド。アレっと思いますよ、きっと」というようなことを言っていたけれど、アレっ、どころじゃない。公式HPの慶一さんの日記などから、ネット上でファイルをやりとりする制作形式だったことはうかがえるのだけど、ここにある音は、間違いなくムーンライダーズという「バンド」じゃないと出せない音だ。特に今回、良明さんのギターと博文さんのベースにはシビレっぱなし。「ヤッホーヤッホーナンマイダ」のギターのギュインギュイン言う暴れっぷり。ヤバい…。「Wet Dreamland」のベースの音。完ぺき倒れちゃう…。これだけで泣きそう。

 

それから、コーラスもねー。「ムーンライダーズのコーラス」フェチ(なんて範囲の狭いフェティシズムなんだ…)としては、もー悶えポイントがいっぱいでどうしようもない。「スペースエイジのバラッド」の“弦が三本”とか「ヤッホーヤッホーナンマイダ」の良明・博文・武川さんによる“ヤッホー”(順番はナゾだなー、この順番のような気がするけど)とかね~~~。もーたまらない!ヨダレじゅる!あと「親愛なるBlack Tie族様、善良なる半魚人より」の全員歌唱部分。この6人の声で、“ふふんと笑って”とか“ぐすんと嘆いて”なんて情けない詞を歌われたら、もう私気絶です。素敵すぎる…。慶一さんのボーカルがまた、いつになくよい気がするのだ、このアルバム。やるせなくて、色っぽくて。だからやっぱり、ものすごく、「バンド」を感じる。

 

しかし。50代のオジサン×6人、だよ?どうなってるの、この攻撃的な迫力。

 

うー、感じてることものすごくたくさんあるのに全然書ききれない。「好き」と100回言ってるあいだに彼らの音はくるくると変幻してとても届かない遠くでニヤニヤ笑ってる。その微笑の不敵さと素敵さにまたマイる。いつまでも私は階段の途中で、ムーンライダーズというバンドの音を追っかけてるんだ。

 

実は、今のところいっちばんヤラレてる曲は博文さんの「銅線の男」なのだけど、それはまた、あらためて書きます。ほんと、おそろしいアルバムだ…。

 

 

*「P.W Babies Paperback」インナースリーヴ裏

今日はインナースリーヴの裏を。福田利之さんのイラストが、ジャケの表も裏も歌詞カードの中も、カワイキモチワルクてよいのです。