月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

シモキタの夜

下北沢は必ず迷子になる街だ。
スズナリに行くにも、駅からあんなに近い本多劇場に行くにも、
下手すると駅から出るのにさえも失敗することが稀ではない。
だから水曜の夜にmona recordsを目指すにあたっても、電車に乗っている間ずっと
マクドナルドを左手に見て真っ直ぐ進む…と殆ど呪文のように唱えていたのだけれど
はたして駅に降り立ってみるとマクドナルドは予想を裏切って
私が左手と考えていた場所ではなくその向かいにあった。
……。混乱しながらそれでも目的地に辿りつく。
迷うことも含めて慣れているといえば慣れているのだ。

西村さんが出演したLand Of 1000 Flowersというイベント、
対バンが二組で、最初に登場したのが神森徹也さん次がLampだった。
初めて見る神森さんはアコギを抱えベース&ギターの男性を従え
サンプラーの音を携え、少ない音数のなか繊細に歌いがさつにMCする、
そのギャップがおもしろかった。繊細な平野を延べるように見せかけて
人が足を取られるだけの悪意もちゃんと用意している、そんな印象。
そして遠くから見るより近くをすれ違ったときのほうが男前。
と、これは狭い会場ならではの私的感想ね。

Lampは実は去年の風待フラッグで何番目かに出てきたのを見ている、
けど「何番目か」というぐらいの印象をそのときは超えなくて。
でも今回は昨年見たときより何だか刺さってきたな。
中途半端に大所帯なのがおかしくていい。
Lamp自体はボーカル、ギター×2、の3人らしいんだけど
そこにベースとドラムスとキーボードのサポートを迎え、
さらにボーカルの女の子がフルート吹いたりアコーディオン弾いたりもするので
狭いステージに何だか大人数感。シンプルな編成のバンドもよいけれど、
フルートやアコーディオンやオルガンやペダルスティールや
ビブラフォンやヴァイオリンや…といった楽器が加わると、
余計な情念がそこからあふれる気がして、最近とても好きだ。
それからメインの彼女だけでなく他の男性2人も積極的に
女々しいボーカルを披露しているのがヘンでいい。
二人が二人とも勇ましくも雄々しくもない。貴重だ。
何だかその、微妙におかしくヘンな部分が
ポップスの定型の心地よさをひかえめに壊してて
刺さってきたのかな。という気がする。
良質なポップスのまま、どんどん歪んで欲しい。

下北沢の夜は
気のぬけたラムコークの中で
音を融かしながら更けていった。
次にくるときもまた迷子かな。