月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

1月の「ビックリハウス大パーティ」を今頃語る

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前記事で2004年のライブを振り返ったついでに、今年初の参戦だった1月のライブ(ムーンライダーズ他atビックリハウス大パーティ)の、レポをここに載せといちゃいます。当時ぜんさんとこのBBSに書かせてもらったもの。別に何の役にも立たないけれど(しかも長いぜ)、キロクってことでね。(事後承諾ですが>ぜんさん)

 

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行ってきました、「ビックリハウス祭」at渋谷クラブクアトロ。ライダーズ目当ての私は30日の一夜目だけ参加です。でも、「だけ」というにはあまりにも中身ギッシリな夜でありました~。ちゃんとお伝えしようとすると大変なことになるのでかいつまんで書きます。

 

私の位置取りですが、ステージ向かって左、フロアを囲むカウンターの左端に立ってました。開場して1時間、人が密になってきたところで場内暗くなりステージに司会の高橋章子さん&慶一さん登場~パチパチ。高橋章子さんって初めてナマで見ましたが(ちなみにこの夜、私が「初めてナマで見た人」続出)、すっごい加速度のある人。彼女の操縦不能なイキオイと、慶一さんの柳に風のような受けがオモシロかった。たぶんお二人は昔からこうやって会話しているのでしょうねー。初代編集長の萩原朔美さん、パルコ創業者でビックリハウスにお金も出したという増田さん(愉快でウィットのあるおじいさま)などもステージに上がり話をした後、いよいよライブへ~。

 

最初の登場は二人組になって昨年復活のパール兄弟。きゃ~窪田さんだー!サエキさんだー!私の青春の1ページ!「パールトロン」も「ブルーキングダム」も「TOYVOX」もほんっっとよく聞いたのだー。あのペナペナしつつもせつない独特の存在感がたまらなくってね。しかし細身のスーツのサエキさん全然印象が変わってないのがスゴイ。この夜演ってくれたのは、男性の精子の数が減っているという話から作ったという「MILK2030」(曲名違うかも)ともう1曲。相変わらずパール兄弟にしかあり得ないようなヘンな歌でよかったなー。久々に窪田さんのぎゅんぎゅんギターが聴けたのも感激。

 

この日はバンドが終わるごとに、次までのセッティング替えのあいだに、こっちが祭りのメインなのかもしれないゲストトークがはさまるという構成。私の立ってた場所の通路挟んでスグ隣が関係者席だったのだけど、実はここでそのトークが展開されたのでした。というわけで、以下敬称略順不同だし全員は覚えてないし字違うかもしれませんが高見恭子(お子さま連れ)、浅葉克己、秋山育、秋山佑徳太子、加藤賢宗、安西水丸、そして後半の司会の日比野克彦榎本了壱、他にも多数登場…と錚々たるメンバーの息苦しいほどのサブカルオーラを至近距離で浴びる結果に。でもワタシ的に一番うれしかったのはやっぱ慶一さんを間近で見れたことかなー。

 

慶一さんの紹介を受けて次に登場したのが、秋山羊子さん。サポートするは博文さんとくじらさんです。はぁ~いつもながら渋くカッコイイお二人。三人とも、ついさっきまで喫茶店で喋っていた音楽サークルの若者というようなラフないでたち。ユニット名「くじらと山羊と毛虫」だそうです。毛虫、って…。秋山さんのオリジナル曲は初めて聞きましたが透明感があってのびやかでちょこっとクセがある、彼女の印象どおりの歌。「お二人ともすごくやさしいです。ね、いい感じですよね、私たち?」と飄々と喋る秋山さんと、それに笑いながら頷くおじさま二人の微笑ましいユニットなのでした。

 

ゲストトークを挟み次に出てきたのはセロファン。初めて見ました。バンドサウンドを丸ごとガッコーンと投げつけるような荒っぽさがなかなかカッコよい。演奏ガシガシ。メロディもちょっとひねくれてて。そこに乗っかるボーカルは意外に素直で清冽。この落差も魅力なんだろうな。まあ中古ロック奥様の血潮はよこしまで「もうちょっとボーカルがうさんくさいと、さらに好みだなー」なんて相当勝手なことを思っちゃいましたが。ステージを踏み抜きそうなくらいの勢いで客を一網打尽にして、セロファンの2曲終了。

 

次はといえば、内田春菊さんですよ~!露出度チョー高いギンギンスパンコールの衣装ですっ。ステージにそのまま残ったセロファンをバックバンドに従えてCCRの「Proud Mary」。カックイ~。1曲振り付きで豪快に歌い終えたらゼイゼイ息切らして「昔はラテンロック界の…え~と誰だっけあの水戸黄門で入浴する人。(とここでセロファンのギター君に問いかけるので場内爆笑)あ、そうそう由美かおる!ラテンロック界の由美かおるになる~とか言ってたんですが、これじゃー全然ダメですね」なんて笑う春菊さん、すっごいキュート。ナント4人の子のお母さんだそうで。見習わなきゃなー(何をだ)。もう1曲ストーンズの「Tumblin’ Dice」をパワフルに披露して、ひらひらと手を振って去っていきました。

 

ここでまたセッティング替え。スタッフがハシゴに上ってスクリーンをかけています。私の左隣ではサブカルトークが繰り広げられ。というか同窓会の立ち話みたいな感じなんですけどね。掲げられたスクリーンは、山口小夜子さんのパフォーマンスのためでした。文章で説明するのは野暮というか、う~んうまく説明するだけの筆力がない。映像と音楽と言葉と山口さんの動きと、そこに生まれる光と影の絡み合うパフォーマンスとでもいうのかな。音や光と同じくらい無機的になってしまう山口さん、生身の人間と同じくらい有機的になる言葉や影、全部が溶け合ってすごく不思議な世界に迷い込まされました。朗読された言葉は寺山修司さんのものだそう。

 

パフォーマンスの微妙な余韻を引き摺りながら、榎本了壱さんのマシンガン駄洒落(ほんとすごいんだよー)に場内ムリヤリ脱力させられ、いよいよ次は!ライダーズの登場です!博文さんも着替えて白セーターにマフラー巻き巻きしてます。「今年でとうとう全員50代(by慶一さんトーク)」の余裕ありまくりのカッコよさにいきなりクラクラ。6人揃うとパワーが並じゃないです。並びは前列右から良明さん、慶一さん(たぶん)、くじらさん、後列右から博文さん、かしぶちさん(たぶん)、岡田さん。この「たぶん」って何だ。そう、私がいたのってちょうど視界の真ん中辺にどかっと柱が存在する場所で、慶一さんとかしぶちさんはまったく見えなかったのだ~(泣)。慶一さんはトーク時間に至近距離でドキドキできたけど、12月のライブに引き続きかしぶちさんと私は邪悪な運命によって引き離されているみたい…ぐっすん。(←バカです。)でもね、1曲目「Video Boy」、姿は見えなくってもかしぶちさんのドラムはバッシバシに響いてきて背筋ゾクゾク、もういきなりダメ~状態ですよ。そして2曲目…え、これは!キャー「工場と微笑」だ~!!しかも博文さんが歌い始めたもんだから、もう私失神です。博文さんボーカルのこの曲が聴けるなんて…このためにだけでも来てよかった。私を失神状態に陥らせたまま3曲目は「夢が見れる機械が欲しい」。この日、というか12月のライブのときもそうだったけどイントロ聞いてすぐは何の曲だかわからない(私がボーっとしてるだけか?)くらいアレンジ凝ってるんだよね。デビューの頃から「実験的」って言われ続けてるライダーズ、25年経とうがおじさんになろうが相変わらず実験好きで安定嫌いのロック魂がほんとに泣ける。さてここで慶一さんの「ぼくらの一番古い友人です」のアナウンスに導かれあがた森魚さん登場~。慶一さんがキーボードに入り岡田さんはアコーディオンを抱え「赤色エレジー」。二者のあいだの戦友みたいな親密さが、表情からも演奏からも伝わってくる。次は一転して明るくノリまくる「大道芸人」。くじらさんのバイオリンがめちゃくちゃカッコいい~!もうこれはくじらさんでなくってはという世界だよね。あがたさんはこの2曲で拍手の中を退場。また6人に戻ってお次は来ました~「トンピクレンッ子」。ビックリハウスっぽいもんね、この辺の曲。良明さん歌詞間違えていたのはご愛嬌。そしてたたみかけるように「Frou Frou」ですよ~。かしぶちさんの控えめなボーカルのエロティック成分(←必ず含有)にマイりまくる。それにしてもギター弾きながらベース弾きながらバイオリン弾きながらドラム叩きながら歌える人たち、ほんとに尊敬しちゃうなあ。既に時間が押していたせいもあったと思うけど、MC殆どなしで突っ走る姿も潔く、最後は「BEATITUDE」。明るい曲調とは裏腹に、この歌ライダーズの孤独な宣戦布告と思えていつも泣きそうになる。ライダーズってたぶんずっとこうなんだ、って。世間の勧める手軽や効率や安定や安心にはケリ入れて、傷をいっぱい受けながら人の通らない道ばっか進んでいくんだって。その覚悟に、私たちちゃんとついていけてるかな?と、ふと考える。

 

アンコールはなしで、さらっと5人が拍手の中を舞台外へ。髪が乱れ汗滲ませたちょっとセクシーモード(何だそれ)の慶一さんが一人ステージに残る。そこに上がった日比野克彦さんの「いや~ミュージシャンはいいねー。それに比べたら絵の、芸のないこと!」という言葉が本気でうらやましそうでおかしかった。あーマジにかっこいいぜライダーズ!もっともっとライブやって欲しいなあ。ライブアルバムもいっぱいいっぱい出して欲しいなあ。ニューアルバムも聴きたいなあ。なんて思いながらクアトロを出ると10時をとうに過ぎてました。ライダーズのライブ見るといつもそうなんだけど音楽細胞が超活発化、過剰にアグレッシブな気持ちになる。ここにムーンライダーズっていうバンドが存在すること、しかもちっとも落ち着きなんかせずにはじけてあがいてロックしてロールし続けててくれることの幸福に、メチャクチャ感謝しながら帰路についたのでした。

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結局、2004年ナマの「ムーンライダーズ」は、この1回だけだったのだね。(NHKのテレビ出演はあったけれど。)今、ニューアルバム製作中という彼らに、来年こそは、ナマ音で何度も宇宙の彼方にブッ飛ばされたい~。切望。

 

*「ビックリハウス祭」チラシ