月夜のドライブ

ラブレターバンバン書いて紙飛行機にして 宛てもなく空に飛ばすブログです。▶プロフィールの「このブログについて」をクリックで記事一覧などに飛べます。

おはなしは続く

このところ、創作おはなしがはやっている。ふとんに入り電気も消して部屋を真っ暗にしてから私が勝手におはなしを作って聞かせるのだ。荒唐無稽な冒険譚が繰り広げられればそれは面白いのだろうけれど、そこは私の能力不足で、いたって平和なおはなしが毎晩のんびり続くだけ。それが意外に子どもたちには好まれている。いいおじいさんがひどい目に遭って貧乏になり悪いおじいさんがさらに金持ちになるなんていうオットの話は「パパのおはなし変だからやだ」と嫌われている(大人にはこっちのほうが面白いのだけどね)。毎晩の定番は、ほっぺのふくらんだかわいいきょうだいが森のレストランやケーキ工場や動物園に出かける話。この主役の二人が必ず「グググ~ッ。お腹の音が鳴りました。」に至るシーンで、ほっぺのふくらんだ5歳と3歳のきょうだいは大喜びする。「今日もお腹の音が鳴った!」と。

 

熱心さもなくもちろん財産もないから、子どもたちの教育にお金をかけることは、うちではたぶんないだろう。そんな私がほんのちょっぴりだけ子どもに伝えられるものがあるとしたら、「言葉と想像力があれば、そこに物語は立ち上がる」ってこと、そしてそれは人間が持てるもっともゆたかで自由な場所なんだってこと。他の何も持っていなくても、それさえあれば、荒れ果てた地にいても精神を荒れ果てさせることはないだろうし、そのしなやかな武器で、行きたい場所に行くための闘いを続けることができるだろう。

 

…と、お腹の鳴るおはなしぐらいでハハのそんな高邁な思いが伝わるとも思えないが、それでも毎晩のんびりと物語は続く。昨夜は、ほっぺのふくらんだきょうだいとふたごの猿のモンとキー(眠気と闘う時間らしい安易なネーミングだ)と雪女さんが、富士山のてっぺんのレストランに空飛ぶじゅうたん(眠気と闘う時間らしい安易な交通手段だ)で行くところまで。今夜、レストランで何を食べるかなあ。